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【感想】Fate/stay night Heaven's Feel 3章

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士郎の覚醒についてまではネタバレしません。

感動で震えました。きっとこの先5年10年はこれを超えるアニメは出てこないんじゃないかというくらい。

とりあえず、知らない人向けにざっと中2病っぽくいうと、

「様々な類の重荷を抱えた者たちの苦悩と信念、そして救いを描いた物語」

みたいな感じじゃないでしょうか。

どの人物も、自分の望みや理想とは逆の理不尽な現実を見せつけられ葛藤しますが、それでも答えをだして前に進んでいきます。

ファンタジーの話なので、その葛藤は現実離れしているんですが、それでも何か伝わるものがある。だからこそ、多くの人が感動する。そんな話。

ヒューマンドラマを中心にめちゃくちゃかっこいアクションシーンがあるみたいな感じ。

見どころは色々あったけど、やはり士郎の覚醒と信念の強さは本当に感動させられた。

士郎の覚醒

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士郎の覚醒のシーンは鳥肌が叫びました。もはや比喩じゃない。

士郎の中に入り込んで、覚醒する感覚を肌で味わうようなあの表現は、多分言葉では絶対に伝わらない。

陳腐な言葉ですけど、かっこよさとは何かを突き詰めたような
本当に素晴らしいシーン。

2章のおとぎのあの世界の感じと似ていて(いつかこれについて書きます)、1,2分程度でその人物の感覚がまるごと伝わってきます。
あぁ、このシーンのために見に行ったんだなと思うくらいでした。

興味が沸いたら是非映画見に行ってください。
ストーリー全然わかってなくても伝わるものはすごく伝わります。
絶対に後悔はしないと思いますので。

※ここからネタバレ。


セイバー戦

セイバー戦はかっこよすぎて泣きました。2章のバーサーカー対セイバー戦以上でした。日の目を見なかったライダーが活躍しましたね。

とりまローアイアス大好き。

士郎がセイバーに止めを刺すときの表情がまたいい。必死な思いと少しためらいが混ざったような感じだった。

パンフレットに書いてあったけど、原作のゲームでは士郎がセイバーに止めをささないっていう選択肢があって、それを選ぶと、セイバーが「シロウ。初めて、貴方を憎んだ。」と言って、BADENDになるらしい。

解釈に幅があると思うけど、セイバーは今の自分が気に食わなかったんだろうし、理想に忠実な孤高の騎士だったから、マスターだった士郎が信念を曲げたことに苛立ったのかな? ここわからないので是非コメントください‼


凛と黒桜 凛と桜の過去を踏まえて

多分ここがきっと3章で一番重要なシーンじゃないでしょうか。

戦いながら桜は凛には敵わないと思って、自分の不幸を振りかざします。

それに対して凛は恐ろしい言葉を言い放ちました。

「だから何?」と。

hf 凛


ちなみに、パンフレットにも書いてありましたし、
言峰も桜に対していっていましたが、黒桜の状態は桜の裏の部分が表面にでてきただけで、アンディマユに取り込まれたわけではないそうです。

それを踏まえたうえで...

ここで桜に謝ったら、きっと桜はさらに優越感?に浸ったかもしれません。


桜は耐えることしかできなかった。
まだ幼かったし強さを持ち合わせてはいなかった。何より優しい性格なのだと思います。
だから、助けてくれない周りを恨むし何より家を継いで誰からも虐げられず、幸せそうに見えた姉の凛を恨んだ。

凛が助けに来てくれるはずだったのにと。

きっと桜は心の底では凛と分かり合いたいと思っている。
だからこそ、セイバーに先に通すように言ったんだとも捉えられる。
臓硯も慎二も殺し、凛と士郎を敵に回して、
本当の意味で一人になっていましたからね。

だけど、助けに来てくれなかった凛と世界を許せるほど、
今までされてきたことは軽くはない。
それに、多くの人を殺しましたからね。
お互い許しあうことはできないと思ったはずです。

できないなら、いっそ凛と世界に復讐することで、
つながりを絶って楽になりたかったんではないでしょうか。

「なんでわたしの周りにある世界は、こんなにも、わたしを嫌っているんだろう」

この言葉に桜の思いが込められると思います。



だけど、宝石剣が強すぎて、その思いはかなえられないと知る。

そうして、桜は不幸を武器にするわけです。

自分の辛かった過去は誰にもわからない。
誰にもわからないほど特別辛い過去
凛は助けに来てくれなかったが、
それでも一人で生き抜いてきた自分を敬えと。自分に謝り屈しろと。



凛はそれがわかったうえで、あえてだから何、といったのだと思います。

本音なのかもしれないけど、UBWのデレッデレの凛を知っているので、桜のために言った言葉だと思いたい笑。

本音だったとしても、ここまで強くは言わないんじゃないでしょうか。

遠坂家の当主として責任を果たすために、桜を殺そうと思っているだけだったら、さらっと言うかもしれませんが。

結局桜を殺せなかったので、桜を守りたいという思いの方が強いはずです。

しかも、そのあとで「あいにく、他人の痛みはわからないの」と続けているので、
かなり気を張って、優しさを捨てようとしてるんだと思います。


ただ、「だから何?」はただ突き放そうとしただけではない気がする。

特別であろうとする桜を自分と同じ位置におろしたかったんだと思います。

そうして、しっかり話したいという思いがあったはずです。

不器用なので、最後になってようやく話し始めましたが…


zeroを見直してわかったんですが、

凛は小学生くらいにすで父親を聖杯戦争で失い、
母親も精神障害?をもっていて、
桜ほどではないかもしれませんが、かなり辛い経験があるんですよね。

凛はこのときに既に幼くして遠坂家の当主になっています。
他の子どもだったらあるようなモラトリアムはないし、かなり孤独です。

だから、桜が思っているほど凛は恵まれていないんですよね。

実際、凛も「自分が恵まれているとは思ったことはないけどね」と口にしていました。
自分が辛い経験をしている分、桜は楽でいてくれると願っていた。

原作やったことないんですが、凛は桜に対して壁を作っていたんですかね?

幼いころに桜と別れたのは、お互いに傷が残ったのかもしれません。

その傷に蓋をするために、お互いに壁を作っていたのかなぁ。


きっとこのシーンはそういった過去と向き合うためだったかもしれません。

桜がすべてをさらけ出して、凛は突き放しつつも、同じ目線で話そうとする。

どちらも一人で生きてきた意地があるので、凛が倒れるまで話し合おうとしませんでしたが。


最高の結末

最後が物足りないっていう人もいるらしいんだけど、hfはあの終わり方がベストだったんじゃないかな。

hfの最初の方でもubwでもあんなに自己犠牲的だった
士郎が「生きたい」って張り裂けるように叫ぶのは心に来る。

スマホ版のfateがセイバールートは無料なので、最近やっているんだけど、

セイバーが士郎に「あなたは自分を助けようと思ってないのではないですか」といって、

士郎が「そんなの当たり前じゃないか」というんです。

この時はなんかもう痺れました笑


生きたいって、シンプルだけど力強い言葉ですよね。

士郎ほど過酷な境遇にいるわけじゃないけど、
なんかすっごい勇気をもらえた。


逆にイリヤが犠牲になっちゃったけど、アイリに会えたっていう救いがあるから。アインツベルンとしての役割も果たせたし。

最後の士郎の腕とアーチャーの腕がつながれるシーンがありましたが、あれってどういう意味なんですか?

是非教えてください!!

惜しいと思うところ

以上が感想なんですけど、ここまで盛り上げておいて悪いと思うんですが、尺がちょっと足りなかった気がする...

もう少し、凛と桜の絡みを描いてほしかった。

zeroを知っていたからよかったけど、知らない人にとってはあまり感動しないんじゃないかな。

凛が過去に桜に対して思っていた感情をもう少し(トランプのシーンはよかったけど)描いてほしかった。

原作プレイ済みの人の評価は高いけど、原作知らない自分からすると、凛と黒桜の絡みはたった2シーンで終わっていいものじゃない気がする。

言峰の話も、原作やった人からすると必要十分なのかもしれないけど、そもそも人の不幸を至福と感じているって時点でかなり得体の知れない人物だからもう少し多く描いてもよかったんじゃないかなぁ。3章でいきなり全部やるんじゃなくて、1章、2章で少しずつみたいな。

まぁ、zeroは視聴済みなんで、今回で一応どんな人間かは理解できたつもりだけど、ちゃんとわかってあげれないのがなんか寂しい。

あ、言峰はただ寂しい人間として描きたかっただけなのかな?

それなら納得。


全体的に見れば名作中の名作だと思う。すごいよくまとまってるし、士郎はめちゃくちゃかっこよかったし、アクションシーンはさらに磨きがかかってるし、ちゃんと今まで表にはでなかった桜の醜い部分も出している。

ただ、2章があまりも衝撃的すぎた。(近いうちに2章で感じたことも書きます。)

桜、士郎、慎二の心情に焦点を当てていたように、3章で桜と凛の心情をもっと描いていれば、評価は限界突破しただろうにと思えてしかたがない。

最後の、桜が「幸せです」と答えるシーンで号泣したと思う。

だからといって、何をどう描けばいいのかはわからないが。


ともかくこんな素晴らしい作品に出会えたこと、この作品に携わった全ての方に感謝したい。

本当にありがとうございました!!

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