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今日も空は青い。③ 【オリジナルストーリー】

前回のお話はこちらから。



【1.5球目:キャプテンの決意】

ちゅん、ちゅん―

小鳥のさえずりと朝日の光を浴びて目が覚める。


うーん、いい朝だ。
…ってまあ、本当は寝てませんけどね。

『うわっ、ひでークマ…』


皆さんおはようございます。朝です。
もう、朝です。
ご覧の通り、僕一睡も出来せんでした。

え?なんでかって?
それはほら、昨日の告白事件ですよ。

告白したのに「嘘」って言われたあのショック。
告白したのに「信じない」ってばっさり切られたあのダメージ。
ほんと威力ハンパないよ…胸にグサグサきたわ…

ずっと好きだったあの子、笠木に勇気を出して昨日告白はしたまでは良かった。

けれどまさか。

まさか、その告白の返事すらももらえないとは思ってなかった。

嘘って。
信じないって。
ありえないって。

どうなのこの言われよう。
今さら悲しさが込み上げてきて、胸がギュッって鷲掴みにされたように痛くなった。

なんで笠木があんなに頑なに信じようとしないのか分からない。
一晩中寝ないで考えても分からなかった。

・・・まあ当然といえば当然だよな。
だって僕は笠木じゃないし、考えてる事なんて分かるはずがないんだ。

―そう。
自分の考えてることなんて、他人に分かるはずがないんだ。
だからこそ僕は気持ちを伝えたんだ。

なのにこの仕打ち…本当もう何これ。泣きたい。


―あ、やばいやばい。
昨日受けたダメージがでかい上に寝てないから今めっちゃネガティブになってるや…

いや、このままじゃだめだ。
僕はこれでも野球部のキャプテンなんだ。
こんな弱くてナヨナヨしていたら、後輩たちにも心配掛けるし、キャプテンなんか務まらないよな。

ぱんっ

『―よしっ』

両手で自分の頬を軽く叩いて活を入れる。
そして眠たい頭を振って、学校に行く準備を済ませ、玄関のドアノブに手を掛けた。

そうだよ。
自分の気持ちを分かって欲しかったから笠木に告白したんだ。

一回言って伝わらなかったならもう一回言えばいい。
それでも伝わらなかったならもう一回言おう。

君に伝わるまで。
君にこの気持ちが届くまで。

『いってきます!』

リビングにいる両親に声を掛けて外に出た。
まだ早いこの時間。
いつもの通学路をランニングもかねて元気に走り、朝練に向かう。

何回だって君に伝えると決めた。
だから、待ってろよ!

今日も僕は元気に駆け出す。



1.5球目:キャプテンの決意

【完】




その頃の笠木家。

―はくしょん!

「あらやだ日菜子。風邪?」
『いや、なんか急に寒気が・・・』

(誰か噂でもしてんのかな?)

悪寒を感じながら首を傾げる日菜子であった。

④へ続く

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