見出し画像

ミッドライフクライシス

週末に友人とミッドライフクライシスの話になりました。ミッドライフクライシスとは40代から50代にかけて自分の人生について悩む時期のことを言うそうです。生理学的に言えばテストステロンの低下や更年期があり、また介護子育てなどによる生活の変化、仕事の役割の変化なども大きく影響しているそうです。

「自分の人生はこのままでいいのだろうか」といった悩みはこの時期に強くなります。私もこの悩みの真っ最中です。一つのアプローチとしては身体から介入するものがあります。運動を行うことで一定のテストステロンを生産し体調を整えることができます。そう考えてしまうのは、そのような体調だからということも真実です。よく食べよく運動してよく寝たら、ずいぶん気分が前向きになります。

もう一つのアプローチの方が大変ですが、自分の人生の捉え方を変えるということです。上昇志向がある人は「何者かになりたい。ならなければならない」という価値観を強く持っています。それは若い間はやる気につながりますが、ある年齢を超えると「何者にもなれなかった人生」への恐れになります。ミッドライフが持つポイントは、人生を折り返し、人生でどの位置に自分が行き着きそうかが見え始めてしまうことだと思います。

上昇志向が持つ根本的なものの見方は、未来からの逆算です。常にこれは未来に繋がるか、ああなるためには今何をすべきかを行き来しています。しかしこの見方が、ミッドライフではナイフのように刺さります。予測する未来がうっすら見えてしまい、今やっていることが急に虚しくなります。

結局これとうまく付き合うには「いまここ」に集中するしかないと思います。しかしこれは今までの価値観と対立します。今を生きるのはただの諦めじゃないかと自らを内部で厳しく批判します。この内部の対立は辛いですが、この葛藤を乗り越えなければ心の平穏はやってこないと思います。

また上昇志向とは別で、社会、家庭、仕事と各所からの役割期待が大きくなり、またやらなければならないことが増え将来が見えない中で不安で潰されそうになるというパターンもあると思います。今はいいけれど歳を取ったら大変な未来が待っているのではないかという漠然とした不安です。

それぞれの環境で違いますが、大事なことは早くギブアップしてしまうことだと思います。苦しい、疲れた、助けて欲しい、が言えることは大事なライフスキルです。がんばれと励まされるような場所はミッドライフ以降ではあまり助けになりません。自分でなんとかしないとというのが苦しさの根底にあります。

「人間は弱い、自分は非力である」ということを認めた上で、「自分だけではなくみんな弱い。自分は一人ではない。自分一人で耐える必要もない」と認識し直すことが、またそのような場所を緩やかに構築することが大切です。ミッドライフにおいて特に男性はこのようなところに陥りやすいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?