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素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む

「素直だね」と人から言われる事が嫌だった。
素直=お人よしで、利用できそうと思われている気がしてならなかった。メディアやネットの風潮に、毒されていたのかもしれない。

ふと思い立ち、松下幸之助さんの『道をひらく』を読み直している。
「素直に生きる」の頁に、タイトルの一節がある。
"素直さは人を強く正しく聡明にする。逆境に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸びてきた人、その道程は異なっても、同じ強さと正しさと聡明さを持つ"

「素直さを失ったとき」の一節が、今夏のある出来事を思い起こさせた。当時は、逆境の真っただ中である。仕事で、どうしようもなく苦しくて悔しくて、我慢できなくなった事があった。取柄のはずの素直さを失った時、驚くほど卑屈になり、前に進めなくなったのだ。

どうやって乗り越えたのか、今となっては不思議なのだが、何とか気持ちを切り替える事ができたので、普段の自分に戻る事ができた。卑屈さの呪いから解放されたおかげで、苦しかったけれど、辛抱強く思考を繰り返すうちに、良いアイデアが浮かび、プロジェクトを乗り切った。

素直である=利用できそうなおバカではない。
素直さがあれば、とらわれることなく、必要以上に苦しむことなく、甘んじることなく、依存することなく、ある種の余裕をもって、物事に取り組んでいける。幸之助さんの文章を肝に銘じておこうと思った。


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