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誹謗中傷と健全な批判の境目

誹謗中傷というとなんでも批判がよくないと思われているかもしれないが、批判は健全な言論には大事なものだからそれはもちろん許容すべきで、誹謗中傷は法的に定義されているものを参照するのがわかりやすい。名誉毀損、侮辱、営業妨害あたりの発言がひっかかる部分ではないかと思う。

例えば最近私が言われたことは「あなたが五輪をやりたがっているのは利権があるからでしょう」だったが、もしこれが「恩恵」であれば、問題ない。恩恵を受けてない証明は難しいからだ。実際には恩恵をほとんど受けていないのは弊社の五年の売り上げ推移を見るとわかるのだけれどまあそれはいいとして。ただ「利権がある」と言われると証明可能なので、利権があるという証拠を見せなければ名誉毀損の可能性が出てくる。

【利権】利益を占有する権利。業者が公的機関などと結託して得る権益。
広辞苑より

一方で事実であったとしても名誉毀損は成立するそうだ。例えば人種、国籍、性別など他にもあるだろうけれど、揶揄するような内容であれば仮に事実であっても、確かに問題があるのはわかる。この辺りは多様な人がいる国で生活すると、物凄く敏感なことを実感する。

驚いたのは、「ばか」とか「きもちわるい」とかは名誉毀損に当てはまらないそうだ。「頭が筋肉」と私はよく言われるんですがと聞いたら、これも当てはまりませんねと言われた。ええそんなーと思ったが。おそらくこの辺りを誹謗中傷と捉えるのかどうかはこれから議論だろうけれども、少なくとも今は法的にはひっかからない。

言論空間を見ていると何が発言してはならないことかをよく理解している人は、留学経験または多様な人との接点があり、ビジネス経験がある人が多い傾向がある。トレーニングされるか、または発言に問題があればそもそも淘汰されているのかわからないけれども。

少しアンフェアだなと思うのは、以前、日本の官僚の方がShut up!と言って大きな問題になったが、私は少し気の毒なところがあるように思う。第一言語でなければ言葉の正確なニュアンスは掴みにくく、自分にも失敗の経験がたくさんあるからだ。同じように日本語でも言語知識の差によってこの単語の選択に差が出るということはあり得る。

トレーニングされた人は、意見が分かれるテーマ、タブー、をよく知っていてそれを避ける、または踏み込むときには十分な準備をしている。エリートの世界ではずいぶん昔からあった作法が、今snsでも適応されようとしているようにも見える。

おそらく本筋を言えば誹謗中傷はだめよ、でも健全な批判は表現の自由の観点からも重要だよ、これからはその境目をみんなで議論しながら探していきましょうねなのだろうけれど、その境目を避けつつ批判をしていくには、結構な前提知識を必要とするので、今まで誹謗抽象をしていた人は黙り込んでしまうことになっているのではないか。

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