ついのすみか

中古一戸建てをリノベして住む計画をしている。
というか、もう物件を購入した。

どうせ家賃を払い続けるなら賃貸より持ち家。どうせ何千万かけて買うなら建て売りより「自分らしい家」。
そう考えて、ワクワクしながらリノベ会社の門を叩いた。

リノベ会社に注文を伝えてあれもこれもと盛り込む。もちろん彼らはプロなのでできることできないこと、取捨選択してバランスを考えて予算内でいい家に仕上げてくれると思う。何回も打ち合わせを重ねて信頼できる人たちだ。
でも、優先順位が分からなくなる。

当初、とにかく叶えてほしい家の希望は「眠れる家」だった。
一時期不眠症になったり、今でも眠りが浅く夜中にしょっちゅう目が醒める。夜にぐっすり眠れたら全てがハッピーになるはずと思っていた。思っている。どんな家か眠れる家なのか具体的に考えがあるわけではないけれど。

妻とあれやこれや希望を出し合い、会社と打ち合わせをするうちに、広い2階リビング、収納、家事動線、バルコニーにウッドデッキ、子ども部屋を成長に合わせて改造できるようにすること、、、
挙げだしたらどんどん出てくる上に、妻とのこだわりポイントも違うから揉め、、、

本当にうまくいくの?後悔しない?と考え出したら、ワクワクしていた思いも興ざめになってしまう自分がいる。
結局、オーソドックスな建て売り住宅が一番理に適っていて失敗がないんじゃないか?
「自分らしい家」という虚像に取り付かれているだけなんじゃないか?

そもそも生き方自体模索中なのに、終の住処を決めてしまっていいの?
何千万かけて「自分らしい家」じゃなかったらどうしよう。
その不安が頭をもたげて眠れなくなる。
もう住宅ローンも組んで家を買って着工金も払ってるんですが。
でもそう考えたら結局、最初に考えた「眠れる家」でさえあれば、悩みもなくなるんですけどね。

ところで、眠れずにお茶を飲もうとして冷蔵庫を開けながら考えている。
夜中に冷蔵庫を開けたら、わずかな明かりの中で他のことがぼやけてふと自分と向き合える”宇宙感”がある。不思議だ。冷蔵庫が真夜中の象徴みたいに感じることがある。aikoの「深海冷蔵庫」、いきものがかりの「月とあたしと冷蔵庫」。この真夜中の宇宙感を浮かび上がらせてくれる好きな曲だ。

1階に寝室、2階にキッチンのある、眠れる、(予定)新しい家に住んだら、この「冷蔵庫観」も変わってしまうのかな。ちょっと寂しい。

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