温泡、その泡、その温もり
まず名前が良い。「温かい泡」と書いて温泡。字面だけでもう気持ちいい。とろけそう。
それに響きも良い。おんぽう。平仮名で書いても丸みがあってかわいい。癒される。
「温泡」はアース製薬の入浴剤。昨年からハマり我が家では無くなりそうになると買い足している。巷には様々な入浴剤があふれる中でなぜ温泡を愛用しているのか。
①ジューシーな香り
なんといってもこのジューシーな香りがすばらしい。他の入浴剤に比べてしっかり香るから、帰宅して夫がお風呂中だと「今日は温泡の桃だな」と廊下の時点でわかる。いかにも入浴剤っぽい香り(これも逆に良い場合もあるけど)や、イランイラン、ゼラニウムなどの女子を癒しそうな香りでもなく、「レモン!ゆず!梅!」というそのまんまの豊潤な香り。巷にありそうで意外にないのだ。
また、一箱で同じモチーフをベースにした4種の香りが楽しめることも特徴的だ。
例えば、ひのきなら「松を浮かべたひのき」「菖蒲を浮かべたひのき」「ひのき玉を浮かべたひのき」「柚子を浮かべたひのき」の4ひのき。
桃なら「完熟黄桃」「もぎたて桃」「早摘み桃」「とろける蜜桃」の4桃。
全く違う4種が入っている入浴剤だと新鮮さはあるが「サンダルウッドの香りはいらないかな…」となることがよくある。だからといって、捨てるわけでもないし微妙な気持ちで入る「サンダルウッド消費用の妥協風呂デー」が生まれる。
かといって、ストイックに1箱1種を買って16回「森の香り」に入り続けるのは「なんかもう…いいかな…」となる。
好みの系統の香りを思う存分楽しめて、その中で遊び心があり飽きさせない温泡のスタイル。すばらしい。
②お湯の感触
温泡はいくつかのシリーズに分かれている。その中でも推したいのが「とろり」シリーズ。
別にぬるぬるするわけではなく、お湯自体に少し重みが出るような感じ。温泉のような柔らかな湯ざわりになり、身体へのぽしゃぽしゃ感が心地よい。高めの入浴剤で味わえるような感触が、低価格で楽しめる。
③温浴効果
バブのような炭酸系入浴剤なので、身体がぽかぽか温まる。どのくらい温まるかというと、温泡に浸かった後の夫は古代ローマスタイルでバスタオルを右肩に掛けながら冷蔵庫へ向かい、冷やしフェイスパックを装着、次にベランダの方に行き窓を開け、夜風にあたりながらカルピスウォーターを飲んでいる。そのくらい温まる。(私は絶対やらない。)
代謝の良い夫は参考にならないが、私の場合はものすごく暑くはならないけれど冷えの概念を忘れて眠りにつける感じだ。そういえば、2019年の冬は寝るときに靴下を履かなかった。
気づけば、香り、感触、温浴効果、というなんの変哲もない点を推してしまった。
しかし単純な仕事を丁寧にやりきることが一番難しい。
アース製薬の開発者にとっては香りにこだわり突き詰めるよりもキャッチーなパッケージにしたり流行りのコンセプトにすることの方が簡単だし話題性はあったことだろう。かつての入浴剤で培ったゆずの調合を使ってもよかった。努力しても未使用の消費者から見れば、ドラッグストアに並ぶ温泡は他社と同じゆずの入浴剤だ。
でも妥協しなかった。
木頭ゆずオイルを配合すれば、価格以上のクオリティを提供すれば、一度でも使った消費者には良さをわかってもらえる。彼らは人を信じ、その感性を信じている。その努力は決して水の泡にはならず、人々の身体と心を、人生を、温める。
※後半の文は全部妄想です。
ちなみに今温泡(みかん柚子の香り)に浸かりながらこの文章を書いた。のぼせそう。
カルピスウォーター飲もう。
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