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あきない世傳 金と銀 シリーズが好きだ

江戸時代を舞台にした小説が大好き。
髙田都さんのみをつくしシリーズも
佐伯泰英さんの居眠り磐音シリーズも
あさのあつこさんのおいち不思議がたりシリーズも全部大好き。
小気味の良さと切なさと人情味にやられてしまう。
先日、あきない世傳 金と銀12巻 出帆篇が発売されてるのを発見。
わーいわーい。
一気に読み終わるのがもったいないと思いつつ猛スピードで読み終わってしまった。いつもやけど。
あきない世傳の主役は幸。九つで呉服屋の五十鈴屋へ女衆奉公へ。その後紆余曲折ありながら、五十鈴屋の女主人となり、大阪商人として店を守り、江戸でもお商売を広げてゆく。というお話。
12巻では幸も40歳となり、物語も終盤に入ってきた。
序盤中盤は辛くて悲しい試練や、理不尽ばかりが襲ってきたけど、ちょっと穏やかに事がすすむようになって、安心しながら読めた。
じゃっかん、幸は神様なのかという域に達しているけれど。

幸が大切にしている菜根譚の教え。
「未だ根の植たずして、枝葉の栄茂するものはあらず」
商いの根が揺らいでは、幹が太くなることも、枝葉が健やかに伸びることも難しい。という意味。この教えがしみじみと沁みる。
幸のお店、五十鈴屋では「買うての幸い、売っての幸せ。」が商いの根。
根をしっかり張るために、今何を求められ、どう応えるべきか。見極めなければならない。ともに悩み、知恵を絞り、難儀を乗り越えて幹を太うにすることができる。
この辺のくだり、本当にその通り。
お商売の基本を忘れては会社は大きくはならない。お商売も発展しない。
そして、お客さんにならなかった人やなりそうにない人へも意地悪しない。
できる限り親切にする。というのが大事だなぁもつくづく思う。
わかっちゃいるけどできていない。というのが現実。

菊英さんの言葉「男はんなら当たり前に歩ける道でも、女子が行おうとすると、風当たりも強うおますよってに」「何とか堪えて、乗り越えてほしいもんだす。今の苦労が、のちの桜花になるんやさかいに。」
令和の世でもまだまだ「女」がネックになることがある。
けど、江戸時代に比べたら、昭和のころに比べたら、大きく前進している。
それは何とか堪えて乗り越えている先人のおかげでもある。
「男であれ女であれ、今の世を生きるものは皆、後世への中継ぎに過ぎない」のだから。今の苦労が目に見えて身を結んでいないように思っても、きっとそんなことはない。未来を明るくできるはず。と思いたい。

12巻は読後が爽やか。読み終わった瞬間に次巻を読みたくなる。
忘れた頃に発売されるであろう13巻が楽しみ。

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