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ヴァンフォーレ甲府選手紹介#3 〜甲府に守護神河田在り〜

2012年10月21日第39節。
おそらく筆者が彼のプレーを目にしたのは、偶然か必然か甲府の優勝が決まった記念すべき試合だった。優勝の歓喜に湧く甲府の選手たちを横目に肩を落とす選手が居た。
彼の名は河田晃兵。
当時はまだ24歳で大卒3年目のシーズンだった。
その当時のサポーターならアビスパのキーパーと聞いて思い浮かべるのは神山竜一かもしれない。鋭いセービングと武士のような髭を生やしたキーパーである。
だがしかし、筆者は翌シーズン加入することになる河田のプレーを鮮烈に覚えていた。安定感のあるセービングとコーチングを見せ、アビスパ守備陣を鼓舞する姿が印象的だった。
加入のリリースがあった際、
「あ、あの時のキーパーだ!」
となったのをよく覚えている。当時12歳の筆者は他のチームなど目もくれず、ただひたすらに甲府を応援していたため、他チームの選手を覚えているのは稀有だった。レンタルで加入した彼が甲府の守護神を10年に渡って務めることになるとは、この時は誰も思っていなかっただろう。
当時の甲府の守護神は甘いマスクと抜群の反射神経で絶大な信頼と人気を誇っていた荻晃太だった。2009年シーズン終盤に痛めた腰の影響で加入当初のような神懸かり的なセーブこそ減っていたものの、安定感のあるセービングとコーチングで甲府のゴールを守り続けていた。
加入した河田も苦戦を強いられベンチスタートが続くかに思われたが、彼に転機が訪れた。

2013年3月30日。等々力で行われた川崎との一戦で河田はスタメンに抜擢された。
前節の名古屋戦で失点に直結するミスを犯した荻に代わって監督の城福浩が出番を与えたのだった。
この日の河田はその期待に応えるかのように素晴らしいプレーを見せる。平本のゴールで幸先良く先制した甲府はそれから防戦一方。このシーズン得点王に輝いた大久保、ドリブルと精度の高いシュートを持つブラジル人のレナト、さらにベンチには小林悠と自慢の攻撃陣が牙を剥いた。
この日甲府が浴びたシュートは23本にも及んだ。しかし、河田を中心に集中して凌ぎ、河田も素晴らしいセーブを何本も見せる。
この試合のハイライトは間違いなく河田のPKストップだろう。レナトのコースをついたキックを完璧な読みでストップ。この日家族が応援に訪れていたレナトの悲嘆に明け暮れた顔は強烈に印象に残っている(記憶力キモい)。
河田奮闘虚しく、試合終盤にこぼれ球を矢島に押し込まれ、1-1の同点でタイムアップとなったが、この日の等々力の主役は河田だったに違いない。
この試合を境にスタメンに定着した河田は岡大生とスタメンを争いながら17試合に出場。甲府のJ1残留に大きく貢献した河田はガンバへと復帰した。

「やっぱり東口相手じゃ厳しいよな、、」
「試合出れないんじゃ戻ってきてくれないかな」


来た!!河田が戻ってきた🙌
河田大好き筆者大歓喜。三冠に輝いたガンバの延長オファーを蹴っての完全移籍だった。泣いた。
このシーズンの河田は開幕から出遅れたものの徐々に調子を取り戻し、開幕11戦で2勝9敗と降格まっしぐらだった甲府の守備を見事なセービングで建て直した。実際、河田がスタメンに戻ってからは三連勝を含む6戦負けなしでチームの躍進に貢献している。(みんな大好き伊東純也とバレーの活躍もあったけどね🫶)
このシーズンの奇跡の残留は河田の存在無くしては成し得なかっただろう。
シーズンごとに書いていくと愛が溢れてしまうので2016シーズンは断腸の思いで割愛。
2017シーズンは怪我で欠場する試合こそ多かったが、リーグ終盤戦で復帰し、仙台戦でリンスと抱擁するシーンは筆者の涙腺を崩壊させた。オフには札幌をはじめとする多くのチームからオファーが届くも漢気残留。河ちゃんだいすき。

いや、ごめん長いよね。長いのよ。知ってるの。
でも河田が好きなんだもん。やめられないよね。
え、そろそろあれ書けよって?みんなが読みたいところは勿論知ってるのよ。
うるさい、いいから書けよ。
わかりました書きます。書かせてください。

KAWATAの名を日本いや世界に知らしめたのは言うまでもなくあの日である。

2022年10月16日(日) 天皇杯決勝

プロビンチャのクラブが掴んだ夢の舞台。
国立のピッチに立つ青赤の選手たちの姿に胸が高鳴った。遂にここまで来たんだ。鳥肌が震えが止まらなかった。
運命の一戦は前半から甲府が攻勢。J1で魅力的なサッカーを展開する広島相手に臆することなく積極的に甲府がプレーする。すると、前半26分。
ショートコーナーから見事にデザインされたプレーでサイドを崩すと、荒木の折り返しに三平が合わせ先制に成功。ゴール裏は歓喜に沸いた。
守備でも安定したプレーを見せ、広島の攻撃をシャットアウト。広島自慢のサイド攻撃は完璧に封じられていたといっても過言ではない。
このまま1-0で守り切ろう。
明確な意志が感じ取れた吉田監督の采配も虚しく、川村にゴラッソを許し同点。
甲府の選手たちは明らかに消耗し切っていた。
これはマズイ。不安を感じる筆者の予想通り防戦一方の甲府。なんとか最後の局面で凌ぎ切っていた甲府はクラブを支えてきたベテラン山本英臣を投入し、PK戦に持ち込む覚悟を固めた。
しかし、悲劇が待っていた。延長後半11分。
満田のパスが山本の腕に当たってしまいPKの判定。反対側のゴール裏からもはっきりわかるくらい明確なハンドだった。
「終わった。」
多くの甲府サポがこう思う中で背番号1は諦めていなかった。
「やりやがったな。と思いました。でも、このまま終わらせるわけにはいかなかった。」
試合後の取材でこう語った河田はクラブのレジェンドのミスを見事な横っ飛びで救う。これには筆者も鳥肌が止まらなかった。一緒に観戦していた友人と抱き合い、河田への声援を送った。会場の甲府サポもボルテージはマックス。国立競技場は完全に甲府のホームと化した。
こうなると完全に甲府ペース。残りの時間も集中した守備で凌ぎ切ると運命のPK戦。
川村のPKを見事な反応でストップすると5人目のキッカーは山本。見事なコースにPKを沈め、甲府の優勝が決まった。
大狂乱のゴール裏。歓喜に湧く会場。呆然とする広島サポーター。筆者も涙で視界が見えないくらい泣いた一人だが、試合後に映像を見返すとあることに気づいた。
「河ちゃんに最初に駆け寄ったのジェトゥリオじゃね?()」
これには河田も
「決まったら俺のところに走ってきてくれるんだろうなって思ったら全然違うところにみんな行っちゃって、、」
と困惑気味。まああの展開なら臣のとこに行っちゃうのはわかるんだけども。

今シーズンも守護神として甲府のゴールを守り続ける河田は今シーズンで在籍通算10年目だ。
先日の藤枝戦や岡山戦でも再三のファインセーブを見せ、チームの勝利に貢献した河田。
今季のユニフォームのエンブレムの上には彼の活躍で勝ち取ったステラが輝いている。
天皇杯優勝というタイトルを掴んだ河田が次に狙うのは、あのタイトルだけである。

勝利の星は俺らの上に
彼の活躍で今シーズンも多くの勝ち星を降らせ、昇格に導いて欲しいと願うばかりだ。
甲府に守護神河田在り
今シーズンも甲府のゴールにはが君臨している。

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