凜之介(りんのすけ)

はじめまして。 暇つぶしに、1日頑張って疲れた後に、寝る前に、読んでもらえれば嬉しいで…

凜之介(りんのすけ)

はじめまして。 暇つぶしに、1日頑張って疲れた後に、寝る前に、読んでもらえれば嬉しいです。お礼メッセージのイラスト頑張りました。見てください。 当面は不定期ですが、落ち着いたら毎週金曜日にあげたいです。

最近の記事

今年のたなばた

牛     『よう。ヒコ。七夕近いな。結局あれどうすんの?        いつまでもは、ごまかせへんで?』 彦星    『いや。やる。オレはやる。ごまかし通す。雨降らせる』 牛     『晴れ、らしいで』 彦星    『オレは降らす。でけへんけど』 牛     『はぁー。いい加減、自分自身と向き合えわねぇの?』 キレ気味彦星『ねぇねぇ牛くん。オツキアイって肉体関係ないとダメなの?        ピュアピュアハートでつながっちゃダメなの?』 牛     『いや。無理でしょ。アイ

    • 死神(女子高生ver.)

      私は女子高生だ。それも、ひきこもり女子高生だ。女子高生って風俗市場最高価値がつくらしい(ホントか?)。それがずっと、家に、自分の部屋に、引きこもって、半年以上、だ。こういうの、もったいないっていうのかなぁ。ちょいちょい男子から告られていたから、ブスじゃないと思うんだけどな。でもまぁ、長い間、人と口をきいてない。親ともほとんど口をきいてない。最初の内こそ、親もドア越しに色々言ってきたが、無視してたらそのうち何も言わなくなった。今の私は女子高生やめるどころか、人間やめてる感じ。口

      • お寺のハロウィン

        孫     「ばあちゃん、オレ、ハロウィンやりたい」 おばあさん 「ダメだよ。ウチはお寺だから。」 孫     「保育園のお友達、みんなやってるもん。オレもやりたい。や           りたい。やりたい。ギーギーギーギー」 おばあさん 「あぁ。うるさい。うるさい。ギーギー言うのおやめ。じいち ゃんに内緒だよ。さぁ、どうすりゃいいんだい?」 孫     「カボチャ。こんなにおっきいカボチャがいるの。おっきな口あけてガオーってするの」 おばあさん 「そんなものあるか

        • さぼちゃん(2)

          ヒーヒーフー。ヒーヒーフー。 呼吸を整え、少し落ち着いたさぼちゃんは、抜けたトゲをどうするか考えた。 『そうだ、冷蔵庫に豆腐があったな。アレに抜けたトゲを刺そう』 むかし、ニュースで、針をコンニャクか豆腐に刺している映像を思い出したのだ。 なんだか、神秘的でイイ感じだった。 オレのトゲも神秘的でイイ感じだからな。ピッタシ。 抜けたトゲを持ち、風呂を上がろうとして、「あ、」と小さくつぶやいた。 『じいちゃんの教え』を忘れるところだった。 ーーーーー 『じいちゃ

          童話(口裂け女)

          感染症が流行って、みんなマスクした。 とても強いウイルスだったので、マスクをしない人はいないほど、みんなマスクした。 マスクしてない人は、ものすごく目立った。 口裂け女もマスクした。 マスクないと目立って仕方ないのだ。 口裂け女だって感染症は怖かったし、人にうつすのも悪いと思ったから、マスクした。 口裂け女は、ホントは、目の見えない人の手をひいてあげるくらい優しかった。 でも、みんなが、自分の顔を見るだけで、叫び、怖がり、憎むのだ。 だから、悔しくて、意地悪し

          童話(さぼちゃん)

          さぼちゃんは、お風呂で、この世を滅亡させるような叫び声を上げた。 腕のトゲが抜けて流れていったのだ。 痛くはなかった。 スポンジで腕をこすったら、なんの抵抗もなくトゲが抜けて、泡と一緒に排水口に流れていったのだ。 あぐあぐと喘ぎながら、トゲが流れていってしまわないように、慌てて拾い集めた。 息を止めて考えた。 生まれて初めてだ、こんなこと。何が起こった? 思わずトゲの抜けた所を確認した。 薄くへこんではいるが、血は出ていない。痛くもない。何度も撫でて確認した。

          童話(さぼちゃん)

          カラス

          アスファルトにカラスが降りてきた。 車に気をつけているのか、カラスは道の端、日陰の暗いところに降りてきた。お盆に近いその日は、いつもより陽の光が強く、影は一層強かった。影に潜むようなカラスの体と、アスファルトの境目は、陽炎のせいかぼんやりとしていた。カラスはキョロキョロと目を泳がせていたが、喫茶店でぼんやりコーヒーを飲みながら外を眺めている私に気づくと、きっとこちらを見つめた。カラスはひょこひょことステップを踏み、身体の向きを変え、改めて私を見た。思わず私もカラスをまじまじ

          疑心

          ハイブリッド食品が発売された。 ハイブリッド食品とは、別々の食品の特性が掛け合わされたものだ。下味が最初からついている便利な食材といった感じだろうか。例えばニンニクの味がついている牛の生肉、採れたてをチンするだけのバター味付きトウモロコシ、見た目はただの白米なのに食べると磯のりの味がついているご飯など、ハイブリッド食品といっても、いろんな種類がある。牛肉とニンニクのハイブリッドなんか、わざわざニンニクをすりおろして下味をつけなくてもいいものだから、大変好評だった。オレもすぐ

          ステップ アンド クラップ

          男はビルの屋上の柵の外にいた。 風が地上から吹き上げ、前髪を吹きちらした。柵を両手で握って真下を見下ろした。眼下には、自分に関係のない、多くの人達。自分が落ちた時、誰かを巻き込んでしまうかもしれないけど、まぁ諦めてもらおう。こっちだって余裕がないんだ。これで楽になれるんだ。さぁ。右足を空中に一歩出した。 足が動いてない。心の中で薄ら笑った。意気地なし。こんなだから、他のやつらにバカにされるのだ。改めて強い気持ちをもって足を動かそうとした。 動かない。違和感を覚えた。まる

          ステップ アンド クラップ

          記憶

          オレは、その日初めて出会った老人に、タダ酒を一本もらった。 オレは、いつものように路上暮らし仲間と飲んで、そのまま道端で寝た。そして起きたら、隣に老人が座っていたのだ。その酒、一杯につき身近な人一人忘れるという酒だそうだ。 オレは、日々の生活にも、酒にも困ってたし、昔からの知り合いはみんな死んだんだから、どうってことないやと、ありがたく酒をもらった。どうせこの歳だ。命だって、たいして残っちゃいねぇだろ。酒はあっさりと上品な味だった。 飲むと、身近な人から忘れた。小さな頃

          野望

          ネコはトラになりたかった。 カワイイなんて、いつも言われて飽きていた。カッコイイっていう言葉に憧れた。 カッコイイって言ったらガチムチマッチョだろ、と思った。そこで、プロテインを飲むことにした。ネコはどちらかと言えば、形から入るタイプだった。ミルクプロテインとソイプロテインのどちらを飲むか迷ったが、ミルクプロテインの方が美味しいというコメントがあったので、ミルクプロテインをアマゾンで注文した。 身体は順調に仕上がってきた。 ひと回り、いやふた回りは大きくなった気がした

          たまみのプライド

          トイレットペーパーのたまみは、いい加減イヤになっていた。 増えるならいい。グルングルン回され、あげく減っていくのだ。 全く納得できない。 『トイレで煙草吸うな!』、何度注意しても無視される。 『そんなに紙いらんだろ!大事に使え!』、ニヤニヤされながらスピードを上げられ、わざと回される。 そんな無意味な、ゴミみたいな毎日だ。 こんなことなら、芯だけになって、さっさとお役御免こうむりたいものだと、自分と世の中を投げ出し、毎日ふて腐れていた。 そんなある日、たまみの我

          たまみのプライド

          露草

          バクはつらい夢を見た。 バクは、世界中の夢を食べた。 それが彼の存在価値であり、生きるために必要な食糧だったから。 世界は、楽しい夢より、つらい夢、悲しい夢のほうが圧倒的に多かった。 ある日、バクは、泣きながら寝ている女の子の夢を食べた。 バクが夢を食べ終わると、女の子は長いため息をつき、深い眠りに入っていった。 女の子が安心した表情になったのと同時に、バクは顔をゆがめた。 『あぁ今日もオレは、このつらい夢の続きを、自分の夢として見ないといけないのか』 バクは

          存在の不安

          フラれて、かえるのヘェ助は考えた。 オレってなんだ? 冷蔵庫にもたれ、床に座って、ぼんやり天井を見上げながら考えた。 この歳になるまでオレは、オレ自身の内面を、きちんと見つめた事がなかった。 ずっと。 きっと、そんな底の浅さが見破られ、彼女に愛想つかされることになったのだろう。 オレは、オレ自身を調べるために、へその横の皮を引っ張って ハサミでチョキチョキ切った。 そして切った所から、腹の奥へグッと手を入れてみた。 すると、固いものが触れ、オレはゆっくりと時