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間接差別

今週は日本の雇用システムの成り立ちなどを勉強しました。その中で気になった言葉が、間接差別。

もともとはEUの男女均等待遇指令に規定された概念で、表面的に男女で差をつけていなくても、通常男性が多くそれに該当する要件をつけることを間接差別と想定した。例えば、パートタイマーに対する低い処遇は、パートタイマーの多くが女性であるために間接差別と捉えられるようになった。

日本ではもっと限定的な意味で使われている。厚生労働省の定義では、

間接差別とは、
 ① 性別以外の事由を要件とする措置であって、
 ② 他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、
 ③ 合理的な理由がないときに講ずること
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/danjyokoyou_u.pdf

この③がポイント。例えば例として住宅手当や家族手当を世帯主や被扶養者に限定して与えることが挙げられているけれど、原資に制約がある場合はしょうがないよね、という大体すり抜けられる構造になっているようです。

(間接差別として考えられる例)
福利厚生の適用や家族手当等の支給に当たって住民票上の世帯主(又は主たる生計維持者、被扶養者を有すること)を要件としたことにより、福利厚生の適用や家族手当等の支給を受けられる女性の割合が男性に比べ相当程度少ない場合において、当該基準等の合理性・正当性に関する以下のような使用者の抗弁が認められない場合。
・  原資に制約があることから、福利厚生の適用や家族手当等の支給の対象を絞ることが制度の目的や原資の配分上合理的であること
・  より一方の性に不利とならない他の方法が存在しない、又はより一方の性に不利とならない方法があったとしても当該方法を採用すると使用者に過大な負担が生じること 等https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/02/s0209-5b1.html

最近、会社で福利厚生の見直しがあり、ある手当の支給要件に「扶養者がいること」が加わった。世帯主・扶養者になるのは圧倒的に男性が多いことを考えると、結果として女性より男性が恩恵を受ける仕組みに思えてもやもやした。


参考:
濱口桂一郎(2015)『働く女子の運命』
厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/danjyokoyou_u.pdf
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/02/s0209-5b1.html



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