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26. バーリで宿泊

またディーゼル機関車に乗って州都バーリへ。匂いと音が独特だけれど、遠く離れた場所を旅行している感覚でいいかもしれない。お供のおやつは小さな商店で買ったアーモンドのお菓子、Tarallucci alla Mandorla。これまで食べたタラッリは白ワインと塩を使っているが、これは卵や砂糖を使った普通のクッキーだった。手持ちの辞書にはないし、ネット検索してもタラッリとタラルッチは混同している。方言かもしれない。真空パックのチーズはこの時点では開かず。Cacioricottaはリコッタ。チーズはformaggioではなく、cacioという表現もあるそうだ。

よく見るとpalmilatだ

バーリのホテル選びは迷った。最初は駅からすぐの5つ星(当時)ホテルにしようとFAXを送って回答待ち。後日電話がかかってきたのは「1.旅行の準備」に書いたとおり。

バーリは治安が良くないかもしれない、とイタリアマニアは心配そうだった。そのため、できるだけ安全だと感じられること、駅にほどほどに近いことが条件だった。ガイドブックに載っていた、駅から数分程度のHotel Victorを調べると、サイトがあった。ビジネス向けメインのホテルらしい。念願の旅行なので、厳選したい気持ちはある。しかし、いろいろな形式の宿泊施設にとまるのもいいのでは?と思い始めた。設備が古いことが気になるけれど、ほぼ寝るだけだし、バスタブはあるし、予算の都合もあるから。ここにしよう!と落ち着いた。

ホテルに到着。出張の客が多そうだ。チェックインはスムースに終了。対応してくれたスタッフは身長の高い細身、白髪の男性で、キャリアが長そう。英語も流暢だった。対応はほどほどにフレンドリーで自然体。こちらの語学のレベルを考えると、何か起きても大丈夫な気がしてきた。

とりあえず一安心して部屋に向かう。部屋の写真はない。想像通り、バスルームやベッドはイマイチだったが、しっかり掃除されていて清潔だ。

壁には料金表のようなものが貼られている。見ると、全然値段が違う。予約の値段の方がずっと安い。季節での価格変動などを考慮しても、差が大きい。これまでのホテルにも、同じものはあったかな?思い出せない。少し不安になり、プリントアウトした予約票と一緒にフロントに向かう。その料金表は40センチほどの額に入っているため、変な人に見える。案の定、エレベーターで一緒になったビジネスマンの視線はこの額に。

フロントでは、さきほどのスタッフがお客様の対応中。注目される額を抱えてしばし待つ。イタリア語では無理なので、英語で予約票と額を見せながら尋ねると、気にしなくていい、これは決まりがあって掲示しているものだから、この予約票の値段だよ、と聞いて安堵した。

冷静に考えれば大丈夫なのだけれど、シチリアのホテルでの出来事で慎重になっていたようだ。こうして、アホなことにも穏やかに対応してもらえたことで、旅の初めから続いていた緊張が解けた。ちいさなことなのにね。

次は、カメラを調達しに。パレルモの空港で飛行機を撮影した後、動かなくなってしまったから。その後、マルティーナフランカで「写ルンです」を買えた(「23.マルティーナフランカの夜」参照)。これには助けられたけれど、カメラ本体が欲しい。幸いホテルまでの道にカメラショップがあった。一眼レフまである。さすが州都!この店には、日本製のコンパクトカメラが2種類あった。若い店員は両方の製品を箱から出し、操作しつつ、丁寧に使い方の説明を始めた。シャッターが切れるのが速いからPentaxにしますというと、深く頷いた。どうもこの辺りはこのような対応が一般的らしいことを理解した。マルティーナフランカのお茶の水博士、ごめんなさい。

さて、カメラを買えたので、これで食事の写真も撮れる!旅行の目当てのひとつだもの、気分が上がる。ホテルを出る前におすすめを聞いておいた。その店に向かうため、ホテルの方に戻る。

フロントスタッフが教えてくれたのは、向かいの店だ。そこだよ、と指差して。え?マージンとかあるのでは、ほんの一瞬頭をよぎる。爽やかな笑みとともに、本当だよ、おいしいから、と。この男性スタッフは言葉少ないが、安心して信頼できるのを忘れそうになった。そして、これが本当に自分が食べたかったタイプの、家庭的なおいしいイタリア料理だった。当時、最後の晩餐は何?と聞かれたら、ここの料理と答えるほど。

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このホテルはその後大規模改装され、きれいになったのだけれど、残念ながら廃業されたようです。ホテルの名前で検索すると廃業と出てくるけれど、まだポータルサイトに掲載されています。改装後のお部屋はこんな感じでした。

https://www.expedia.com/Bari-Hotels-Victor.h1133096.Hotel-Information?referrerId=HOT.HIS.Share.Landed.Copy_Link

Standard twin
シャワーが可動式!

上の写真はExpediaから。

当時のレートで一泊朝食付き9500円

今はユーロのレートと関係なく、プーリア全体のホテルの価格は当時に比べてかなり上がっていると思います。

最初の写真は「1.旅行の準備」に書いたガイドブックの地図。この巻末のインフォメーションリストはこちら。当時、バーリの紹介をしている旅行サイトやポータルはなかったので、これだけしかないけれど、とても助かりました。


コンパクトでも重要な情報源
英語ではホテルヴィクター


一緒に旅をしているような気持ちになっていただけたら、うれしいです。 または、次の旅の計画のご参考になれば。