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大須健太・作品集 Ⅱ

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毎週水曜日に掲載している無料エッセイを集めたマガジン。
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記事一覧

決意の日の空

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風見鶏とアクセス数、その先にあるもの

 もうすぐ二〇二四年も終わろうとしている。いい年だったと言い切ってしまうには、まだいささ…

バレリーナ・森下洋子に泣いた日

 私が文章を書くようになって四年が過ぎた。    後々、自分の人生を振り返った時に、こん…

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本を読むということ

 大人になると、時の流れが妙に早く感じる。これは誰が言ったか忘れたが、大人になると物珍し…

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寿命各々

 先日、喪中の葉書が届いた。父宛である。  葉書であるから、できるだけ見ないようにと心が…

酔っ払い

 人は時に、とんでもない事態に遭遇することがある。先日、電車に乗った際、人身事故で幾分ダ…

おいのち、いただきます

 昨年はさんまが不漁で食べる機会も少なかったが、今年は大量とみえて、これでもかと言うくらいさんまを食べている。現代の子供は魚は切り身だと思っている子が多いのではないかと思うくらい、魚本来の姿を目にすることは少ないのではないだろうか。  共働きで忙しいお母さんは、わざわざ魚屋へ行って魚だけを買ってきて三枚におろしたりすることもないだろうし、ばらして調理もしないだろう。第一、魚をさばけるお母さん自体が少ないのではないだろうか。  便利なことに魚売場のパックをよく見ると「下処理済

扇風機

 日も短くなったし、食器を洗う時に流す水も冷たくなった。もう本当に秋が来たのだなと、そう…

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追悼・大山のぶ代さん

 人間、生まれてきたからには何かしら、自分の持っている能力や才能を信じて、何とかそれを仕…

手放す時

私は、断捨離というのが好きではない。 その行為自体がどうということではなく、その言葉の響…

「サンダカン八番 娼館 望郷」に見る田中絹代の生き様

 かつて、人生五十年と言われた時代があった。それは江戸時代のことだっただろうか、それとも…

秋の昼寝

 つい昨日まで蒸し暑くて適わなかったが、ここに来て急に季節が秋へと、思い出したように歩み…

ガラス細工

 子供の頃、祭りに出かけると真っ先に向かう露店があった。それはいか焼き屋でも、たこ焼き屋…

美しい手

 いつの頃からか、 自分の爪は短い方だと自覚していた。  幼い頃の話だが、私は爪を噛む癖のある子供だった。親の愛情が足りていなかったのだろうか?大人になってからは、みっともなとでも思ったのか、いつとはなしに何とか爪を噛む癖は治まったが、その代わりと言っては何だが、爪を短く切る癖がついてしまった。爪や指先のことを考えたら、余り短く切るのは考え物だと分かってはいるのだが、ついつい爪切りが食い込むところまで差し込んで、パチンと景気良く切ってしまうのである。「痛っ!」と叫んだ時には、