【ラクトアイスには洗剤が入っている??】に関するファクトチェック
はじめに
こんにちは!大東文化大学野嶋ゼミ・ファクトチェックチームの柴田、齊藤です。今回はインスタグラムのリール動画のコメント欄に表示されていた「ラクトアイスには洗剤が入っている」というコメントをファクトチェックしていきます
検証対象
今回はこちらのコメントの中にある、「③界面活性剤(いわゆる洗剤)・・・シンプルに言えば洗剤入りです。美味しくても身体に良いとは思えない」の部分についてファクトチェックしていきます。
なぜこのテーマを選んだか
本動画は6月12日現在で2,234万回再生されており、その中でもこのコメントはいいね数が多く、コメント欄の上位に表示されていました。そのため、具体的なインプレッション数は不明ですが、多くの人の目に届いていると推定し、ファクトチェックの必要性があると考えました。
検証結果・レーティング
今回のレーティングは
「誤り/すべて、もしくは事実の間違いがある」
という私たちの判定になりました。
検証過程
では、検証過程に移ります。主に界面活性剤について深く調査していきます。
界面活性剤とは?
界面(物質の境目の面)に作用し性質を向上させる「活性能力」を持つものを総称して界面活性剤と呼んでいます。界面活性作用は食品や洗剤以外にも化粧品や製紙、インク、合成繊維など幅広い分野に使われている作用です。
また、界面活性作用には三つの作用があり
・浸透作用
・乳化作用
・分散作用
があります。その中でも乳化作用は水と油を混ぜる際に使われます。
洗剤の場合、三つの作用が総合的に働いて汚れを落とす働きを持っています。
食品に使われる界面活性作用は主に乳化作用であり、食品に使われる界面活性剤は乳化剤と呼ばれます。
界面活性能力を持つ成分
繰り返しになりますが、界面活性剤は混ざり合わないものを混ぜる力を持つ成分の総称です。
そのため、界面活性能力を持った成分はたくさんあります。以下の画像はその一部です。
また、脂肪酸、ショ糖、レシチンは日本指定添加物協会のガイドラインに記載されており、国が安全性を担保している成分と言えます。
つまり、洗剤で使われる界面活性作用を持つ成分が食品に使われることはありません。
また、ラクトアイスに使われている界面活性剤の使用目的は味の均等性を保つというのが目的です。
汚れを落とす事が目的の洗剤とは目的が違うので注意が必要です。
以下は日本アイスクリーム協会の文章です。
界面活性剤の毒性の有無
根本的な事ですが、一見体に無害なものを口にしていたとしても、どの食品も過剰に摂取すれば危険性はあります。
日本界面活性剤工業会によると国際的なOECD(経済協力開発期間)の実験で毒性の強さについてのデータベースが作成されています。
実験方法は動物を用いた実験で、どのくらいの量を摂取してしまうと死に至るのかを調べる実験方法です。その結果が以下の表です。
身近な物で挙げられるのはカフェインでしょうか。界面活性剤はそれらのワンランク下の部類に属しています。
つまり、界面活性剤よりもカフェインの方が少ない摂取量で死に至ることが分かります。
ただ、カフェイン、界面活性剤のどちらにしても、日常的な摂取量では問題はありません。
まとめ
界面活性剤=洗剤という認識は間違い。
洗剤という意味での界面活性剤は使われていない。
界面活性剤の危険性を訴えるよりも油や砂糖の取りすぎによる肥満や心疾患を心配した方が良い。
付帯意見
同じラクトアイスでも乳化剤が使われているものと使われていないものの違いは何?
調査をしていくにあたり、同じラクトアイスでも乳化剤を使っているものと使わないものがあることに気づきました。
明治より公開されいる成分表示では、抹茶味には乳化剤が入っており、バニラ味では乳化剤が入っていません。
詳しく調べると、卵黄にはレシチンが含まれており、乳化剤として働くことが分かりました。
マヨネーズでは、油と水をまぜる役割を卵が担っていることを想像してもらえれば理解しやすいと思います。
乳化剤が使われる製品と使われない製品の違いについて問い合わせたところ、答えられないとのことでした。
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