エレキギターの指弾きを半年間やってみて気づいたこと

去年の始まりあたりからジャズにハマり、最初に聴いたのはジョンコルトレーンのGiant Stepsでした。とにかくなんだこれはの感想しかでませんでしたが、不思議と惹きつけられます。
他の作品も聴いてみようと選ばれたアルバムはBlue Train。中でもMoment's Noticeはとにかくかっこよくて即ドはまりしてしまいました。
音楽の始まりはロックだったので、ギターを始めてからロックやメタルを弾くことがほとんどでしたが、これを機にジャズを弾いてみたい、という欲にかられ、Moment's Noticeをコピーして弾いてみることになりました。
Youtubeで「Moment's Notice guitar」で検索をかけてみると、ある若い男性がYAMAHAのRev Starを持っているサムネイルを発見。
Moment's Noticeのコード進行に彼が乗せたソロを一通り聴き終わったころには、すでに虜になっていました。
彼の名前はMatteo Mancuso。イタリア出身で、現在27歳。なんと同い年です。この実力は一体何者なんだ!?
テクニカル系ギターは以前からとても好みだったゆえに、歪みトーンで高速で切り替わるコードに対して美しいラインを描き、時にはホリゾンタルにモダンなペンタフレージングやシンプルに歌い、圧倒的にギターが上手すぎる点など、あらゆる点から惹きつけられてしまいました。
また、彼を見てみると、ピック弾きではなく、指で弾いています。
しばらくは彼のフレーズをピックでコピーしていたのですが、ある日指で弾いてみようと思い、鳴らすと音がシンプルに気持ちいいのでは?!そして右手は5本も指が使えてたくさんの可能性が秘められているような気がして、2023年12月に指弾き転向を決意。
長くなりましたが、今回はMatteo Mancusoが中心となりますが、指弾き転向してから気づいたことを書いていこうと思います。


1.なぜ指弾きなのか

理由は冒頭にも書いたように、Matteo Mancusoの影響がほとんどですが、その他にもいくつか理由があります。
一、指で弾いたときの音がとても気に入ったため。
二、指弾き人口がかなり少なく、もっと広まっても良さそうと思ったため。
三、近い時期にクラシックギターを購入していて、そちらでも指弾きでやる予定だったため。
四、新しいことへのチャレンジの中で、かなりやりがいがありそうだったため。

両方使えばいいのではと思うのですが、いずれはそうなる可能性が高いです。今の時期は指弾きに絞って練習してみようと思います。

2.参考にしたアーティスト(ほぼMatteo Mancusoについて)

指弾きの始まりはMatteo Mancusoです。彼のルーツを辿ってみると、始まりはJimi Hendrix, AC/DC, Deep Purple, Led Zeppelinといったロックの偉大なアーティストからギターにのめりこんだようです。
 こちらの記事にて、人生を変えた5つのアルバムの中には

Whether Report // Heavey Whether
Jimi Hendrix // Axis: Bold As Love
Eric Johnson // Ah Via Musicom
Pat Metheny // Still Life (Talking)
Tribal Tech // Face First

この5つの作品が上げられていました。
どのアーティストも大御所で歴史に名が残る方たちなので、知らなかった方はぜひチェックしてみてください。
ジャズギタリストの中で指弾きといえば、Wes Montgomeryの名前が上がります。しかし彼のフォームは親指のみを使った奏法になってくるので、Matteoとは少し異なるかと思います。しかし場合によっては、このフォームも使用する可能性があることや、ジャズギタリスト最重要人物の一人であることは間違いないため、マストチェックです!

他にはJoe Passも指で弾いていました。
まさに自分がイメージするジャズギター!という感じで、エレキギターだけど、アコースティック楽器のような繊細なアーティキュレーションで多くの曲を弾いています。
基本的にはMatteoが影響を受けたギタリストを聴いてみていますが、コピーするにも難易度が高すぎる故に、かなり時間が必要なため、ゆっくりしっかりコピーしていきたいところです。




3.フォーム、奏法について

a. ベーステクニック

ベーシストが弾くときと同様の親指を支点にして、人差し指、中指を使うツーフィンガー、薬指を足したスリーフィンガーで弾いています。

親指の支点はフロントピックアップとセンターピックアップの間で、弦に触れているところは、指のかなり先端です。皮膚に当たったのち、爪の先端に少し触れることによってほのかにアタックを付与しています。毎回同じ強さ、角度、場所で弦にあてに行くのは至難の業で、長年かけて音を安定させていかないといけないことが判明しました。
薬指に関してもやることは同じだと思いますが、人差し指と中指だけでも自在にフィンガリングするのはかなり難しいため、薬指の導入には相当な時間が必要になりそうです。

ツーフィンガー時は人差し指、中指どちらのスタートでもあったため、均等に鍛えていく必要がありそうです。
スリーフィンガー時は基本的には薬、中、人の順番でフィンガリングしています。
スリーフィンガーの出番は高速フレーズかつ、スリーノートパーストリング(1弦に対して3本の指を使うフレーズ)がほとんどだったため、ツーフィンガーの割合がほとんどでした。

音に関しては、アタック強めで歪ませたときでもハードに鳴らすときにこの奏法を選んでいそうです。

Youtube スクリーンショット

b. 斜めのフォーム

ブリッジミュートしたい時や、アルペジオフレーズの時にさっと切り替えています。この切り替えは本人いわくそこまで切り替えに対して考えてはおらず、昔から弾きやすいフォームでやりこんだ結果、自然と切り替わるようになったとか。

音に関しては、ベーステクニックよりアタックがマイルドでウォームな音が特徴です。フレーズ的にもこちらの奏法が多くの割合を占めています。

c. 爪について

爪の手入れはしっかりしているみたいです。
爪の長さによってアタック音に影響が出ますが、短いほど爪に当たらなくなるのでダークでウォームなサウンドになると動画で言っていました。
クラシックギタリストも人によって爪の長さや形が違うみたいなので、こちらに関しては、長い時間をかけて研究していく必要がありそうです。
Matteo本人はみる限りかなり短いように見えます。
爪のケアは、ガラスの爪とぎを目白にあるギタルラ社の方にオススメしてもらいました。
ちなみにこちらでクラシックギターを購入させていただきました!店員さんがとても丁寧にクラシックギターや爪のケアについて説明してもらいとても感謝しています。


Youtube スクリーンショット

4.練習時の意識すること

ベース奏法のツーフィンガーがやる練習と近いと思います。

この動画の5:10秒あたりから演奏が見れます。
タッチがかなりきめ細かく、指の振り下ろすスピードは速いのだけれど、弦と触れているところが指の先端な音がします。
このタッチを参考に、ゆっくりのBPMで6弦から1弦までを音が毎回均等になるよう意識しながら弾いていきます。最初は1音(解放弦でも可)だけでもしばらくやると良さそうでした。

常に同じ姿勢、フォームで弾くことを意識することがポイントになりそうです。
ギターはどこでもどんな姿勢でも弾けてしまいますが、練習するときは獲得したいテクニックに照準を定めて、規制をかけて行うことが重要なため、苦しいですが、リラックスし、長時間保っても負担にならないフォームで行います。
ピックでならすぐ安定して弾けるのに指だと一気に弾けなくなることがとてもストレスでしたが、しばらく行っているうちに苦痛が快楽に代わっていくことを認識できます。

練習のジャンル分け

1.曲のコピーを通して自分ができないことを知る。
自分は初めはツーフィンガーでの8分音符をただ鳴らすこともできなかったため、メトロノームを流し続け1音を弾き続けました。
ある程度できたとおもったらクロマチックスケールで登ったり、降りたりしてギターを弾く基盤作りを行いました。
人差し指と中指スタートの指を入れ替えて練習もします。
様々なスケールを度数意識しながら弾くとより習熟度が高まります。

2.足りないテクニックを補う練習を考え、反復する。
基本的には曲が弾けたらOKだと思っているので、ほとんどの割合を曲のできないところのみ徹底して練習で良いと思います。
足りないテクニックと書きながら、結局はどんな時でも出したいと思った強さ、アーティキュレーションで正確に音が出せているかがポイントなのかと思うので、常にどうやったら弾けるようになるかを考えて、思いついた練習をひたすら反復して、レコーディングして客観的に聴くを繰り返すことが全て説があります。

3.人に聴いてもらう。
自分でも全然できていないとわかっていても、どんなに恥ずかしくても、友人や先生などに聴いてもらって、フィードバックをもらうことも上達の近道なのかもしれません。これは自分でもまだ見せれるレベルではない!と常に思ってしまうのですが、それ拗らせたらおそらく来世になっています笑

4.曲を聴きこみ、そしてアナライズ。
好きなプレイヤーが出している音、ギターの場合、何の機材を使っているんだ!?と興味が湧いて調べると思いますが、どのくらいの強さで弾いているか、ボリュームやトーンはどのくらいにしているのか、ビブラートのかけ方等、一つの音だけでも様々な観点から聴くことができるので、まずは聴くということも意識してみます。

5.思考をメモする。
楽器演奏に対して、学んだことや気づいたことはノートに負担にならない程度にはメモした方が良さそうでした。人間の記憶というのは悲しいことにどんどん薄れてしまうため、思い出すという作業をひたすらしなければなりません。この時に忘れたことを忘れないためにもメモは重要でした。

5.まとめ

ジャズと出会って、そして、Matteo Mancusoと出会ってからギターがさらに楽しいものに変わりました。
テクニックだけでいうと果てしない努力をしないとたどり着けない領域ではありますが、人間やればやるほど成長するもので、自分の成長を人生通して眺めていくというのもなかなか楽しいものです。
ギターを始めてから10年近く経った後に一音を弾き続ける練習をするとは思ってもみませんでした笑
これからはMatteoだけでなく、彼が影響受けたアーティストはもちろん様々な人にインスピレーションをもらいながらギターを弾いていこうと思います。

指弾きに変えてから半年が経過したので、現在の音を最後に聴いていただければ幸いです。Matteo Mancusoが演奏するDonna Leeを0.75倍速にして、コピーしてみました。とはいっても、タッチもリズムもまだまだすぎるので、そこはどんどん磨き上げたいところです。。

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
指弾きやMatteo Mancusoに関しての記事はまだまだ深堀できそうなので、機会があれば書いてみようと思います。
もし指弾きに興味が出たらこの機会にぜひ挑戦してみてください!


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