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イチロー選手の言葉とこだわり

イチロー選手の映像を見るといつも伊東浩司さんを思い出す。独特のウエイトトレーニングを行うことで有名だった。私が高校生の時初めて練習を見て衝撃を受けた。それはその技術や動きというよりも、2時間ほどスクワットのような動きをずっと繰り返していたからだ。何かに取り憑かれたように繰り返す姿は、努力というよりも、あまりに没頭していてそうせざるを得ないような印象を持った。

トップアスリートはこだわりを持っていると言われることがあるが、こだわっているというよりこだわらずにはいられないに近いと思う。こだわらなければ苦しまなくて済む時にもこだわってしまい、人生で傷ついてきたように思う。こだわりの人は、自分なりの美意識があり、自分なりのペースがあり、それを乱されることを嫌がる。

強いこだわりや美意識は周囲との軋轢を生む。社会の多くは妥協でできている。理想はこうだが、時間や制限を考えるとこのぐらいがいいところなのではないか。みんなの意見を取り入れるとこのあたりがちょうどいいのではないか。理想を追求すれば時間と労力が際限なくかかる。何より効率的ではない。しかし、こだわりの人は妥協よりも理想に近づくことを最優先する。

結果としてこだわりの人は孤立することが多い。そのようなところまで理想を追いかけられる人がほとんどいないからだ。そしてこだわりの人は、孤高の人になり、孤高の人は一人の時間が増え内省し始める。深く内省した人間は言葉が深く鋭くなり人の心に刺さるようになる。イチロー選手の言葉が哲学的な響きを持っているのは、長時間自分と向き合い内省してきたことの表れではないかと思う。

こだわりの人は幸福なのかどうか私にはわからない。ただ言えるのはこだわりの人が、みんなが妥協する中ひたすらに追い続けた結果、誰もがなし得ない偉業を達成する。その轍を見て私たちは努力と呼ぶが、それは本人にとっては没頭に過ぎないのかもしれない。

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コメント (1)
この度は写真を使用いただき、ありがとうございます。
伊東浩司さんの名を聞くたびに私は、バンコクのアジア大会100mで、10秒00を出したときの残念な思いが浮かびます。あのレースでのゴール、伊東さんは少しスピードを緩めてゴールしました(記憶に間違いなければ手を挙げていたと思います)。もしあのとき全力で頭から突っ込んでいたら、日本初の100m9秒台は、桐生選手でなく伊東さんだったのではと思うのです。
為末大さん、いつもクレバーなお話をお聴きしています。先日も東京FMでお声を聴きましたが、ジョークで「世界陸上の解説の仕事が来ない」と言われていました。
東京オリンピックでは、間違いなく解説者としてクールな解説がお聴きできるものと思っています。
私はボクシングをやっていましたが、陸上競技全般の観戦が好きで、この度はとてもうれしかったです。ありがとうございます。
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