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数学する人生 (岡潔)【読書記録】

#3

数学が好きだ。昔からの癖で書店では1番最初に数学書のコーナーに向かってしまう。
しかし残念なことに、これは片思いのようなもので自分は数学ができるとは言えず、高級な数学を学びたての学生のごとくミーハーなのだ。

恥ずかしいことに岡潔先生を知らずこの本はタイトルで選んだ。読み始めると数字、数式なんてものは全く登場せず、仏教など宗教の話を始めたことにとても驚いた。
下手に書くのは怖いのでいつも通り、ただ琴線に触れた事柄だけを残しておく。

目次
・「懐かしい」
・俳句という関数もしくは圧縮方式

『懐かしい』

人は本来、ただそこにいるだけで懐かしいのだと岡は言う。「懐かしい」というのは、必ずしも過去や記憶のことではない。周囲と心を通わせ合って、自分が確かに世界に属していると実感するとき、人は「懐かしい」と感じるのである。

この本を読む数日前に目的もなく、富山に行った。その時私を誘ってくれた友人が富山駅を出て街を見たときに言ったのだ。「なんか懐かしいですね。」と。もちろん富山県に行ったのは初めてだった。
それからというもの妙にこの言葉が頭の片隅に居座るようになった。そして偶然この本と出会い、この部分を読み、文字通り体が震えた。
その友人の感覚的に、自分の言葉として出てきた感性に改めて感服させられた。もしくは「懐かしい」という言葉から物理的な時間を切り離すことをを既にしていた(もしくは元々備えていた)ことに驚いたのかもしれない。
何をそんなにと思うかもしれないが、時々あるのである。特に京都あたりに行くと初めて見た景色にも関わらず「懐かしい」が最もしっくりくるような気持ちに。まさかこの感覚を表現する言葉が「懐かしい」だとは言われるまで気づくことはできなかった。

俳句という関数、もしくは圧縮方式

俳句とは外的状況をできるだけ簡単にして、そこから同じような情緒を起こさせようとする。

俳句はお堅く、難しいものだと思っていたが、この一節を読んでから俳句というものが輝いて見える。無限の情報量を伝えるために圧縮したもの、もしくは誰もが理解できるようにコンパイルされたもの、そう考えるとなんだか身近に感じる。これから俳句に出会ったときは…と考えると楽しい…

感じたこと、考えたことはまだあるがこのことを深く語るには自分はあまりにも未熟だ、精進せねば。

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