「複数人での即興練習会」
皆さま!突然ですが、即興ダンスはお好きでしょうか。練習はどのようにされてますか?
発起人の五十嵐こといがらっしは即興ダンスには興味津々なのですが、なにせ経験値が足りていない。では、練習はどうしているのかといえば、門灯を消し自室の閂(かんぬき)を確認。ひっそりと人目を忍んで行っておりました。腹の据わらないことこの上ない。
そんなある日天啓が下りました――これではいけない。仲間を募って一緒に練習してもらおう。
と、このような背景があり企画させていただいた「複数人での即興練習会」。2022年2月13日になんと参加者12人で(!)開催することができました。
アイスブレイクとして動きながら自分の名前と参加者の誰かの名前を呼びあう遊び(?)をしたところ、皆さん楽しそうではありませんか。「みんなの躊躇をどうやって取り除くか」に心を砕いていた発起人は良い意味で拍子抜け。そんな心配は不要であることがあっという間にわかりました。
この日はパフォーマーの武内美津子さんが参加してくださっていました。武内さんは視覚障害をお持ちで、いがらっしとは違う知覚の仕方で踊っていらっしゃるであろうことが想像できます。そこで、この機会に視覚ぬきの感覚で踊ることのご相伴をしてみたいと思いました。
視覚をオフにした状態で複数人で踊る。そのためには仲間と身体のどこかの部分を接触させて動き続ける必要があるでしょう。(ほかの方法もあるかもしれませんがその時にはこれしか思いつきませんでした。)実は、発起人はコンタクトでフラッシュバックを起こしたことがあるので、この提案をするのがとても怖かった。でも、怖さを内包せずに何がダンスか、何が即興かという気もするので、エイヤッと提案。
4グループに分け、数分を1セットだけ実験。部屋にいる人全員が目をつぶってしまうのは不安だったので、いがらっしは目を開けて見学。衝突しそうな人や、舞台から落ちそうな人に声をかける役割を担います。
はじめのうちは、仲間の場所を確認しているだけの様子で手だけが動いていましたが、次第に皆さんの身体に自由度が満ちてきて、グループ全体の動きも大きくなる。それはそれは、美しい変化を目の当たりにしてしまいました。
しかも、目撃者は私だけ。なんという特権でしょうか。
見ていた私も踊っていた皆さんも、ともにウキウキしてしまって、迷わずこのやり方を続けました。3グループに分けて、1グループずつステージの上で踊ります。楽曲はショパンのレインドロップ。6分にも満たない短いものですが、途中で曲調が変わるので面白いかと思い選びました。
1グループごとにフィードバックを行ったのですが、皆さん、活発なこと活発なこと。踊った人にとっても、これから踊る人にとっても、そしておそらく、発言している本人にとっても学ぶことの多いコメントが飛び交います。ポジティブな視線の中で踊ること、そして、フィードバックをしあうことがこれほど、あたたかい血肉を与えてくれるとは。大袈裟でなく、この経験で即興への怖さが半減しました。
あっという間に2時間が過ぎ、お開きの時間が来ました。実はこの時まで、(意図的に)ダンス経験の有無を含めて自己紹介の時間を取らなかったのですが、なんだか皆さん昔から知っている友人のようでした。目をつぶって、環境にゆだねて共に踊るというのは、想像以上に稀有な出来事だったのかもしれません。参加してくださった皆様、素敵な経験をともに創ってくださってどうもありがとうございました。
またやりましょう!次回は2022年3月20日14 :30-17 :30です。初めての方も、リピーターの方も、お待ちしております。
文責:五十嵐香里
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