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今日も空は青い。① 【オリジナルストーリー】
※本ストーリーは過去に別サイトへ投稿していたのをリメイク掲載しております。
直球少年とひねくれ少女のお話です。
タイトル
《今日も空は青い。》
*
【一球目:嘘はいいから】
すううぅぅぅぅぅ―
僕は大きく大きく息を吸い込んだ。
そして、
ありったけの空気を肺に入れて、
ありったけの気持ちを込めて、
ありったけの声を出して、
目の前にいる君に伝えたいこの言葉を口にしたー
『―っ好きなんです!!!!』
*
僕は戸村和陽(トムラ カズアキ)、17歳になったばかり。
ちなみに3年A組、出席番号は24番。
本日はお日柄もよく、幸先もよい気がするんだ。
なので、あまりない勇気を振り絞って人生初の告白をすることに決めた。
相手は1年間片思いしていた同じクラスの笠木日菜子(カサギ ヒナコ)だ。
僕は目の前にいる笠木を真っ直ぐに見つめながら、逃げたくなる両足を奮い立たせながら、次の言葉を紡いだ。
『僕と付き合ってください!!!』
もうこの先一生分の勇気を使い切ってしまったんじゃないかって思うほど、それぐらい僕は必死だった。
一方、僕の突然の告白に驚いたのか、笠木は風でなびく肩まで伸びたストレートのサラサラな黒髪を片耳に掛けながら、暫く目をパチパチとしていた。
僕たちの間には何とも言えない微妙な空気が流れ、暫く無言が続いていたが、事態を飲み込めてきたのか、笠木はゆっくりと口を開いた。
「戸村くん、」
『はいっ!!!』
どうかOKを!!!
心の中で手を合わせて祈る僕に彼女は続けた。
「あのさ…
見え透いた嘘はやめときなよ」
は?
『は?』
おっと、思わず心の声が漏れてしまった。
あまりに予想外の反応で動揺が隠せない。
『え、は?いや、嘘じゃないけど』
「いやいや、嘘でしょ」
『いやいやいや、嘘じゃないけど』
「いやいやいやいや、嘘はいいから。信じない」
『いやいやいやいや…って、
えーいっ!まどろっこしいわ!!!』
いやいやって何回続ける気だよ?!
いい加減疲れるわ!と心の中でツッコミを入れながら何とか信じてもらおうと会話を続けた。
『あのさ、本気、だから』
「いや、嘘はいいから」
だ か ら
『なんで?!
笠木のことが好きなんだって!
信じてくんねえの?!』
「だって…」
『だって?』
「私のこと好きになるとか、ありえない」
『・・・はい?』
「はい?」
えーっと、
何を言ってんのかね、この子は。
*
②へ続く
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