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合意形成に時間をかけるから、速い。対話を大事にするデンマークの政治

今日は朝から盛りだくさん。有名プロダクトのデザインを複数手掛けるデザイナーの方や、昆虫食のビジネスを展開している起業家など、普通の旅では出会えない方との機会で、話もすごく面白かった。

そんなコンテンツびっしりの一日の中で、最も強く印象に残ったのは政治家の方との交流。ビジネスにも活かせる視点もあったので、まとめてみる。

排除はしない。9つある全政党で、話し合う

今回話を聞いたのは、与党第一党である社会民主党の議員の方。1時間の予定のところ、2時間半も割いてくださった。

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デンマークの政治は9つの政党から成り立っている。今の与党は連立政権で、首相は41歳の女性。史上最年少らしい。

恥ずかしながら、僕は政治に疎い。ただそんな自分でもわかることがある。それは、日本の政治には、うまくコミュニケーションを取りながら進められているイメージは全くないということ。噛み合わない答弁をし、時に怒号が飛び交い、挙句には野党を排除して強行採決をしている様子は、何度もテレビで観てきた。

一方で、デンマークの政治の基本は"対話"。9つの全政党の意見を集め、代表者が揃って議論を交わす。決まるまで何度も何度も対話を重ねる。与党が一方的に、独断的に進めることはない。

政治家は国民の代表である。当然、政党毎にイデオロギーが違うので、折り合わないところはある。でも、それを踏まえて対話をし、それぞれが納得いく着地をすることが国民の代表である政治家の仕事だろうと、この議員さんは仰っていた。

対話。
昨日のクリスチャニアでも、コモンミーティングという100人越えの集会で、全会一致させるために対話を積み重ねると言っていた。
デンマークを知る上で、一つのキーワードになりそう。

対話を重ねているから、未来への大きな一手を打てる

政治家の大事な仕事は、国民に安心感を与え、国を正しい方向へ導くこと。そのためには、極端な変化を起こすべきではない、と言う。

例えば、政権が変わる度に国の方針が変われば、国民は戸惑う。中長期の予測を立てられないと、短期的な思考や行動に偏るのは当然。
結果、未来への大きな一手を打つことが難しくなる。

デンマークはそれを嫌う。
実際にこの国は、中長期目標を次々に打ち出している。

この目標や大きな方針は、例え政権交代が起きても基本的に変わることはないらしい。なぜなら、この方針自体を、全政党で話し合って決めているから。どの政党が政権を握っても方向性がぶれないように、日頃から対話を重ねる。だから、安心して未来への大きな一手を打つことができる。

これはビジネスでも同じだと思った。

今年の目標を達成することが最善とされ、その目標達成に直結しないアクションは無駄と定義されて、省かれる。1on1などの対話の機会も、目標を達成するために実施される。それぞれのメンバーが考えていること、目指していることの共有に時間を割くことは歓迎されない。
みたいな組織はまだまだ多いのではないだろうか。

一方で、合意形成を丁寧に行おうとすると、それなりに時間がかかる。意思決定の速度は、トップダウンで決めるよりは遥かに遅れると思う。スピードが命だと言われるこのご時世において、速度が遅いことは命取りになる。

いや。
果たしてそうだろうか。

合意形成を疎かにして、突き進む。壁にぶつかり、リーダーが変わると、方針が大きく変わり、また突き進む。そしてまた方針が変わる。その繰り返し。

一方で、合意形成に時間をかける場合、合意するまでに長い時間を要するのは確かである。ただ、決まってからは速い。組織の意思決定に自分の思いが乗っているから、一度走り出した後の速度は圧倒的に高まる。そして、仮にリーダーが変わったとしても、方針がぶれることは少ない。なぜなら全員で対話をし、合意形成がされているから。

10年後、遠くまで辿り着けているのはどちらの組織だろうか?

僕は、後者の組織が最終的に生き残る、と信じていたい。
この思想で、これからも組織を運営していきたい。

夜のダイアログ。解釈を共有することによって得られる学び

今日、3日目にして、初めて夜のダイアログがあった。まずは2人1組のペアになって、今日のコンテンツを1つずつ振り返る。その後、10人全員で円になって、その場で共有したいことを自由に語る。

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今朝、デザイナーの方の話を伺った時のこと。正直、物足りなさを感じた。僕は幸運にも素晴らしいデザイナーの方々との繋がりを日本で持てているので、彼らが常々話していることとあまり代わり映えしないような気がしたし、昨日のコンテンツと比較して、情報量もそこまで多くなかったな、と。

でも、他の方々との対話を通して、一変した。

『陰翳礼讃』という谷崎潤一郎の書籍がある。これは、デンマークのデザイナーたちのバイブルになっているらしい。今日の方も紹介していた本。これを既に読んでいた参加者の方がいて、運良くその方とペアになった。

たった10分程度の時間。でも、この短い時間で、今朝のコンテンツの学びが何倍にも膨れ上がった。

印象に残った言葉を書き留めておく。

全てを明るく照らし出すことで、見失っていることもある
よく見えないからこそ、よく見えるものもある
100人100通りの解釈を生む余白の素晴らしさ
想像は、自分との対話に繋がる

これだけ見ても理解しづらいかもだけど。
でも、自分の中にはしっかりと刻み込まれた言葉。

全てを語らずに、あえて余白を残す。
全てを照らさずに、あえて暗闇を残す。

だからこそ、想像する余白が生まれ、人それぞれの解釈が生まれ、それが対話の種となり、お互いの人となりを知ることにも繋がる。そんなことを実際に体験して、ダイアログ、つまり対話の価値を再認識した一日の締めくくりだった。

明日は、デンマークの再生エネルギーについて、市議の方に話を聞いてきます。

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