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謎の道路標識・「その他危険あり」の意味を体感したときの話

皆さんは道路標識ってどのくらい覚えていますか?道路標識は免許取得の際に覚えると思いますが数も多いので身近な道路標識以外はあまり記憶に残りませんよね?

今回はそんな道路標識にまつわる不思議な体験をしたときのお話をしたいと思います。

※図は国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスを基に作成(https://mapps.gsi.go.jp/)

わたしは母のすすめもあって小学生のころからボーイスカウト活動をしていました。日々の訓練はあまり好きではありませんでしたが、仲間とともにキャンプをする楽しさに魅了され、高校生・社会人になってからも活動を続けていました。

中学生までは社会人のリーダーとともにキャンプをするのですが、高校生になってからは自分たちで立てた計画書をもとに年に数回キャンプをしていました。

わたしが高校2年か3年の夏だったと思います。幼なじみでとても気の合う1つ年下のS君と長野県の八千穂というところにキャンプに行こうという話になりました。

八千穂には駒出池キャンプ場という素晴らしいキャンプ場があり、中学生の頃に行ったことがあるのですが、その時の印象がとても良かったので自分たちで立てた計画で再び行ってみようということになりました。

行程としては3泊4日で初日に小海線の八千穂駅からキャンプ場まで20kmを歩き、翌日からはキャンプ場をベースに釣りや登山を計画していました。

キャンプ初日、わたしたちは山梨県の小淵沢駅まで電車で移動し、小淵沢から小海線に乗り換えて八千穂に向かいました。小海線は小淵沢から小諸までをつなぐローカル線で、清里や野辺山などの観光地を経由しながら沿線から見える素晴らしい景色を堪能できる観光客に人気のある路線です。

夏場の日中の小海線は観光客でにぎわっているのですが、この日は夜遅い時間帯ということもあって乗降客も少なく、車内は静かな雰囲気で目的地の八千穂へと向かっていました。
八千穂駅に着いたのは午後22時過ぎ頃であたりは真っ暗でした。

そしてここから国道299号線を蓼科方面に向かって標高約1,300メートル・20km先にある駒出池キャンプ場を目指し、数十キロの荷物の入ったアタックザックを背負って登りはじめます。

八千穂駅の標高は約800メートルくらいなので、そこから複雑なカーブが入り乱れる500メートルの標高差がある山道を20km登っていくわけです。

駅から少し歩くと途端に民家が減り、ぽつぽつと明かりが点在するくらいのひっそりとした雰囲気になりました。虫の鳴き声と夜空の星につつまれた静寂した雰囲気の中、5kmくらい歩くと蓼科方面から国道を下って来た車とすれ違いました。

周囲は真っ暗だったので、わたしたちはランタンの明かりをつけて歩いていました。車に乗っていたのは家族連れだったと思います。夜中にザックを背負って歩くわたしたちを車内から不思議そうに眺めながらすれ違って行きました。

その後、少し経ってからもう1台、若い男性が運転している車とすれ違いました。

わたしたちはもくもくと目的地に向かって国道をひたすら歩き続けていましたが、真っ暗な中で位置感覚が分からなくなりました。すぐさま道路わきにザックを置いて小休止をしながら地図で位置を確認し、愕然としました。

“まだ10km近く国道を登り続けなければならない。しかもこれから道の傾斜は本格的にきつくなってくる”

わたしもS君も当時体力には自信があったとは言え、あと10km近く数十キロのザックを背負って明け方近くまで歩くのはさすがにきついと感じ、どうするか話し合いました。

「そうだ、ヒッチハイクしよう!」

今思えばボーイスカウトらしからぬ発想で恥ずかしい限りですが、この時はヒッチハイク一択ですぐに戦略が固まりました(笑)。

とは言え、夏の深夜の時間帯に人気のない山道の国道を下ってくる車などすぐに来るわけもなく、1時間ほど歩いていました。「さっき通りすがった車の人に声かければよかったね」などS君と話をしていた時、1時間ぶりに車のヘッドライトが少し先に見えました。

“これを逃したらチャンスはない”

わたしたちはザックを降ろし、道の両端に分かれてその車が来るのを待っていました。

ヘッドライトが大きくなり、こちらに向かってきます。わたしたちは車のドライバーに停まってもらおうと大きく手を振ってアピールしていました。

しかし残念ながら、その車は停まってくれませんでした。

「・・・・・・」

わたしとS君は呆然としながら、しばらく声が出ませんでした。

しばらくしてS君が口を開きました。「大ちゃん(わたしの下の名前)、今の車って人乗っていた?」

「S、俺の見間違いかと思ったけど、やっぱり今の車って人乗っていなかったよね?」

お互いに自分の見間違いであってほしい、と思いながらもかなり近くで車内を確認していたので多分見間違いではなかったと今でも思います。

“見間違いではない。人の乗っていない車が今横をすれ違って行った”

そこからのわたしたちの歩くスピードは一気に3倍速くらいになりました。
ランタンの明かりを頼りに予定よりも1時間以上早く、明け方にはキャンプ場に辿り着くことができました。

その後キャンプ中は不思議な体験に遭遇することもなく、帰りのバスでキャンプ場から八千穂駅まで登ってきた道を駅に向かって下っていた時に気づきました。

わたしたちが“人の乗っていない車”を見たあたりの道路わきに黄色い道路標識「!」がぽつぽつと立てられていたのです。あとで調べてみたところ、「!」は警戒標識の1つで「その他の危険あり」というものだそうです。

警戒標識は「幅員縮小」や「土砂注意」など他の標識は意味が明確なのですが、「!」は「理由はわからないが事故が多い場所に設置されている」標識のようです。

わたしたちが見た“人の乗っていない車”との因果関係があるのかは全くわかりませんが、当事者としては「だからあそこに!の標識が立てられているんだ」と妙に納得した記憶があります。

それ以降は同じような体験はありませんが、今でも山道で「!」を見ると当時のことを思い出し、慎重に運転するようにしています。

皆さんは道路標識にまつわる不思議な体験をされたことありますか?もし体験談あれば是非聞かせてください!


#謎の道路標識の意味を体感した話 #ボーイスカウト

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