1時間後に立ち直っている自分を想像できるか。『さいはての彼女』に学ぶ最高の開き直り方

ああ、どうして最高のタイミングで涙を用意しているだ!
これだから原田マハ作品は油断できない。

そう思った今回の原田マハ作品は「さいはての彼女」です。

本のタイトルになっている短編の他に3本の短編を含む作品集です。

どれもテーマは似ていて、全力で自分の信じる道を歩んできた女性が、とあることをキッカケに描いていた未来とは別のルートへと外れてしまいます。

そして、旅に出る…。

まぁ、まずは旅出ましょう。話はそれからです。

読み終えてから改めてタイトルを眺めてみると、ストーリーを上手く表し、主題をよく捉えたタイトルだなと思います。これから読む方は各短編のタイトルを何となく頭の片隅に入れて読んでみてください。

1.さいはての彼女
2.旅をあきらめた友と、その母への手紙
3.冬空のクレーン
4.風を止めないで

さて、そんな4タイトルの中から、本のタイトルにもなっている「さいはての彼女」を簡単に表すと次のような展開です。

画像1

バカンスで南の島へ!と思ったら手配に何があったか知らんが、北海道・女満別へ…。色々あって、ハーレー・ダビットソンに乗った女子とタンデムで数日過ごします。

ちなみに「女満別」は北海道の…おーい!Google先生!

道東の中でもオホーツク地方、北見と網走の間くらいですね。
南の島でバカンスだ!と思って行くには、イメージがだいぶ違いますね。8月の平均気温が20度くらい。涼しいな…。

青い方向標識に、「網走」の文字が見えた。
あばしり?!
いまさらながらに驚いた。そんなところを走っていたのか。刑務所、北端、高倉健。私の中の網走のイメージは、そんな貧弱なものでしかない。

私もそのくらいのイメージしか無いよ!

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おっと、今回のメインを忘れるところでした。

「さいはての彼女」ですが、今回の学びは北海道の道路脇に立っている下矢印看板ではありません。そう、「最高の開き直り方」です。

要点は3点。

1.予想もしない旅、身を任せるのも大切

「あの……メマンベツ、って沖縄じゃないですよね」 
アテンダントに一応聞いてみた。
「じゃ、ないです」 
笑いをかみ殺している。

当初、沖縄でのバカンス予定だったが、頼んで取って貰った航空券は北海道・女満別空港行き。これが最初の想定外です。ここから数々の想定外に巻き込まれます。ところが主人公、初めこそ苛立ちが目立ちましたが、途中から全力で楽しんでいる様子。その想定外を完全に楽しんでいます。

この開き直りっぷりは清々しいくらい。
そうか、ハプニングも含めて旅じゃないか。


2.最悪の状態下で立ち直る自分を想像できる

最悪の事態に直面したとき、一時間後に立ち直っている自分を想像できるか。それができる人は、一年後、十年後、必ず成功する人です。 

これは主人公の言葉です。純粋にビジネスパーソンとして伝えている言葉として出てきますが、主人公の経験を反映したような言葉でもあります。

ビジネス本に出てきそうな言葉ですが、凄く分かりやすい開き直り方だなと思いました。どんなに落ち込んでも過去は変えられない。それよりも未来を変えようとも取れます。

そう、「きのう」は、ない。「今日」と「明日」がある。


3.心を開く、自己開示

私は、もっとナギのことが知りたくなった。この不思議な磁力を持った、明るく、たくましく、そして一生懸命な女の子のことを。そして、私のことを、ナギにもっと知って欲しくなった。

開き直るような時。そんな時って「もう良いや!」じゃないと思います。どこか「自分の抱えている問題、悩み」を知って欲しい時だと。そんな時は旅先で出会った人に聞いてもらうのも良いかもしれません。

私も旅先で出会った人と色々語り合った経験がありますが、その後、その方が意外なキャリアをお持ちの方だと知りました。旅をして語り合って話が合うって事は、相手も何らかの対処をしてきた経験があるのではと思います。

旅先で自己開示、意外と楽になりますよ。


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今回は原田マハ作品に学ぶ開き直り方でした。

原田マハさんの作品は原則「ポジティブ女子」です。しかも、最悪からの最高を自分的尺度でガッチリ掴んできます。

どんな状態でも「幸せ」はある。
それを幸せと感じるか、どうかは本人次第。

ほんと、面白いですね。
私も日々を楽しみたいと思います。
それは、またね!

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