【JBpress町田さん記事感想②】アイスショーのブランディング
JBpressオートグラフに掲載された、町田樹さんの記事の中から、気になった話題をピックアップして書いてみたいと思います。
第二弾は、「アイスショーのブランディング」についてです。
アイスショーのスター
数々のスターの存在によって成立し広がりを見せてきたアイスショーだが、今後、スターが生まれる確率は下がっていくだろうと町田樹は言う。そうなると、考えられる方向は定まってくる。
「すでにアメリカやヨーロッパでは、ジョン・カリーからミッシェル・クワン、カート・ブラウニングなどに至るスターたちが去って、『ポストスター』の時代に入り、アイスショーは激減しているわけです。だからこそ今後はなおさら作品だったり、カンパニー全体にファンや顧客がつくようにしていくこと。フィギュアスケート以外のアート&エンターテインメント市場をみてみると、スタービジネスというものはありますけれども、圧倒的に作品というもののブランドで売っているのが多いですね。
ミュージカルでもバレエでも、誰が主演するのかも大事ですけれども、どんな作品なのかということも出演者と同等かそれ以上に重視されます。そういう作品のブランド力で勝負していくようなアイスショーが出てきてほしいですね。ただ、それだけではたして抜本的に産業のパワーを取り戻せるかというと、ちょっと難しいと思っています。アイスショーにとっては本当に厳しい時代になりました」
町田樹/松原孝臣
これまで、多くのアイスショーは「誰が出演するか」が集客の大きな鍵を握っていました。
著名スケーターがいて、その方を見たいために、チケットを買う。
そんな時代が多く続いていたかと思います。
ところが、現在は数多くのアイスショーが開催され、フィギュアスケートファンでも取捨選択をする状況になってきたと感じています。
つまり、「誰が出演するか」だけでは集客が厳しい時代に入ってきたかと思います。
(一方で、著名スケーターはそれぞれ自分のブランド力を活かして、独自のアイスショーを立ち上げており、そちらも大変魅力的です。だからこそ、既存のアイスショーが厳しい状況に陥ってしまう可能性は大いにあります)
例えば、PIWでは数年ごとに大きなテーマを設定し、それにあった演出家を外部から招聘することで、常に変化を怠らず、ブラッシュアップを続けています。歴史や伝統を甘んじることなく、様々なチャレンジを行っています。
2023年には人気アニメを題材としたアイスショーが初めて行われました。これにより、フィギュアスケートファンだけではなく、コンテンツのファンを取り込むことにも成功しました。
アイスショーごとのブランディング
①の記事でも紹介しましたが、個々のアイスショーごとにではなく、アイスショー全体、業界全体で取り組むべき課題だと感じています。
それぞれのアイスショーごとにSTP分析(※)を行うなど、市場の把握を行い、自ブランド(自アイスショー)と競合(他アイスショー)との差別化を図り、戦略を考えていかなければならない時代に入っていると考えています。
(※)「STP分析」についてはこちらに詳しく記載しています。
<参考>【用語解説】STP分析
今後、少子化による人口減少で観客となる母数も減っていきます。また、経済状況や国際情勢の変化(悪化)による消費意欲が減衰するともいわれています。さらに、興味関心、趣味嗜好の多様化や、SNS等の活用、情報発信の多様化などもあり、一度に多くの人に届け、動かすことが難しくなってきています。
また、特にエンタメ業界は、コロナ禍で真っ先にダメージを受けたこともあり、業界全体として見直しをはかっている印象です。
これをチャンスととらえ、脱皮していくコンテンツや、変化をおそれずチャレンジしていったり、うまく時代に乗り、流行を生み出せるコンテンツなどは、まだまだ生き残っていけると感じています。
最後に
既存のアイスショー、試合後のエキシビションの延長にあるようなタイプは、今後なにかしら手を加えなければ淘汰されていくのではと感じています。
独自性をアピールすることで、そのアイスショーそのものに固定ファンがつくこと、毎年このショーは行きたいなと思わせることが、アイスショー存続のカギになると思います。
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