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ビートルズがもし解散しなかったら ~幻の黒盤つくってみた~

ビートルズの幻のアルバム

もう今では古い記事なのかもしれないが、ビートルズがアビーロードの次回作を作ることを検討していたらしい。

ということで、もしもビートルズが解散せずにもう一枚アルバムを作っていたら?通称黒盤(ブラックアルバム)をつくるおあそび第2弾。

ちなみに、ブラックアルバムの元ネタは『6歳のボクが、大人になるまで』という映画にあるらしい。私はまだ見ていないが、作中で息子にオリジナルのビートルのソロ作品ベスト盤を渡すシーンがあるそうだ。

ルール
①1969~71年時点での未発表曲、未完成曲、ソロ曲を使う。
②ジョン、ポール、ジョージ4曲、リンゴは2曲
③クレジットはそれぞれ別
④Ifの流れに沿わない曲は入れない(ジョンのGodなど)

The Beatles 1971(仮称)

1 My Sweet Lord  (Harrison)
2 Working Class Hero (Lennon)
3 It Don't Come Easy   (Starkey)
4 Every night  (McCartney)
5  I Found Out  (Lennon)
6 Junk (McCartney)
7 Art of Dying (Harrison)

8 Photograph (Harrison&Starkey)
9 Beware of Darkness (Harrison)
10 Jealous Guy (Lennon)
11 Maybe I'm Amazed (McCartney)
12 Love (Lennon)
13 All things must pass (Harrison)
14 The Back Seat of My Car (McCartney)

やってみて思ったのはジョージハリスンの持ち曲の凄まじさ。
解散後に3枚組を出したのは、自作の曲を入れてくれないレノンマッカートニーへの当てつけとも思えてしまう。
そして、湯水の如く名曲を作り出すライターが3人もいるため、あれもこれも入れるわけにはいかない…

やはりビートルズはあの時に解散する運命にあったように思う。
これだけの才能を納められるキャパシティはもうビートルズにすら無かった。
4人は既にビートルズの枠組みを超える力を持っていた。
バンドは終わるべくして終わったのである。

曲解説

1 My Sweet Lord  (Harrison)
 1970年発表の大作『All things〜』からのシングル。神に対する真っ直ぐな想いと、スライドギターの妙技が光る。
曲自体は1969年後半には出来上がっていたという。

2 Working Class Hero (Lennon)
 遅れて来たボブディランのような曲。宗教とTVとsexに酔わされ、誰もが平等と信じ込まされていた、という歌詞は今の社会にも通用する普遍性を持つと言えるのでは。

3 It Don't Come Easy   (Starkey)
 『Octopus's Garden』に続くリンゴによる曲。実際はジョージによる手助けが入っている。
アルバムの流れとしても、シリアスなジョンとジョージの流れから来て、気軽に行こうぜとリンゴ兄貴に引っ張ってもらう感じで。

4 Every night  (McCartney)
 既に1969年のゲットバックセッションで演奏され、その後ポールのソロ一作目に収録された曲。
『Things we said today』やこの曲、随分後のソロ作フレイミングパイの『If you wanna』、『Young Boy』といった、アコギとバンドサウンドを絡める曲はポールの得意技。

5  I Found Out  (Lennon)
 生前ジョンは自分のギターの腕は大したことないと言っていたが、ギターで感情を語らせる技には自信を持っていたらしい。
「クラプトンに聞いてくれれば分かる」と。
それを実感できるダークなカッコいい曲。

6 Junk (McCartney)
 1968年にインドで作られた曲。哀愁漂うアコギとポールの歌の美しい曲。

7 Art of Dying (Harrison)
 死の美学という物々しいタイトルから、作られた67〜68年には発表が見送られた経緯を持つ。
仏教(ヒンドゥー教?)的な輪廻と悟りについて歌われる。

8 Photograph (Harrison&Starkey)
 1973年発表だが、原型はすでにできていたので…ジョージとの共作クレジット。

9 Beware of Darkness (Harrison)
 解散後に作られた曲。日常に潜む胡散臭いもの、詐欺師や政治家などの闇に気をつけろという警句。

随分前だが、トランプ前大統領の娘の政治イベントでの登場曲に「Here comes the sunはダメだけど、これなら使ってもいいぞ」と。
これがブリティッシュジョークか。

10 Jealous Guy (Lennon)
 イマジンに収録された曲だが、原型は1968年のインドで書かれた『Child of Nature』
そこから歌詞を書き換え完成した。ニッキーホプキンスの美しいピアノが聴けるが、ビートルズ版のアレンジならジョンがピアノでジョージが洒落たオブリを入れるかもしれない。

11 Maybe I'm Amazed (McCartney)
 今でもライブ演奏されるポールの名曲。
すでにゲットバックセッションでも取り上げられていた。後半のギターソロをスライドでやったらまた味がある作品になってた気がする。

12 Love(Lennon)
 芭蕉にインスパイアされた簡潔だが強いメッセージ性のある曲。

13 All things must pass (Harrison)
 諸行無常、栄枯盛衰。東洋思想を反映させたジョージの傑作。ラストで一瞬アコギのフレーズが出てくるところが好き。

14 The Back Seat of My Car (McCartney)
 名盤『Ram』の最後を飾るドラマティックな曲。歌詞はビートルズを脱退し世間から批判を受けていたポールの心境を、逃避行の男女に重ねているのだろうか。
後半の感動的な盛り上がりで一旦幕を閉じ、一転してポールのシャウトが光るロックサウンドで終わる。
The long and winding roadの続編のよう。

この曲いままでライブで演奏されたことがなかったのだが、なんと2017年10月にメキシコシティでワンフレーズだけポールが歌っている。

入れられなかった曲

ジョンレノン
・Mother
・Isolation
・God
・How do you sleep
ポールマッカートニー
・Too many people
・Monkberry Moon Delight
ジョージハリスン
・Apple Jamの5曲

わりとこの先人たちの1970年以降のアルバムを妄想する試みの中に入っていることがあるが、個人的には入れるのはどうかと思っている。

ジョンとポールが互いを中傷する曲や「ビートルズを信じない」と歌われるGodである。
そのほか、ビートルズ解散やアップルの財政問題といったゴタゴタに巻き込まれ、疲れ果てていたジョンが受けた原初療法の治療が元になって生まれた曲などだ。

モンクベリームーンデライトに関しては個人的に好きなのだが、ぶっ飛んでて入れられないかなと。

身も蓋もない話だが、
遅かれ早かれビートルズは解散していただろう。
ポールの代わりにジョージが、ジョンが抜けてもなにもおかしくなかった。

黒盤を作ってみたが、ただのメンバーのソロの寄せ集めベスト盤のようにしかならなかった。

歴史にIfはないように、きちんと『All Things Must Pass』が全曲世に出る歴史で良かった。

おしまい

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