ダンサーは「いい音」を求めているか

「良い音」と「悪い音」の違いは何か? - おとにっち

YOASOBIというアーティストの曲が、カラオケボックスというあまりよくない環境で録音されている、ということに関する記事。

スピーカーやヘッドフォンなどで高音質設備にこだわりを持つ音楽愛好家の方のなかには、音楽に「いい音」を求める層が一定数いるらしい。

一方で、AKB48など大衆受けする音楽は、歌声を届けることを重視し、低音域などを削っているとのこと。

では、音楽に合わせて踊るダンサーは、音楽に「いい音」を求めているのだろうか?

私はやらないが、ヒップホップのようなダンスは重低音を求めている印象がある。

社交ダンスのダンサーは、「いい音」は意識していない。社交ダンスで重視されるのは音をとりやすい (ベースが聞き取りやすい) 音楽であるために、ベースが流れる低音域は大事だ。しかし、音響設備にこだわった会場で踊るわけでもなく (結婚式場、体育館、公民館など)、音楽愛好家が踊るダンスというわけでもないので、「いい音」は意識されていないだろう。

アルゼンチンタンゴでは、「いい音」は求められたり求められなかったりする。
アルゼンチンタンゴの名曲は1920年代から1950年代に作られたものが多く、いまでもそれらの原曲が踊られている。それらは「いい録音環境」で録音されたものではないが、それでも「いい演奏によるいい音楽」として親しまれている。そのため、それらに「いい録音環境」としての「いい音」はない。
一方で、Orquesta Romantica Milongueraのような、昔の名曲を「いい録音環境」で演奏して現代に提供する演奏家もいて、彼らの音楽も親しまれている。昔の原曲に比べると、「いい録音環境」で録音された音楽の方が聞き取りやすく踊っていて気持ちがいいことがあるので、ミロンガでも古い原曲と新しく撮り直された曲のどちらも流れる。
アルゼンチンタンゴは社交ダンスとちがって、タンゴの音楽が好きな音楽愛好家の人が多くいるので、彼らには「いい音」に対するこだわりがある場合がある。しかし、彼らが好むのもやはり古い原曲であるため、録音としてのいい音はないと言っていいいだろう。
世間的にはマイノリティな音楽ではあるが、そういった嗜好もある。

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