「お金をいただく」ということ
先週の金曜日に行きつけのサロンで髪を切ってきました。とても勉強熱心なオーナーで、常に技術を向上させるために勉強を続けておられます。
昨年、『シルキーカット』というカット技法のライセンスを取得されたので、そのメニューでお願いしています。
シルキーカットは、日本人の髪で、欧米人のようなやわらかな質感を表現したいという思いから生まれた技法です。
ドライヤーで乾かすだけ、ワックスを使わなくてもいつでも、サロンでセットしてもらったような仕上がりになるカットです。
古川昌宏さんという方が20年かけて完成されたアジア人の骨格や髪質に合うカット技法なのだそうです。
オーナーから、「シルキーカットという技法を勉強することにしたんです」と伺ったのは3年くらい前でした。
どのようなカット技法なのかという説明を聞きながら、″早くその技法でカットしてもらいたいなー”と思いました。
オーナーはそれ以前から、お休みを利用して技術を向上させるために東京や大阪に行かれるほど、勉強熱心な方でした。
でも、シルキーカットは、今まで以上にお休みの日も、仕事が終わってからも講習会、試験、練習会に参加しながらでないと習得できない特殊な技法でした。
もう一度専門学校に通うくらいの時間を費やして、ライセンスを取得されましたが、しばらくはサロンのメニューに加えず練習を重ねておられました。
シルキーカットがサロンのメニューに加わったのは、ライセンスを取得されて半年くらい経った頃だったように記憶しています。
「実際に技術を学びながら″これは、絶対にお客様に喜んでいただける技法だ!”と確信を持ちました。だからこそ、お客様に提供するまでに納得いくまで練習を重ねたいと思っています。もうちょっと待ってて下さいね!」
オーナーがそう話してくださったときに、ドキっとしました。
スキルや知識を学んだら、少しでも早く試したい自分が提供するサービスに加えたい!と思うことがあります。
でも、お金をいただいているということを忘れてはいけないのです。提供するものが、お金に見合ったものなのか、お客様の期待+αのものでなければ、
提供する機会もお客様との関係も続いていかないのです。
そして待ちに待ったシルキーカットの日。カットの技法を全く知らない私でも仕上がり感が全く違うのを実感しました。
違いが実感できるのは、カットしてもらった翌日からでした。オーナーがおっしゃっていたように、ドライヤーで乾かすだけなのに仕上がりは同じなのです。普通のカットよりも、値段は少し高めですが、メンテナンスの必要がないので安いくらいだと思いました。
「まだ、希望されるお客様が少ないので、ドキドキします」オーナーはそうおっしゃっていましたが、手さばきがスムーズで、いつもと変わらずいろんなことをおしゃべりしながら、カットしていただきました。
オーナーと知り合って、20年近く経ちます。専門学校を卒業してサロンのチェーン店に就職されたときからよく知っています。アシスタントの頃からお客様に明るくあいさつをし、積極的にお客様のお話を聞いておられました。
そして、先輩たちの技術を一生懸命観察して、シャンプーやヘアカラー、パーマだけでなく、カットを担当されるようになり、お客様から指名を受けられるようになり、そして店長になってサロンを運営しながら後輩スタッフを育て、そして独立。
オーナーがお店を異動されても、独立してご自分のサロンを持たれてもずっとオーナーのところに通わせてもらっています。腕はもちろんですが、仕事に対する姿勢やお人柄から、学ばせていただくことがたくさんあるからなんです。
サロンは最寄駅から少し離れていて、歩いて15分くらいのところにありますが、いつも予約がいっぱい入っています。お店の広告は出されていません。
「少し高くても遠くても、いつも期待に応えてもらっている、満足している、安心出来る。だから、ここでないとダメ!」と思える方であり場所。
″私もお客様に喜んでいただけるよう、自分自身をもっと高めていきたい!”
と、サロンを訪れるたびに気が引き締まる思いがします。