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25. マルティーナフランカ散策

アルベロベッロからマルティーナフランカのホテルに戻る道、ゆっくり街を歩いてみた。

のどか

ベンチでのんびりしているのは、おじいさんばかり。おばあさんはお買い物などで忙しそうだ。

携帯電話がない光景

驚いたのは、プロカメラマンに結婚式衣装でカップルが写真を撮ってもらっていたこと。今は日本でもドレスでの写真撮影はよくあるし、東京駅あたりでも見かけるが、旅行した当時はそうではなかった。ウェディングドレスやスーツ姿の彼らは石造りの街の風景と馴染んでいた。

日本と違ってスカート部分はタイト
Piazza XX Settembre
バロック!

バロックな街並みだけれど、もっと南のレッチェ(Lecce)ほどのデコではない。落ち着く感じだ。

サンマルティーノ教会
(Basilica di San Martino)
珍しい淡い色調
大地という名前のお店

訪問当時、とてものんびりとした街で、治安がよさそうだった。ゴミが落ちていない。人がおっとりしている。プーリア州のこの地域の領主達は農民から酷い搾取しなかったのかもしれないと想像しながら、 歴史を読んでみる。

レ・ムルジェ高原に位置するこの街の名前のMartinaは、一番高い丘のSan Martinoにちなみ、Francaは免税という意味で、当時の領主フィリップ・ダンジュー(Filippo d’Angio)が移住希望者に特権として免税したことからだそう。当時は政治的に大事な地域だったようだ。地図を見てもトルコや東欧に近い。今は城壁はほとんど残っていないが、24基の塔があったとのこと。

その領主はこの人か。簡単な歴史を見ただけではわからないけれど、どの領主の時代も戦いが多く、きつい時代が続いていたのではないかと推測する。

その後、17世紀末にカラッチョロ家のペトラコーネ5世が6万ドゥカーティかけて宮殿を建てたとのこと。この宮殿は、現在市役所として使われており、見学を申し込めるそうだ。窓からの見晴らしがよく、美術展や音楽会もあるとのこと。市役所とその前の広場で文化の発信、とてもいい。宮殿のInstagramアカウントがこちら。

カラッチョロ家その他のナポリ貴族についての資料となるサイト

18世紀に入ると、住民がこぞってバロックやロココ調の邸宅を建てて、華やかな装飾の街並みになったとか。ルネサンス時代のこのエピソード、どういう状況か興味が涌く。それだけの職人がこの辺りにいたこと、住民が建築にお金をかけられたなら、やはり経済的に活発な地域だったのかもしれない。

1734年製作の時計塔と
かつての大学Palazzo dell'Universita

プーリア州にはマッセリア(Masseria)というタイプの建物がある。元々は古代ローマ時代からあるそうだ。家畜を育てて農業もできるように、この地に移り住んだ貴族が建てた邸宅で、農民が雇われて地代や作物を納めた。その後の中世は数々の戦争や農民の反乱などから、壁が張り巡らされ、見張り用の塔が建てられて防御機能も備えられていく。18世紀になると貴族の保養地として使われるようになり、改築されたとのこと。

こうして、ゆとりができて、農業と畜産が主要産業になっていったのだろう。もう少し南に下ったサレント(Salento)地方では土地が痩せているため、同じくマッセリアはあっても、この高原地帯に比べれば、昔はあまり経済的に豊かではなかったらしい。

そのまま積まれた野菜と果物

マルティーナフランカで食べた野菜の味は濃く、手打ちパスタや乾麺はもちろん、ラムもチーズも美味しかった。オリーブオイルもワインもある。今ものんびり美味しいものを堪能できる場所であってほしい。

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プーリアは高級リゾート地として発展中のようで、ホテルはお値段がかなり上がっています。この頃でも、リゾートではありました。その後、精錬されていった印象。

マッセリアはホテル予約サイトなどで見ることができます。コテージや棟単位の場所が多いので、結婚式や貸切パーティーなどで活用されているようです。

昔のままのマッセリア建築が残っているかなと探しているけれど、まだ見つからず。辛い記憶を消すようになくなっているのかもしれません。

ラグジュアリーマッセリアばかりヒットしていたけれど、やっとのことで見つけました。このマッセリアが好みのタイプ、素朴さと機能もろもろ。10月までほぼ空きナシです。

これはもしかすると、塔の名残り?

あと、佐賀県市町村振興協会、プーリアのマッセリアで海外視察の記録。旅行系の資料とは違い、食育の話などがありました。
https://www.sinko-saga.jp/.assets/kaigai-shisatsu04.pdf


一緒に旅をしているような気持ちになっていただけたら、うれしいです。 または、次の旅の計画のご参考になれば。