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東京都知事選ファクトチェック⑧/「石丸伸二が超重大な公職選挙法違反」というX投稿について

1.検証対象

https://x.com/himasoraakane/status/1807359067075015012

2024年6月30日にXで「石丸伸二の7/10発売日になっている「シン日本列島改造論」が6/28(選挙期間)にKindleで発売されており その本の中で「都知事選出馬の思い」を語っています 超重大な公職選挙法違反です」という投稿があった。

投稿者は、「ひまそらあかね(東京都知事選候補)」。2024年7月3日の時点で、いいね数1.9万、リポスト7,518、表示242.2万件、フォロワー29.7万。

2.このテーマを選んだ理由

・投稿者は都知事選に立候補しており、とても影響力があるから。

・有力候補者として注目を浴びている石丸氏であるため。

・石丸氏が公職選挙法違反をしている場合は深刻な問題になるため。

3.レーティング


レーティングは「不正確」であると判断しました。

4.検証過程

書籍自体の発売日は7月10日であるがKindle版の発売日は6月28日(選挙期間中)という事実は間違いない。一方で、ファクトチェックのポイントは「選挙期間中の書籍発売が公職選挙法違反に当たるか」である。


法令内で使われている「文書図画」については、以下の解釈がある。

『※文書図画について

 公職選挙法における文書図画とは、文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形を用いて物体の上に多少永続的に記載された意識の表示をいい、その記載が象形による場合を図画といい、文字又はこれに代わるべき符号による場合を文書というものとされています。判例上、コンピュータのディスプレイ上に現れた文字等の表示も、公職選挙法上「文書図画」と解されています。

総務省|現行の選挙運動の規制

以下参照:公職選挙法 | e-Gov法令検索

第146条

公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。

 

高知県「文書図画による選挙運動について」

選挙期間中は,書籍や広告印刷物等で,実際には選挙運動のための文書であって,法第142条または第143条の禁止を免れる行為と認められる場合には頒布したり,提示したりすることはできません。

https://www.city.kochi.kochi.jp/soshiki/99/senkyoundo-bunshotoga.html

 

 しかし、「インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁等」https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo10_2.html

では「ウェブサイト等を利用する方法による選挙運動用文書図画の頒布の解禁」と記載があり、間接的にweb上での書籍の発売が認められている事になっている。


つまり、紙媒体の書籍は公職選挙法146条の違反の可能性があるが、改正公職選挙法第142条の3第1項によりWeb(Kindle)書籍は出版できる事になっている。

5.まとめ

紙媒体の書籍の場合違反になる可能性があるが、WebのKindle版で出版をすると、その合法となる可能性が高い。しかし、今回の事案は法律の中でも「白黒がはっきりしない」部分の為、投稿者が勘違いをしているとしたら、それは一定程度理解ができることであるので「不正確」と判定した。

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