長谷フリオの取材ノート・その6

 だじゃれおさむ氏は人が変わったようにげっそりとしていた。
私が彼に会ったのは神無月が始まって一週間ぐらいが経った日のことだ。
2023年の神無月は11月13日(旧暦の10月1日にあたる)かららしいのだが(ただし、出雲は除く。島根県の出雲地方は神在月)、この時期に合わせて駄邪霊教の布教活動を活発化させようと四六時中頑張っていたとのこと。この時期なら海外由来の宗教の神はともかく明治時代の文明開化以前の日本に古来から根付いた宗教の八百万の神に関しては信仰心が多少は薄れるのではないかと、神の居ぬ間に洗濯機フライドチキン(鬼の居ぬ間に洗濯をオマージュしたダジャレ)という戦術的チョイス(選択)で頑張った結果、いまだ信者はゼロなのだとか。負け惜しみかはわからないが、フライドチキンの日(11月21日)が今年は金曜ではなく火曜日だったせいだ。金曜日なら「フライデー」だし「チキン」だし。もっと駄邪霊様のパワーが「掛け増し」で強くなっていたはずだ。となぜか曜日のせいにしていた。努力の方向が間違ってるのではないかと個人的に思ったのだが、私はそれを口にすることはなかった。

 「それにしてもさっきからなんで、橋本環奈の写真を眺めて、ニヤついてるんですか?なんか気持ち悪いですよ。」と私は訊ねた。
「神無月(かんなづき)だからだよ。」とおさむ氏。
私の顔に疑問符が数多く書かれていることを察してさらに説明してくれた。
「私は本来、橋本環奈さんのファンではないのだが、神無月の期間限定で駄邪霊様のダジャレパワーを強くする試みとして橋本環奈好きになるのです。ちなみにそれだけではないですよ。モノマネ芸人の神奈月さんの武藤敬司のモノマネにあやかって、この期間の飲料は無糖のものをチョイスしてます。」となぜかドヤ顔のおさむ氏。そして、表情を変えてこう言った。
「信者ゼロはいいんです。私の努力が足りてないだけですから。まあ実際は良くはないけど。それよりもKAN無月になってしまったのが個人的に、とても悲しいです。」
 おさむ氏に聞くと、ヒット曲「愛は勝つ」でなどで知られる歌手のKANさんが11月12日にがんのために亡くなったというのだ。そのことが11月17日にマスコミで報道されて知ったという。KANさんはダジャラーでもあったとのこと。X(旧ツイッター)でダジャレをポストしたり、ワールド・ワイド・ダジャレ・フォトという企画やツアーグッズにダジャレかるたもあったとか。

歌詞にダジャレを散りばめた曲も
KAN「サンクト・ペテルブルグ〜ダジャレ男の悲しきひとり旅」

提供楽曲にPOPに掛けた曲の冒頭にハトの鳴き声やMVにはハトのかぶり物、最後には「Po Po Po 鳩 Po Po Po」という歌詞も。
Juice=Juice「ポップミュージック」

本家MV、ショートバージョン

他に
perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅ(いわゆる中田ヤスタカ氏)作品へのオマージュも(ダジャレではないが)
KAN「REGIKOSTAR ~レジ子スターの刺激~」
(※曲名の副題はThe Buggles「Video Killed the Radio Star」(1979年)の邦題「ラジオスターの悲劇」のもじり)

KAN「ブログ! ブログ! ブログ!」

KAN「メモトキレナガール」

必ず最後にチキンカツに触れねばならないだろう。
ヒット曲「愛は勝つ」(1990年)の替え歌「愛はチキンカツ」である。
調べると17日(金)に「チキンカツ」のポストがいつも以上に増えていた。

蛇足
Wikipedia調べだが、
替え歌として「愛はチキンカツ」のほかに「愛は勝海舟」「愛は桂三枝」などがあったらしい。
ちなみに食べ物系の替え歌では、ジャッキー吉川とブルー・コメッツ「ブルー・シャトウ」(1967年)の替え歌も有名らしい。こちらは私個人としては初めて知った。


Yahoo!リアルタイム検索で「愛はチキンカツ」を検索


Yahoo!リアルタイム検索で「チキンカツ」を検索。普段より1000件近く増えている。

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