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iPaaS「ActRecipe」でMoneytree LINKと連携した裏側

先日、弊社アスタリストのiPaaS(integration Platform-as-a-Service)であるActRecipeとマネーツリーさんが提供されている金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」との連携を発表いたしました。Moneytree LINKは、2,500以上の銀行口座(個人・法人)、クレジットカード、電子マネー、ポイントカード・マイル、証券口座の取引明細が一つに集約されたプラットフォームサービスで、ActRecipeはこのうち法人の銀行口座明細との連携を開始します。
アスタリストでは2020年6月に電子決済等代行業(以下、電代業)の登録を終え(※)、これまでに三菱UFJ銀行、GMOあおぞらネット銀行、PayPay銀行との銀行API接続ができています。このまま各銀行と直接契約を進めてラインナップを増やす方向で考えていましたが、以下のようなハードルがありなかなか前に進めることができずにいました。

1.経済的コストが高い
2.時間的コストが高い
3.運用コストが高い

コストばかりですが端的には「コスト=負荷」でして、この負荷を乗り越えた先に得られる価値と等価でなかったことが足踏みをする理由となりました。

※電子決済等代行業の登録の軌跡はこちらにまとめています。「このnoteを見ました。話を聞かせてください。」という複数の企業の方からもご連絡をいただいており、微力ながらお役に立てているようで嬉しいです。

経済的コスト

1の経済的コストは、各銀行とのAPI接続に係る初期費用や月額利用料です。詳細は控えますが初期で数十万〜数百万円、利用料は年額で数十万円〜となりこれらが各銀行ごとに発生します。唯一、GMOあおぞらネット銀行さんは初期費用も利用料も無料ですので、低コストで銀行API連携をされたい場合は非常にオススメです。実は我々もGMOあおぞらネット銀行さんが一行目の候補でした。
まとめますと1については「お金が掛かる」ということです。

時間的コスト

2の時間的コストは銀行との契約や開発に要する時間です。契約には3〜6ヶ月ほど掛かり、各銀行のセキュリティチェック対応もそれなりに時間が必要です。当然開発も各銀行毎の対応が必要になります。ある程度の体制があれば気にすることもないのでしょうけれど弱小ベンチャーにとってはこれらの時間は別の目的に投資したいと思えるものでした。

運用コスト

3さいごに運用コストですが、各銀行とは契約して終わりではなく年1回程度の定期チェックがありますし、システム的な対応も必要になることがあります。これらに対応できる体制を維持するだけで人も時間も必要となり、接続銀行の数が増えればこの負担も増えることになります。

これらの理由から銀行との契約を見合わせていたのですが、iPaaSによる銀行連携のニーズは大小あったため我々は板挟みに合います。「ニーズがあるのなら対応すれば良いのでは?」と思われがちですが、数社のお客様では投資回収が難しいため先行投資をするにはリスクが高すぎました。

銀行API連携には更新系と呼ばれる送金と、参照系と呼ばれる入出金明細等の取得がありまして、頻度が高くニーズが多いのは後者の参照系でした。参照系に限定した場合、既に多くの法人口座との連携実績があるマネーツリーさんのMoneytree LINKと連携をすれば間接的にお客様のニーズを満たせるため2021年の初頭にアプローチをさせていただきました。
マネーツリーさんや提供されているサービスのことは電代業を取得するタイミングで認識していたのですが「ひょっとして競合になってしまうのでは?」とアプローチを見合わせていました。これが大きな間違いでした。マネーツリーさんは金融データプラットフォームとしてプラットフォームサービスに徹していらっしゃるので、ActRecipeのようにSaaS同士を繋ぐことはなく、むしろお互いの強みを活かすパートナーになれるというのが結論でした。このような背景から連携リリースの当日に以下のようなツイートをするに至っています。大変お待たせいたしました。


Moneytree LINK連携によって参照系はほぼ充足したどころか、銀行だけでなくクレジットカード、電子マネー、ポイントカード・マイル、証券口座の取引明細の連携ができますので、今後更に連携のラインナップを増やしていきます。
残る更新系ですが、送金だけに限定すると会計システムに送金機能を持たせているサービスもありますし、レガシーなシステムでも対応できていたりしますので、こちらの対応は案件ベースで検討したいと思います。送金だけを自動化することには別の課題もあってなかなか難しいのですが、ここでの言及は控えますのでもし詳しく聞きたいと言う方がいましたらご連絡ください。

さいごに

ここまでお読みいただきありがとうございます。
電代業取得時の金融庁・財務省、各銀行・マネーツリーさんの全てに該当することなのですが、我々のやっていることは前例がなく契約をするためにお相手に対して丁寧に何度もご説明をさせていただくことが必要でした。よく「どうやったら銀行と契約なんてできるんですか?何か秘訣はありますか?」と聞かれることもあるのですが、粘り強くやる!の一言に尽きます。若干のお金と時間は必要ですが、それよりも圧倒的な熱量と根気の方が大切です。我々は次世代のスタンダードになるべく事業を行なっていますので、熱量ドリブンでiPaaSを広めたい方がいらっしゃいましたら是非ご連絡ください!

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