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【vol.3】葛藤も、興味も、自分や世界と向き合い続けたその先に。/小川美農里さん

ダーナビレッジの広報スタッフ、サエがお届けするインタビューシリーズ。今回は、ダーナビレッジのオーナー・小川美農里さんにお話を伺いました。ダーナビレッジ立ち上げまでの経緯や、美農里さん自身の価値観の変化、今の取り組みに対する想いなどなど、全5回にわたってお届けします。

「vol.3」では、美農里さんが自身を脱皮できた背景にフォーカス。自分らしさを取り戻すって、一体どういうことなんでしょうか…?

ダーナビレッジとは、「すべてのいのちが輝く社会づくり」をテーマに、健康回復とじぶん発見をめざす体験型の宿泊施設です。ヨガやセラピーなどの体験、隣接する農場で育てた有機野菜のお食事などを通して、「本来のじぶんらしさを取り戻す」お手伝いをしています。

自分らしさを取り戻す。

ーもともと、自己イメージが低かった高校時代にくらべて、大学生になってからは何カ国にも足を運んだり、社会貢献をしたりして、すごくいきいきとされている印象を受けました。どうして、そんなにも美農里さんは前向きになれたんでしょうか?

美農里さん:そもそも、「自分らしくあれない」要因が、いくつかあると思っていて。例えば、そのひとつが教育。わたしが実家にいたころは、家にテレビはあったんだけどNHKかBSしか観させてもらえなかったんです。だから中学生のときに、みんなは芸能人の話とか月9ドラマの話とかしてるのに、会話に一切混ざれないっていうのがあって。そのときに知ってるフリをしたり、隠してしまったり。それだけが理由ではないと思うけど、たぶん「自分らしくあれない」要因のひとつだったと思います。

ー装ったり、自分に嘘をついちゃうってことですよね。

美農里さん:でも海外に行ってみたら、みんながみんな、テレビとか芸能人を知ってるわけじゃないでしょ。国籍も、文化も、言葉も違うけど、そのときを一緒に過ごす。一緒になにかを楽しむ。例えば、アフリカに行ったときはみんなで音楽にあわせて民族ダンスを踊ったりとか。そんな経験から、「みんなと一緒じゃなくてもいいんだ」「自分はこのままでいいんだ」っていう意識を獲得していった気がします。

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ーこれは、美農里さんのお話を聞いてわたしが感じたことなんですけど。美農里さんの場合は、葛藤がありながらもちゃんと自分の興味だったりとか、違和感だったりと向き合い続けてるし、行動が伴っていますよね。そういった過程を経て、ちょっとずつ自分らしさが形成されてきたのかなって。たぶん、ある日突然「これが自分らしさだ!」って思わないと思うんです。いろんなものを自分の目で見て、ふれて、感じながら、ちょっとずつ、美農里さんらしさの本質が磨かれていったように、わたしは感じました。

美農里さん:うんうん、そんな気がする。

ー「自分らしさ」って、どうやったら手に入れられるんでしょうか。

美農里さん:わたしは「自分らしさを取り戻す」って言ってるくらいだから、その人がもともと持っているだと思うんです。もちろん、形成されてくるものもあると思うけど。わたしが「自分らしさ」をテーマに講演させてもらうときに言うのは、「ボディ」「マインド」「スピリット」のバランスがとれているかということ。

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美農里さん:だから、からだが健康でも、自分の考え方や生きがい、魂、天命みたいなことが、バランスとれてないと健康じゃないなって思います。わたしも大学を卒業してから、経験を積むために看護師として病院で働いてたんです。働きながら、勉強もしたりミュージカルに出たりとアクティブに動いていて、気持ちとしては、やりたいことやってるって思っていたけど、1日に2、3時間とかしか睡眠とれてなくて。そうすると、しょっちゅう車のサイドミラーを壊したりとか、居眠り運転しちゃったりとか。ほんと、大きな事故をしなくて良かったなと思うんですけど…。あの頃は、社会の役に立つことや、自己実現のために自己投資をすることで満足を得ようとしていたけど、焦りから来るものも多くて、無理しすぎていました。自分らしさって、「ボディ」「マインド」「スピリット」のバランスがとれてこそかなって思います。

視点が世界から、日本へ。

ー看護師として働いたという話が出てきたのですが、それは看護師としてキャリアを築いていきたいというような想いがあったのですか?

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看護師として病院勤務していたときの美農里さん。

美農里さん:まったく(笑)。ほんとに、自分の勉強のためっていう感じです。そのときは、国際協力に関わる取り組みをしたいと考えていたので、看護師は1〜2年で辞めようと思っていました。結局4年ほど病院で働いていて、自分でもよく続いたなと思うんだけど。看護師2年目の3月に、東日本大震災と原発事故が起きて、そこからやりたいことの方向性が変わったんですよね。

ーといいますと…?

美農里さん:震災があったことをきっかけに、国際協力というよりは日本を拠点に活動していきたいと思ったんです。それに、これまでいろんな国をまわって人々を取り巻く状況を見てきたんですけど、世界の問題を見つめていると日本のような先進国が変わったほうがいいと気づいたこともたくさんあって。例えばアフリカでは、先進国と呼ばれる国が良かれと思ってやっていることが、かえって当事者のモチベーションを下げてしまったり、伝統文化を壊してしまっていたり。そんな現場を目の当たりにして、「支援」のあり方を考えさせられました。

ーそんな背景があって、これまで世界に目を向けていた美農里さんが、日本へと視点が変わったんですね。

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ダーナビレッジには、国内外からボランティアスタッフや、
ビジョンをともにする仲間たちが集まります。

美農里さん:震災や原発事故をきっかけに、持続可能な社会や、その人らしく生きていける社会づくりへの想いが強まり、看護師を辞めてインドにあるエコビレッジ「オーロヴィル」へ行くことにしました。

ーイ…インド!?

▷vol.4に続きます!

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