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大豆的旅行記#1北海道編1-4札幌の夜は長い②

ジンギスカンとサッポロクラシック、すでに北海道沼に腰まで浸かったところで店を出ると北の大地の涼風。少し酔って火照ったからだに心地よく当たっていく。周りの観光客もほろ酔い加減で各々自由に歩いている。

さて、少しずつ学生時代に若返ってきた私たちは北海道ローカルコンビニ、セコマことセイコーマートへと足を踏み入れる。学生らしく、缶ビールとソフトクリームを手に取る。キンキンに冷えたコーラとファミチキでないところに少し大人を感じる。

宿まで約20分歩きながらだべって食べて飲んで、酔いを少しずつ醒ましたり増したりする。ひとりは明日の結婚式の乾杯の音頭のことでいっぱいらしい。彼は僕にこそっと『明日乾杯の挨拶せなあかんねん、これまだ誰にも言ってないねん』と漏らす。なぜ明日まで待てなかったのか。そんな彼のかわいらしさに耳を傾けながら、彼の緊張をしっかりと感染していく。ちなみに彼は明日の朝まで永遠緊張と練習を続けていく。

宿まで近くなってきた頃、みんなが集まる前に当たりをつけていたビアバーの前を通りかかる。ここで宿に戻る組、ビアバーに行く組、雀荘へ行く組で分かれる。

大人になってそれぞれが二次会へ出る感じも悪くない。もちろん私はビアバーは向かう。テラス席があったり、木のテーブルとベンチなのも趣深い。いただきましたのはサッポロSORACHI、クラシックとは違って少しフレーバー感強めのこちらは二次会でもスッキリ飲めるのでオススメです。

少しの当てを頼みつつ、夜を超えていく。1人の女性は、彼氏と結婚する気はあるけど、彼氏からのアクションが少なくて悩んでいる、1人の男は既婚で結婚式する予定なかったけど、周りを見て指揮をあげようか迷っている、1人は最近プロポーズを済ませて、今月中に籍を入れる予定。なかなかみんな抱えるものがある。

ここ1年で結婚をした同期も多くこれからする予定の人も多い。先輩とか周りの大人が言っていた、大人になって周りが結婚していくと遊ぶ時間がなくなるよ、という言葉をふと思い出し、少し寂しさを覚える。大人になってリアルに家庭を持ったり子育てを始めることを想像してみると、そりゃ他の人と遊ぶ時間がなくなるよなと思う。遊び相手といえば子供の遊び相手のご両親と会う機会が多く、ママ友パパ友コミュニティへの帰属時間が圧倒的1番になるだろう。

そうなると、独身貴族で自由に動き回れる大学時代の友人と遊べるだろうか、いや遊べないだろう。高校時代の古文もびっくりの反語が出てしまう。

そんなことをふと考えると、いま遊べるうちに彼らともっと遊んでいたいと思うとともに、いつか自分も家庭を持つことがあるのだろうかと、それ以前のことを気にせいよと言われてもおかしくない妄想に耽る。

ビアバーでの締めはなぜかまぜそば、普通に美味しかった気がする。味が濃くて炭水化物で脳が沁みるそんなまぜそば。

これ以降はもう記憶があってないようなもの。1人がカラオケに行こうと言い出しみんながそれに乗る、いくか迷った1人を連れていくためにタクシーを止める言い出しっぺ。結局カラオケに行くのは5人で言い出しっぺの彼は歩いてカラオケへと向かう。謎のバイタリティを発揮しつつきちんと夜を楽しんでいく。
盛り上がる曲から懐メロまで2時間飲んで歌って騒ぎ続けた。

宿に帰っても酔いが覚めない彼は次の日朝に怒られることになる。自分は眠気に負けてソファで静かに息を潜める。

久しぶりに日を跨いでお酒を飲んでいた。

学生時代に戻ったかのような元気。

次こんなことができるのはいつだろうか。

早く大人になりたいけど大人になりたくない。

そんなどうしようもない思いを思い出させてくれる街、それが札幌なのかもしれない。



次回 結婚式はいい! お楽しみに

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