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長期のストレスに弱い人

コロナになってから聞いた中で最も興味深かったのは潜水艦の元船長の方の話だった。ずっと家の中にいるという状況を閉鎖空間と捉えると、潜水艦の乗組員の方がそのエキスパートなのではないかと思い話を聞いた。学びがある話がとても多かった。

潜水艦は音を立てると相手に位置を特定されてしまうために、乗っている間は基本的に音を立てないように過ごすそうだ。会話もなるべく小さな声で行う。1日24時間という概念ではなく一サイクル18時間で、6時間勤務、6時間自由、6時間睡眠でグルグル回すそうだ。

一度海に出ると一ヶ月程度潜っている。ストレスを解消する上で重要だったのは食事と、それから映画だったそうで、特に映画はヘッドフォンをつけ何かに没頭する体験が精神安定を保つ上でよかったらしい。少し前の話だと言われていたから今であればゲームなども入るだろうか。

興味深かったのは、一番大切な事はそもそも潜水艦乗りに向いていない性格の人間を選ばないというところだ。どうやってスクリーニングしているのかというと例えば心理テストで『今までに嘘をついたことがありますか』という質問に対し、ありますと答えた人は適性があり、ありませんと答えた人は適性がないと判断するそうだ。

嘘をついたことがない人間などいないから正直に話せば「ある」となるのだが、人前で体裁を取り繕う傾向がある人間は「ない」と答える。

この話は要するに何かを取り繕おうとする性格の人間は強いストレスに弱いということだった。これはスポーツの現場の勝負強さに対する実感とも合う。一番強い選手は無邪気か、自分を全く振り返らない強いナルシストだったと思う。全くそのままかまたは自己暗示にかかり切るタイプか。

ひっくり返してみると、ストレスに強い人間は何かを我慢できるというよりも、辛いときに辛い自分を認め、弱いときに弱い自分を認められることなんだろうと思う。辛いときに自分を責め、弱いときにそんなはずはないと取り繕ろおうとするなら、自分を説得するだけで体力を使い果たしてしまう。

精神的に疲れやすい人も、取り繕ってしまう性格が多いように思う。例えば一例として人生の前半でいい子を演じる必要に迫られそれに適応してしまい、普段は取り繕っているので、疲れてその抑制が効かなくなると別人のようになるパターンがある。自分でも取り繕っていること気がついていないことすらある。

あなたは嘘をついたことがありますか?

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