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「囲碁を学ぶ子供を持つ親目線」で見る知育囲碁はブルーオーシャン

以前、「囲碁を学ぶ子供を持つ親目線」での囲碁の可能性という記事を書いたのですが、ずっと課題感やその課題解決の方向性についても言語化してみたかったので、改めて記事にしてみました。

まず、囲碁界衰退のニュースについて目に入ってきますね。

囲碁人口の減少というのが大きな課題としてあり、中々難しい課題だなあとも感じています。

また、「囲碁を学ぶ子供を持つ親目線」で見ると、少し違った景色が見えているようにも思えるので、そのあたりにも触れたいと思います。

記事全体が長く、長めのポエムになってしまったかもしれないです。。。。見出しだけ流すように見て頂いても内容・主張はわかるかと思います(笑)。

「囲碁界」と「習い事としての囲碁」は関係するも分けて考える必要がありそう

まず、「囲碁界」と「習い事としての囲碁」は分けて考える必要があるように感じています。

もちろん、囲碁界と習い事としての囲碁は密接に関係しておりますし、普段プロの棋士様に息子が指導碁を打っていただいたりもしているし、また囲碁界があるからこども棋聖戦や、少年少女全国大会のような、子供達にとって最高の舞台があるというのは認識しております。

私はプロの囲碁界をほとんど知らない

その上で・・・、実は私自身は「囲碁は打てるけど、プロの囲碁をほぼ観ない人」です。そのため、ほとんど囲碁界を知りません。もうこんなことを書いている時点で囲碁界の色々な方にお叱りを頂きそうな気もしてきましたが、実際にプロの世界をあまり知りません。

息子が囲碁をやっているので、今私の意識も囲碁に向いていて、息子に教えるためにYoutubeで囲碁のプロの早碁対局や対局解説を少し見る、というくらいです。そのため私が知っているプロと言えば、ごくわずかとなりますし、知っているプロの棋士がどういう棋風かもわからないです。

そもそも私が囲碁を始めた2000年くらい(高校生)のタイミングは、今のようにYoutubeも無く、碁会所に行ってもプロの先生の指導碁なんて受けられませんでした。そのためプロの先生なんてあまりにも敷居が高くて、ヒカルの碁の中でしか知らないくらいの存在です。本で、武宮プロの三連星や、趙治勲プロがやたら難しい手を打つ、とか、小林流の本があって「へ~、なんだろうこれ」とか言って本を手に取って知る、くらいです。もうなんかプロの棋士様に指導碁を打っていただくなんて恐れ多すぎる感じです。

でも囲碁には毎日向き合っているという事実

ということで、私は囲碁界のことをほとんど知らないのですが、それでも私は毎日息子が囲碁に取り組むのをサポートし、囲碁と向き合っています。そして囲碁の知育としての可能性にものすごくポジティブなものを感じています。

そして、別に囲碁のエンタメ化なんて騒がれなくても、自分にとっては十分エンタメであり、一方で囲碁界はやはり遠い存在です。プロの対局は中々見ようとは思いません。野狐二段の私でもやっぱりプロの碁はよくわからないのです(笑)。見れたとしてYoutubeの早碁対決みたいな企画でしょう。全部で40分くらい、最大1時間以内に収まっていないと中々見ようという気になれません。

最近、結構日本女子囲碁リーグの話題がネットで目に入るようになりました。YoutubeやNoteなどで、こうした取り組みの改善点みたいなものが議論されているのもよく見かけます。でも、自分はこのコンテンツを見ないのです。つまり、プロの世界で色々と工夫がされても、私にとってはやや遠い世界の話であり、あまり影響はないことになります。

でも憧れの存在としてそういう世界がある、というのはとても素敵なことだと感じています。だってカッコいいですからね、プロの棋士様

私が言えるのは「習い事としての囲碁」の話

ということで、私が言えるのは囲碁界という遠い世界の話ではなく、習い事としての囲碁についての話に限定されます。でもこれから書くことは、囲碁界にとっては囲碁人口を増やしていく一つの方向性にはなるのではないかと思います。

無限の可能性を秘めた囲碁通した子供の知育

冒頭に紹介した前回の記事でも書いているので、ここはさらっと行きますが、自分は息子の習い事として「囲碁じゃなきゃダメだ」とは全く思っておらず、本質的には何でもよいと思っています。

本人がやりたいなら囲碁じゃなくて将棋でも良いし、何か別の競技でも良い。麻雀でもOKです。

なので自分は子供と囲碁に取り組んでいますが、囲碁を通して知育をすることに価値を感じているのであって、囲碁そのものにこだわっているわけではない、というのが真実です。囲碁自体は、だって盤が広い方がワクワクするじゃん、ヒカルの碁面白いし、くらいの感じです。

やはり、私が無限の可能性を感じているのは「知育」です。

知育というのは何も頭の良さの話だけではありません。囲碁を通した同世代やライバルとの知能バトルや毎日の努力による成長実感から、自信や努力の仕方を身につけてほしい、つまりはこれから困難な社会になっていく荒波を乗り越えるサバイバル能力の芽を、囲碁を通して身につけてほしい、と思っています。

知育囲碁は恐らくブルーオーシャン、子供の成長は親にとっては最高のエンタメ

そして多分、子供の知育に興味がある親はたくさんいると思います。サバイバル能力、とまで強く言っている人は少ないかもしれないですが、親はみんな、できれば自分の子供に頭よくなって欲しいもんです。だから受験業界はいつでも活況です。

でも、残念ながら、親には「知育」となった瞬間に選択肢がたいしてありません。塾とかお勉強じゃない何かが良いのです。特に都市部では塾に行っている率はかなり高いでしょう。でもお勉強「も」大事だけど、趣味でも何かできると良い、と思っています。

ひょっとしたら、プログラミング教室とかと競合するかもしれません。確かにプログラミング教室もありです。しかし、プログラミング教室はどちらかというとスキルやリテラシーの側面が強いです。根本的な論理的思考力や、ライバルと切磋琢磨して知能バトル!という側面はプログラミング教室では難しいでしょう。

そして子供の囲碁は親にとってはエンタメ性にあふれています

子どもが毎日頑張ってきた結果、大会でどういう成果が出るのか、これはもう毎回ドキドキです。大会の後ろで子供を見守る親の熱量はとても高いです。成果が出たら、私は(心の中で)「オッシャー!!よくやったな!!」といっぱい叫んでいます。これは親が囲碁が打てる打てない関係ないです

昨今、余暇の奪い合いということで、YoutubeやNetflix、ゲームなどとの競争が言われており、このセグメントで戦ってしまうと囲碁は中々大変です。しかし、この子供×囲碁というのは、明らかに余暇の奪い合いでは戦っていません競争軸が違います

また、子供きっかけで親が囲碁に興味を持つというのもあるでしょう。

私の息子が通う碁会所では、子供と一緒にお母さんも囲碁を習い始め、お母さんと息子さんが毎月の大会で切磋琢磨しているという光景があります。これは素敵です。親と子供が一緒になって、同じ土俵で取り組めるというのは子供もきっととても嬉しいでしょう。だって子供が平気で本気の親を倒しますからね。囲碁は。サッカーなどの習い事ではこの現象は起こりません。

子ども向け教室やコンテンツが少ないという課題

さて、子供が囲碁に取り組んでいる親としては、こういう課題に直面します。

まず、子供向け教室が圧倒的に少ないです。私自身のケースで行くと、自分の住んでいる地域には無くて、ネットで調べて家から1時間の場所の緑星さいたまにお世話になることにしました。

今では子供が一人で電車に乗って行ってくれるようになったので楽ですが、やはり送り迎えは中々大変でした。子供がもっと気軽に通えるところであれば、週に何回も連れていくこともあり得ましたが、やはり家から1時間もかかるとなると、土日がせいぜいです。

また、色々な碁会所にもお伺いしましたが、子供対応が難しいという場所もたくさんあります。

先生の棋力よりも子ども対応が得意かどうかが鍵

囲碁の先生も、先生の棋力と子供を教えるのが得意かどうか、というのは比例しません

初中級くらいの親や子供にとっては先生の棋力よりも、子供の扱いが上手かどうかの方が断然重要です。先生の接し方次第で、子供のやる気は大きく変わります。強くなってきたらどんどん自分で勉強するようになるので、そうなったら強い先生が重要になります。

つまり、子供の棋力フェーズによってどういう先生が最適なのか変わってきます

そして、最近はオンラインの発展によって、プロの先生やアマチュア高段者の先生にもネット碁などで気軽に教えていただくことはできるようになりました。高段者に教えていただく、というのは親が探せばいくらでも手段があります。

しかし、子供の棋力を軌道に乗せるまで、子供をサポートできる先生が圧倒的に不足しているという課題があるように感じています。

子供のセグメントにおいて重要なのは囲碁を教えるだけでなく、囲碁を通した物事への取り組み方を教えられる、コーチング先生ではないかと思います。

あまり認識されていない、子供だけでなく親にもサポートが必要

そして、囲碁を打てる親ならともかく、囲碁を打てない親は、「子供に家で教えられない」という課題に直面します。

これは実際に私の知り合いのお母さんが直面している課題です。娘さん(現在小学3年生)が囲碁に取り組んでいますが、親は囲碁を打たないというパターンです。

お母さんとお話をしていた時に言われたのが、「私が囲碁を打たないので、家で教えられないんですよねー・・・。」

囲碁の棋力UPには碁会所や教室の時間だけでなく、家での取り組みがかなり重要になってきます。特に初級~初段くらいまではサポートが本当に大事に思います。

棋力に応じてどういう教材を選ぶのか、どのあたりまでやりこむのか、1日どれくらいの量を、どれくらい続けるとどう棋力がアップしていくのか。このあたりがわからないと子供を家でサポートするのは難しいです。

というか教材選びは私も相当に苦労しました。初心者用かと思って買ってみたら難しすぎた、みたいなのはたくさんあります。その子のレベルに応じた教材設定、みたいなのは先生に相談するのが良いですが、もっと先生側のサポートが必要にも思います。囲碁を打ったことがないと、親からは何を聞いたら良いかわからない状態です。そもそもポイントがわかりません。

あるブログで、囲碁がわからないお母さんが、子供さんの囲碁の勉強に、ページをめくって一緒に問題を読んであげる、できたら褒めてあげる。できなかったらチェックを付けてあげる、というのをやっている記事を見たことがあります。とても素晴らしい向き合い方だなと感じました。囲碁が打てなくても親が子供に対してできることはたくさんあります

子供のやる気に応じて、囲碁の自宅学習のペース管理をしてあげるのも大事でしょう。ある程度強くなったらネット碁に取り組ませてあげるのもありですね。

子供のやる気スイッチを発見する

そして子供のやる気スイッチを、子供が自分で押せるように適切なタイミングでコミュニケーションを取っていきます。

やる気スイッチはきっと子供によって、色々なタイミングで登場します。自分の息子の例では、「大会で勝ってとても嬉しい時」「大会で負けて悔しい思いをした時」など、感情が動かされた時にやる気スイッチが見えたように思います。

こういうタイミングで子供の背中を少しプッシュして、自分の言葉で「もっと頑張る」「もっとやりたい」「あの子に勝ちたい」とコミットさせるのです。しかもこのやる気スイッチはフェーズに応じて何度も出現します。フェーズが進むとコミットメントのレベルがどんどん上がっていきます。

マスの子供を意識した習い事としての知育囲碁の確立はチャンス

こうした話は、超ハイレベルな、ほっといてもどんどん強くなる一部の子供には当てはまりません。

本当に強くなる子は自分で勝手に強くなる、これは事実かもしれませんが、それは囲碁のプロを目指す層やアマ高段者になるようなトップ層の話です。

私が可能性を感じているのは知育であり、その他大多数の「囲碁にゆるく興味を持った子供」の話です。そのため、超ハイレベルな層は対象外です。素敵な才能を持った、囲碁が好きでたまらない子は、そういう子達が集まる道場やプロの養成場に行く必要があるでしょう。

しかし囲碁人口を増やす、囲碁のすそ野を広げるにはピラミッド構造が必要です。囲碁に興味を持って楽しく取り組んでいるという子供達をたくさん増やしていくことが重要に思います。

知育という目的感においては、これで十分です。

大事なのは、囲碁を通して、子供が努力の仕方・大切さや、小さな成功体験を積み、楽しむ、ということです。

課題という感じでここまで書いてきましたが、新規参入という観点で考えるとこれはチャンスにも感じます。だって競合があまりいないんだもの。

大人が囲碁を覚えるのは簡単ではないですが、子供は本当にすぐ覚えます。敷居なんてないです。問題は初段になるくらいまでサポートする仕組みがあるかどうかです。子供で初段くらいになってしまえば、囲碁の楽しさを充分理解できるでしょう。

人生のフェーズによって色々な形で囲碁と関わる

そして一生涯を通して、ずっと囲碁をやり続けることはきっとありません(少なくとも私は)。

その人の人生のフェーズで、ふと囲碁をやりたくなる、子供が囲碁に取り組むようになる、とか、色々な関わり方があり、様々な形で囲碁と関わるようになる、というのが理想に思います。

自分は多分、息子が囲碁をやめたらまたしばらく囲碁からは遠ざかるでしょう。でもまたおじいちゃんくらいの世代になったら、ひょっとしたら始めるかもしれません。ある程度、初段くらいまでの棋力まで行っておけば、再開するときのハードルは大きく下がります。

自分が囲碁をかじっていたため、息子も囲碁を始め、ここまでで知育という目的は十分に達せられているように思います。もはやこの先は息子の好奇心と、親にとってはエンタメの領域だけが残っています。

もっと多くの親と子にこの素敵な体験が拡がることを願って ~小中学生アマ初段100万人創出プロジェクト~

自分はたまたまこうして囲碁とまた出会い、こうした素敵な体験を得ることができました。子供達の切磋琢磨する姿はいわばリアルヒカルの碁です。もう見ていてとても楽しいです。

そしてこの知育としての囲碁の可能性が、もっとたくさんの人に拡がると良いなと思っていて、こうした感じたことや考えたことを発信したくてNoteを書いています。

もうそこまで言うなら知育囲碁の領域で起業しろよ、とか言われそうです。

実際、やるなら「小中学生アマ初段100万人創出プロジェクト」とかやりたいです。この規模になったらさすがに囲碁界の将来にも良い影響与えられそうじゃないですか。

小学生は現在600万人くらいいますが、足元の出生数は70万人くらい。今後は50万人くらいまで下がるとしても、大体毎年50~70万人くらいの新しいポテンシャル囲碁ユーザーが毎年流入してくるわけです。小学生~中学生の総数で考えると1,000万人弱もいます。10%獲得できれば100万人達成です。1クラスで3人くらいのイメージです。

大人のセグメントでは囲碁人口は他の余暇に奪われてしまう状況ですが、こと子供セグメントとなると、むしろサッカーや野球からシェアを奪ってもおかしくないように思います。もしくはサッカー・野球やりながら囲碁、みたいな文武両道パターンもあるでしょう。サッカー・野球などの習い事をやっていない子が囲碁をやるというのもありそうです。

実際に自分の身の回りで、囲碁の子供コミュニティ形成が上手く行っているところでは、しっかりと2-3の小学校から20-30人規模の子供が通う子供囲碁教室があります。これは適切なタイミングで、適切に子供に対してアプローチをすればこうしたコミュニティが形成できるというローカルでの成功事例となっています。

この知育囲碁コミュニティ形成に、スタートアップとしての経営やマーケティング要素を注入できれば、知育囲碁ムーブメントは拡大できてもおかしくはないです。簡単ではないが、ワンチャンあってもおかしくない。類似事例では忍者ナインとかも挙げられそうです。これは運動神経に焦点をあてた習い事です。

と、ここまで好き勝手書いてきましたが、私は現在自分の会社を持つ経営者であり、自分の会社の経営で日々精一杯です(´;ω;`)。会社の事業は軌道に乗って成長していますが、まだ事業として確立しきっているわけではありません。そのため、リソース資源は全て本業に集中し、わき目をふらず事業のグロースに集中しなければいけません。体が二つあったら、ぜひチャレンジしたいです。知育囲碁の教室のセグメント確立と全国展開です。でも一方で、海外の大学院に行って自分の今の仕事の領域の研究をしたいという夢も持っています。

願わくば囲碁×子供の分野で、スポンサードや寄付できるくらい今の会社を大きくできたら嬉しいなと思いますが、今はそんな大それたこと言える規模ではまだありません。

ということで、言いっぱなしに終わってしまって恐縮なのですが、この2年くらい息子と囲碁に取り組んできて感じていたことを言語化してみました。

この長い記事をわざわざ読んでくださった方には感謝しかありません。

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