ビシエドを「出荷準備完了」と揶揄した日刊ゲンダイを絶対に許さない

 我々ドラゴンズファン、ここ数年は目を疑うような衝撃的な事件が次々発生するせいで、ゴシップ誌のデスクと会話しているような妄言をスルー出来る忍耐力が身についているように思えます。
 しかし、そんな中でも今日、どうしても見過ごせないネット記事がTLに流れてきました。それは以下のスクショです。

件の投稿の魚拓

 内容はどうでもいいです。しかし、どうしても見過ごせないのは、ご丁寧にも""で括った「出荷準備完了」という六文字です。

 僕がこの表現に憤る理由は三つあります。
 まず第一にうちの大切な選手に対してまるで物かのような言い方をする「出荷」という言葉選び。第二に絶対に手放せない大切な選手をあたかも中日球団が放出したがっているかのような物言い。
 そして第三。これが最も重要な、これまでのガセ記事の表題とは一線を画す問題点です。それは、「出荷準備完了」という言葉に秘められた黒人差別的ニュアンスを、記者やゲンダイは容認しているという点です。

「出荷」という言葉を人に使うシチュエーションとは、人が人として見られておらず、物としての商品的価値を付けられている状況。
 そう、即ち「奴隷」です。
 ヨーロピアンが黒人を奴隷として使役して以降、黒人差別と奴隷制は到底切ることの出来ない歴史的な繋がりを持っています。そのような不適切な表現を、あまつさえ民族的当事者になりうる彼に(実際ビシエドは来日初年度にナゴヤドームで差別的な野次を飛ばされています)使用するとはいかがなものかと思いませんか?

 とはいえ差別的な意図が込められていないにも関わらず偶然ワードが抵触してしまい問題になるケースもあります。
 仮に、選手の日常や意気込みを題材とするようなありふれた記事の中に偶然差別的とも取れる表現が混じってしまい、それが突かれてしまったのであれば、それは貰い事故です。何故なら記事は選手を下に見て貶める意図を持って書かれた内容ではない、所謂「言葉狩り」でしかありません。
 しかし、そう言える言葉にも限度はあります。

「出荷」

 この言葉を物や家畜以外に、ましてや人に使用する場面があるでしょうか? 自己卑下としての表現に使うことならあるかもしれませんが、親しい訳でもない他者に使うのであればそれは「お前なんか物同然だ」と言外で嘲笑っているのと同等です。
 その上、記事の内容は8年間ドラゴンズ一筋で活躍した偉大な選手を球団が手放したがっているというある種のネガティブキャンペーンであり、ビシエドをどこまでも腐し軽んじたものであるわけです。そこに「出荷準備完了」などという物同然の言い種をしていれば、その表現が、筆者のビシエドを人として見ていない、下に見ている意識の表れであると言われても仕方がないでしょう。
 また、黒人に対する差別的な感情に少しでも意識的であれば奴隷制を想起させる人に対する「出荷」という表現を避けようと(そもそも相手が赤の他人であることに考えが至るのであれば出荷という表現が如何に不適切であるかの考えに至りそうなものですが)、仮にも売文を生業としている人間であれば考えつくはずですが、この記者はそうしていません。それどころか""で括り強調することで少しでも侮辱的な意味合いを強められるように工夫さえ為されている始末です。
 先述した記者のビシエドを見下す心情を加味して考えれば、この記者が無意識的に、或いは意図的な差別的感情を以て「出荷」という表現を用い、括弧付きで多くの人の目に留まる表題に採用することでより己の差別的・侮辱的思想を声高に主張されることを望んだ。そう読み取ることが出来ます。
 そして、この悪意に満ちた記事の掲載を許可した日刊ゲンダイそのものにも、やはりダヤン・ビシエドという一選手や引いては黒人という種全体を差別する意思があるのだと、そう受け取ることが出来ます。重ね重ねになりますが、少しでも人を人だと思う気持ちがあるのならば、「出荷」などという不適切極まる表現にストップをかけないとおかしい訳ですが、そうなっていないということは企業そのものが差別的思想に染まっていると言っても過言ではありません。

 こんなこと、到底許されていい行為ではありません。

 勿論、ここまでの話は全て僕の推測です。「出荷」という言葉に秘められた悪意にとことん無自覚な無知蒙昧である可能性もありますし、僕ごときの想像力では到底及びつかない素晴らしい意図を持ってこの表現をチョイスしたのかもしれません。
 しかし、文章を書き人に読んでもらう職業が、この程度のリテラシーと共感能力で成立してしまうこと、そしてそんな奴等の飯のタネにドラゴンズの大スタービシエドの苦悩が消費されていくことが溜まらなく悔しくてしょうがないのです。

 改めて言います。ゲンダイのこの記事は差別的発言でありれっきとした誹謗中傷です。こんなものを書いた人間が何も咎められず見過ごされて、また何かを誹謗することで小銭を稼ぎおめおめと生活していく。そんなことが許されて良い訳がありません。
 この記事が、少しでもこの問題を多くの人に知らしめることを願っています。

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