憲法の保証する自由を制限する事例

社会生活を営む人間は、当然自分だけでなく他者にも人権保障が及ぶ。

つまり、あなたの人権と私の人権が衝突することも起こりうる。そして、どちらかが敗北する。

共に憲法という最高法規に守られているにも関わらず、他人に迷惑をかけてはいけないという基本的な観点から規制を受ける場合があり、この場合、人に迷惑をかけている側が不利になる。極めて常識的で、納得感のある判断。

これを「公共の福祉」による制約と呼び、時に憲法が保証する自由に制限を与えることがあるのがポイント。

とはいえ、憲法は公権力と個人の関係に関する決め事で、個人と個人の関係に直接適用されるルールではない。

私人間効力という考え方

例えば、会社が従業員に対して差別的振る舞いをしている場合、従業員は憲法の人権保護を理由に、不適切な振る舞いをやめるように頼めるか?という問題を考えればわかりやすい。

会社は公的機関ではないので、私人として扱われ、個人もまた私人として扱われる。私人と私人の間の揉め事なので、憲法の出番ではなく、民法を利用して判断するケースを「私人間効力を考える」事例と捉えるのが基本。

結論、民法の公序良俗に反するので、従業員は会社に差別的振る舞いをやめさせることの正当性を裁判所に認められる。公序良俗に反する理由として、間接的に憲法の人権保証に背くことを主張するイメージ。

まあごちゃごちゃ難しそうな風体してるけど、国家権力を縛る憲法の規定を根拠に据えて、主に民法などの法律を元に個人や法人の間で起こったトラブルを処理することができる、って感じ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?