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言葉 2020年1月


失望する前に人は期待しています。人の言葉は信じられないと失望した人が期待していたことはなんなのでしょうか。例えば、私はいろんな人と会います。広島は原爆の影響大丈夫と聞く外国人方もいますが、その人に失望したりしません。むしろ彼らの国で行き渡っている情報の加減を知ることができて勉強になります。

メディアでなされた発言に失望する際に、期待しすぎていたのではないかとチェックする必要があります。いくら賢くても所詮みな人間ですから情報の編集に癖があります。明らかな嘘以外は、その人の視点から見てそのように情報は処理されるのだという一つの学びを得ることになるかと思います。失望したということは、その人に期待しすぎていたという側面はないでしょうか。

一方言葉に失望する前に歴史を紐解く必要があります。宗教が世界に与えた影響は大きいと思いますが、宗教は突き詰めれば言葉でできています。いや実際には創始者の行動なんだと言われるかもしれませんが、それが弟子たちの口伝で伝えられたから宗教として広がりを持ったわけです。突き詰めれば宗教は言葉です。

河合隼雄さんは多くのカウンセリングを行ううちに人々の背景に物語があると思うようになります。そして昔話について洞察し始めます。私たちは幼少期に言葉で物語を聴き、それが心の奥に型として残っている可能性があります。神話を研究してスターウォーズが生まれたと言われています。神話も物語です。物語は言葉でできています。

言葉ではなく行動が大事だと言われる方もいます。もう少し厳密に行動を見ると、発声という身体動作もまた行動ですし、このように言葉を紡ぐタイピングもまた行動です。おそらく行動が大事と言われる意味は、何かリスクをとって行い続けることが大事ということではないでしょうか。その点においては、言葉を発し続けることもその中に入ろうかと思います。

要するにどこかに正しいことがあると信じれば信じるほど、発言に失望するわけですが、正しいことも賢い人もいないと思うと最初から期待をしていないために失望もありません。むしろ、そのような期待をしている人は、ある種のイデオロギーに嵌まりやす傾向にあると思います。何かを探しているからです。

言葉と行動が一致していない人の場合は、行動を見ようというのはよくわかります。一方で言葉が及ぼす影響はとてつもなく大きいです。むしろ言葉の枠組みでしか世界を見られないが故に気づかないのかもしれません。私は言葉が好きなので、言葉の擁護をしてみました。

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