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【前篇】むだのない暮らしは、こんなにも心地いい。ダーナビレッジ滞在記

西会津町在住のライター西道がお届けする、ダーナビレッジ滞在記。今回は、オーナーの美農里さんと一緒に、ダーナビレッジの特徴や隠れた魅力を知るダーナツアーをお届けします。

廃校になった築80年の木造校舎を活用

ダーナビレッジがあるのは、民家がある集落からすこし坂を登った先。そこはまるで隠れ家のような、木々に囲まれた木造の建物がぽつんと建っています。

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この建物はもともと、学校の校舎だったんだとか。築80年ほどの木造校舎で、木のぬくもりにほっとします。

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入り口には、「Dana Village」のロゴ。「Dana」はサンスクリット語で「贈りもの」という意味。ここにたくさんの人が集い、ギフトを贈りあえるような場にしたいと名付けたそうです。

排水をろ過して液体肥料にする「ロハスのトイレ」

建物をぐるっと裏にまわると、「トイレにも仕掛けがあるよ」と美農里さん。

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草木に覆われた、木の建物…?と思いきや、実はこれ、花壇なんです。ダーナビレッジを立ち上げた当初から、なるべく再生可能エネルギーを使い、石油や原発由来のエネルギーに頼らない暮らしを実現したいと考えていた美農里さん。毎日使うトイレに関しても、環境負荷の少ない仕組みにしたいと考えていたそうです。

そこで出会ったのが、ロハスのトイレ。日本大学工学部で研究開発されたもので、自然界にある浄化の仕組みを再現したトイレだそうです。細かい砂や石などを敷き詰めた3段のろ過層に排水を流すことで、物理的にろ過しながら、そこに棲みつく微生物のちからを借りて分解し、植物が水を吸収するために排水が出ないようになっています。

日本大学では、ロハスのトイレで花壇をつくっているそうですが、ダーナビレッジでは葦や花を植えたり、自生する植物をそのまま観察したりしています。ロハスのトイレを導入することで家庭内でエネルギーが循環し、さらに冷蔵庫2台分の節電にもなるそうです。

このトイレを導入するために、クラウドファンディングを立ち上げた美農里さん。プロジェクトは見事達成し、導入が実現しました。

家庭菜園をやってる人、注目!明日から始められる「コンポスト」

コンポストとは、堆肥のこと。家庭から出る生ゴミや落ち葉、排水などの有機物を、微生物のはたらきによって分解・発酵させてつくります。もともと自然の循環のなかで暮らしていた日本人にとって馴染み深いものですが、都市化が進み、ライフスタイルの変化やごみがまとめて焼却処理されるようになってからは、コンポストを実践する家庭は少なくなってしまいました。

でも近年、家庭菜園をする人や農業に興味ある人が増えたり、SDGsの取り組みが推進されたりするなかで、「コンポスト」という言葉を耳にする場面や、コンポストをやってみたいと思う人が増えてきたように思います。

もちろん、ダーナビレッジではコンポストを取り入れています。

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キッチン横には、いつもこの鍋が置いてあり、調理で出てきた野菜くずなどの生ごみを入れておきます。野菜も皮や野菜くずなど、活用できるものはなるべく調理して、ごはんにいただいています。

建物の屋外には、木材でつくったコンポストがあり、そこに生ごみを入れて定期的にまぜたりして微生物の活性をうながします。

「これがいい肥料になるんです」と、美農里さん。そもそも、お食事にいただいている野菜はほとんど、自分たちの農場で育てているもの。そこから出たごみをコンポストにして、また肥料として活用し、野菜ができる。トイレと同じく、循環していますよね。このお話を聞いて、これは「ごみ」と呼んではいけないなと思いました。だって何ひとつ、むだではないのだから。

これまで野菜くずを燃えるごみとして廃棄していた方は、ぜひお試しください。箱と、かき混ぜるスコップがあれば、いつでも始められます。

後篇へつづく…



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