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良い生徒になる技術

よい生徒になれるかどうかは「生徒になる技術」で決まる。これは成長にとても重要で、まず良い生徒になれなければ教えてもらうことが浸透しにくいし、周囲もその人に教えようという気にならない。長期的には学習効果に相当な差がつく。良い生徒はそれぞれ個別の学びを統合して「学び方自体」を学べるようになる。学び方がわかれば応用が効く。

マッサージは一方的に受けているように見えるが、実は受ける側の身体の扱い方によって効果が変わる。マッサージがうまくない人は、身体が強張っていて、刺激に対し力が入り抵抗する。一言で言えばマッサージを受けるのが下手な人間は力を抜いて、委ねることができない。悪い生徒はこれに似ている。

良い生徒になる第一の条件は委ねることだ。大人は経験を持っている。経験から来る癖や価値観ははその人のらしさを形成しているが、同時にそれは何事もその癖に持ち込んでしまうということでもある。委ねるということはそういった価値判断や癖を一旦保留し、ただ目の前の人に身を委ねるということだ。

つまり、瞬間に私を空っぽの器にしてしまい、そこに相手が言ったことを素直に入れてしまえるかどうかが鍵を握る。悪い生徒は、この瞬間を少し馬鹿にしている。言われた通りやるなんて子供みたいだ。この人が言っていることは正しいのか。頭が反射的にこう動いてしまい、それが態度に現れる。

良い生徒はさらにもう一段進む。一通り言われたことが自分の身体を通り抜けた後で、余韻を分析する。やろうと思ったこと、実際に起きたこと、体に残った感覚。そして先生が言ったポイントと統合し、意識を置くべきところを設定し直してみる。これらの繰り返しによって次第に身体が覚えていく。

複数の学びの経験を持った後は、次第に学ぶプロセスの共通点が見えるようになる。そして、学び方自体を理解することにつながっていく。人が新しいことを始め学習するプロセスはそんなに違いはない。引っかかる部分もよく似ている。すると、今度は他人を見ても引っかかっている瞬間が見えるようになる。

結果として良い生徒は、良い先生になる。指導者の伸び悩みは、知識の欠如であるというよりも、素直さの欠如が影響しているように思う。そして素直さは相手に影響を与えられる立場に立つと容易に減少していく。定期的にできないことにチャレンジし、相手に委ねる練習をし続ける必要がある。

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