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政治というチューニングマシン

よく政治家の方は叩かれる側になりますが、友人が何人も政治家になってみて、よくあの損な役回りを買って出てくれているなと感謝する気持ちになりました。私なら耐えられません。

少し距離を持って政治家という役割を見てみると「チューニングマシン」なのではないでしょうか。叩いている政治家がそのように振る舞うことも私たちの選択が反映された結果なわけです。

もちろん私欲で動く人も、志高く我が国の未来のために働く人もいるのだと思いますが、その比率はだいたい社会と同じ程度なんではないでしょうか。

もちろん民意そのままを反映すると、短期的な視点で動くことになり危険ですから、冷静な専門家なり、政治家自らが抑制する必要があると思います。

一方で世論が明らかに望んでいて、大局的にも問題がなさそうに見えるのに、チューニングマシンが機能しないことがあります。なぜでしょうか。

政治家は選ばれ続けなければなりません。今この時だけ応援してくれる人と、生涯ずっと応援してくれる人では違います。社会においても、生涯の友と、今この瞬間利害関係で繋がっている人では、全く重みが違うのと同じだと思います。

長く応援し続けてくれる人の民意はより強く反映されることになります。さらにその人たちがワンイシューで意向を持ち、それ以外は気にしなければ、当然それが強く反映されるようになります。

単純なその時の民意の量ではなく、

「民意×時間(コミットメント)×テーマの絞り込み」

でチューニングマシンが機能しているように思います。例えば業界団体の既得権を守るというワンイシューで関係者の民意を集約し、そこに長時間かけてコミットし続け、政治家を支え続けると、外部の民意の多数が反対でもそのルールを書き換えることは難しくなります。

なんでこのルールが動かないのだろうと思ったものを調べると、ほぼ例外なくそこに既得権益が存在します。ところが、一体誰かが暴利を得ているのだと思って中を覗くと、そこには多数の人の生活があることに気が付きます。既得権の防衛は、関係者の生活を守ることでもあるので必死です。

ただそう考えると、人の流動性の低さと、既得権の守りの固さは関係していることがわかります。人の働き場所や、生活場所が流動的であればその既得権がなくなっても人は別のところで働くことができます。長期雇用と既得権が組み合わさると、抵抗がとても強くなります。

ここに来て大きくルールが動きつつあると思います。それは単純に既得権側が高齢化していることが挙げられます。また若い世代で終身雇用を信じている人なんてもういないでしょうから、当然既得権を持つ領域への忠誠心も低くなっています。さらに最近は若い人たちの政治への参画が増えてきています。

またこのチューニングマシンのロジックを理解し、ただ文句を言うだけではなくて、より良い社会に向けて動く議員を長期で支える仕組みも増えつつあると思います。

ただ、既得権側の人たちも元々はピュアに社会を良くすることを信じていて、いつの間にか年齢と共に守る側になってしまったのかもしれません。そう考えると、離れてみればただの新陳代謝のリズムと言えるのかもしれません。

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