同性カップルの住民票の表記について

<視点>
同性カップルの住民票に事実婚を示す表記を米原市でも実施できないか

<要約>
同性カップルは現在、婚姻による個人の尊厳と言える喜びを享受できないという不利益を甘受しないといけません。同性婚が制度としての婚姻に含まれない中、米原市も含めた多くの自治体はパートナーシップ宣誓制度を援用していますが、それでは婚姻をすることで得られる社社会保障を受けられません。
事実婚を示す表記を行うことで、異性間の婚姻による社会保障を受けられないまでも、事実婚により一部受けられるようになっている社会保障を受けられる可能性があります。国による同性婚を認める動きが見られない中、市としてもできることをしてはどうでしょうか。令和6年5月27日に長崎県大村市で同性カップルの住民票に事実婚を示す表記がなされました。

<質問1>

パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度の目的は

<質問を詳しく>
とりわけ、パートナーシップに関わる部分の概要と目的はなんですか。


米原市人権尊重都市宣言の理念に基づき、市民一人ひとりが人権を尊重し、多様な価値観を認め合う社会の実現を目指す施策の1つとして、現行の婚姻制度を利用できず、生きづらさを抱えている性的マイノリティの方の気持ちを受けとめるとともに、性への多様性を尊重する取り組みを推進するために令和5年度から導入しています。
これらは法律上の婚姻とは異なり、法的な権利や義務が発生するものではありませんが、二人の自由意志により、お互いを人生のパートナーとして日常生活を支え合い、協力し合うことを約束した関係であることを宣誓された場合に、行政がこれを確認し、公的に認め合うものです。
この制度を通して、市民のみなさまの性の多様性への理解を深めていただき、誰もが人生のパートナーや大切な人と安心してくらすことのできる米原市として制度を導入したものです。

<質問2>

現状での米原市の対応について

<質問を詳しく>
同性カップルの住民票に事実婚を示す表記がなぜ現在、米原市ではできないのでしょうか。ある専門家は、住民票の続柄のあり方は、自治体が定めることのできる「自治業務」で、民法や戸籍法などとは、法の体系や趣旨が異なると説明されています。

<答え>
住民基本台帳事務は自治事務ですが、住民票は、住民に関する記録として様々な手続きに広く利用される書類であり、各自治体において、できる限り統一的な運用が望ましいと考えており、国からの通知による「住民基本台帳事務処理要領」や具体的な実務の参考になる「窓口実務質疑応答集」の取り扱いに基づいて、事務を行っています。
しかし、同性カップルの続柄をどう表記するかについては定めがなく、多くの自治体では、同性カップルが住民票を同一世帯としたい場合、続柄は「同居人」と表記しています。本市においてはこれまで、同性カップルから住民票を同一世帯にしたい旨のご要望やご相談はございませんが、申し出があれば「同居人」または「縁故者」と表記します。

<質問3>

「同居人」または「縁故者」と表記をする理由は

<質問を詳しく>
どう表記するかの定めがないにもかかわらず「同居人」または「縁故者」と表記をする理由は

<答え>
同性カップルの続柄については、住民基本台帳事務処理要領などに定めがないことから、親族で世帯主との続柄が複雑な場合の表記に用いる「縁故者」と記載をするか、血縁者にないそれ以外の方の続柄に用いる「同居人」と記載することになります。

<質問4>

今後の方針について

<質問を詳しく>
同性カップルの住民票に、事実婚を示す表記を可能にし、当事者の権利を守りませんか。

<答え>
事実婚の続柄は、法律上の夫婦ではありませんが、社会保障の面で準婚として法律上の夫婦と同様の取り扱いをしているので「夫(見届)」「妻(見届)」と記載する例が「住民基本台帳事務処理要領」に示されており、本誌でもマニュアルを作成し、同様の取り扱いをしています。
長崎県大村市は、この事実婚の取り扱いを同性カップルにも準用し、自治体の裁量の範囲内であるという見解で記載されましたが、これに対し、総務省は大村市への聞き取りなども踏まえて、対応を検討すると発表しています。今回の動きがきっかけとなり、同性カップルの法的な位置付けの議論が進められると考えられ、本市としても検討していきたいと考えます。

<まとめ>
同性カップルの住民票表記は、自治体で決められると考えます。米原市は総務省の動きをみていくと言います。しかし、同性カップルは現在、婚姻による個人の尊厳と言える喜びを享受できないという不利益を甘受しないといけません。国の動きは非常に遅いです。
事実婚と同じ表記をすることで、いまよりも社会保障を受けられるようになる可能性があります。近隣の彦根市や長浜市と議論して、一緒に進めていくのはどうでしょうか。住民票の扱いが変わることで、受けられる社会保障も増えていく可能性があります。

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