宅建vol.3 制限行為能力者の続き

3. 制限行為能力者の保護者の権限
保護者には、4つの権限があることになっています。
「同意権」「取り消し権」「追認権」「代理権」の4つです。

・同意権とは、事前に『やっていい』と同意する権限。
・取消権とは、『無かったことにしましょう』と取り消す権限。
・追認権とは、事後に『良いでしょう』と認める権限。
・代理権とは、本人の代わりに契約できる権限。

ここで諸々、ポイントとなる、覚えておきたい特殊事例がいくつかあります。

①成年後見人の同意は取り消すことが可能。→成年被後見人が、同意されている内容を正しく認識できているとは言えないため。
また、成年被後見人の居住敷地の売却には、裁判所の許可が必要となります。
②未成年の契約は、未成年者本人と保護者だけが取り消しできる。また、時効があり、成人になってから(追認できるようになってから)5年、もしくは契約を行ってから20年。成人になってから商品を受け取ったり、費用の一部を支払った場合は、「追認をした」とみなされ、契約の取り消しはできなくなります
③未成年者の親は「法定代理人」です。保佐人と補助人は、家裁が認めた場合をのぞいて「法定代理人ではない」です。
④取り消し権がある者は、「本人」「法定代理人」「相続人」「同意人(保佐人と補助人)」の4者です。

-

4. 制限行為能力者の詐術

人を騙した時には、保護してもらえません。

詐術を用いた場合は、取り消しが認められないのです。

未成年者が、自分を成人だと偽って契約行為を行った場合には、
取り消しは認められません。
が、しかし、単なる黙秘は詐術にはならないので注意です。積極的に騙した場合を詐術といいます。

※未成年者だけでなく、全ての制限能力者に共通です。

-

5. 制限行為能力者の取り消しと第三者

第三者には、「善意の第三者」「悪意の第三者」がいます。

善意とは、事情を知らなかった人のこと。
悪意とは、事情を知っていた人のこと。

未成年者Aが、Bに土地を売り、その事情を知らない(善意の)第三者Cに土地を転売した後、Aが契約取り消しを申し出た場合、土地を取り返すことができるのでしょうか。

結論は、「できます」。

制限行為能力者の契約取り消しは、「最初に遡って無効」となるため、
Cに対して土地の返却請求をすることができます。(制限行為能力者の取り消しは善意の第三者に対抗することができる

なお、Aに土地を返却することになったCは、Bに対して損害賠償を請求することが可能となります。

-

制限行為能力者 ポイントまとめ

①意思無能力者の契約は無効
②未成年者は結婚すると成人
③被保佐人は家裁の許可を得てなるもの
④詐術は取り消せない
⑤制限行為能力者は善意の第三者に対抗できる

-

以上で、制限行為能力者の章は終了です。

次回は「意思表示」について。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?