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二人の歌姫の確かな旋律を感じた、SorAZ Special Live 刹那的クロニクルイベントレポート

2020年9月26日、SPWNでバーチャルアイドル「ときのそら」、バーチャルシンガー「AZKi」によるユニットSorAZのオンラインライブ「SorAZ Special Live 刹那的クロニクル」が開催された。今回は二人の歌姫が奏でたスペシャルライブの様子をレポートしていく。

今回、この公演に合わせてSorAZのユニット曲「紅藍クロニクル」がリリースされたばかり。この曲はAZKiが作詞作曲し、ディレクションに初挑戦した曲だ。二人の魂が込められた「感情バトル」曲の歌唱を見られることに、ライブが始まる前から期待が高まっていた。歌詞などの制作秘話については、配信で詳しい解説をしているので、MVも合わせてぜひ見て欲しい。

本公演は機材トラブルで開始が遅れたが、配信のコメント欄では「ぬん(๑╹ᆺ╹)(╹◡╹▰)あず」と、そらとも(ときのそらのファンの総称)と開拓者(AZKiのファンの総称)が騒がず静かにライブが始まるのを待っていた。

そしていよいよ始まった前説。SorAZの二人でライブの注意事項を読み上げながら、ときのそらが「床になる」という言葉に戸惑ったり、二人で「ぬんあず!ぬんあず!」と唱和したりと、開幕は和やかな雰囲気で満たされていた

SorAZパート1

開幕前の和やかな雰囲気を叩き壊すように、1曲目からSorAZのユニット曲「刹那ティックコード」というカロリーの高い曲が披露された。VJもさながら劇場版アニメのOPを思わせるように、ライブタイトルや曲名を表示し、オタクなら否が応でもテンションが上がる始まりとなった。

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2曲目は「フレーフレーLOVE」。この曲はときのそらの曲だが、AZKiも過去に自信のライブでカバーしたことがある。今回は二人の歌だけでなく、パートわけで魅せられた。AZKiが「いつだって君のそばで見てるよ」をときのそらに向かって歌ったのを見て、その尊さにやられてしまった。ユニットで歌うことで、ソロで歌う時と文脈や意味が変わるというのは本当に面白い。

3曲目の「猫ならばいける」はAZKiの曲だ。猫らしい可愛さに溢れた曲で、「にゃー!」という鳴き声と、ステージを所狭しと走り回る二人の動きで、見ているこちらも可愛さと楽しさで頬が緩んでしまった。そして歌詞の最後「きみとならいける!」を二人で歌うことで、「きみ」がSorAZのお互いを指しているという解釈ができてしまう。開幕の3曲だけでSorAZの仲の良さをこれでもかと見せつけられてしまった。

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AZKiパート

SorAZパートが一旦終わり、AZKiのソロパートが始まる。ソロパートの始まりは「Intersection」。先ほどまでの可愛さとは打って変わって、ダンスナンバーで視聴者の体を揺らしてくる。VJもAZKiの背景で流れるMVをリスペクトしたように歌詞を表示し、盛り上がりを煽ってくるようだった。

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リズムに乗ってきた視聴者へ続けて「Fake.Fake.Fake」と「ひかりのまち」で畳みかけてくる。この2曲はAZKiのオリジナル曲の中でもライブで盛り上がる定番曲だ。「ひかりのまち」でコールを煽りまくり歌い終わった後、AZKiが短く「ありがと」と言ったのが最高に格好良かった。

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一度水分補給を挟み、次は「いのち」「青い夢」「from A to Z」とエモーショナルな曲が続く。「いのち」「青い夢」は開拓者全滅コンボと呼ばれるほど、感情で心臓を突き刺してくるような曲だ。そして「from A to Z」はAZKiと開拓者のシンガロングが一体感を与えてくれる。ライブで歌った数だけAZKiと開拓者の絆が深まる曲だ。

AZKiのソロパートは前半は熱く盛り上がる曲、後半は静かに聴き入る曲、と熱量の両極端を魅せてくれた。オリジナル曲だけでこのギャップを出せるのは本当に強い。

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今回「いのち」の途中で音声が消えるトラブルがあった。アーカイブではトラブル箇所が編集されるそうなので、記録としてここに記しておく。

トラブル対応中には、ときのそらがTwitterで「あーずきち!あーずきち!」と応援し、コメント欄もそれに続いた。トラブルが解消された後、「いのち」は最初から歌いなおしになったのだが、コメント欄の「おかえり」に対してAZKiが歌いながら「ただいま」と囁いた。私はAZKiのこの一言で一気に不安が晴れて、またライブに気持ちが入っていった。

SorAZのライブではトラブルが発生する、というジンクスがある。以前のAZKi生放送ではSorAZが歌唱中にAZKiのイヤモニが聞こえなくなった。その際にもSorAZの二人で協力して乗り越えようとしており、そういったことも含めてクロニクルだと思う(運営は胃が痛いだろうが)。

ときのそらパート

AZKiのソロパートが終わり、ときのそらがステージ上でAZKiと合流する。AZKiを労った後、ときのそらが「今度いのちとか歌お⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝、fromが一番好きだけどね୧(๑•̀ㅁ•́๑)૭✧」と言っていて、今後の展開への期待に胸が高まった。

緊張した面持ちのときのそらだったが「みんなのために楽しいセットリストを考えてきました」と語り、最初に「Equation of Love」を披露。歌が始まると、それまでの緊張はどこ吹く風、安定した歌唱力とアイドルらしい振り付けで視聴者を魅了した。本人が「本能ダンス」と呼ぶ振り付けは時に可愛く時に格好良く、歌とダンスでみんなを楽しませる姿はまさに「バーチャルアイドル」だった。

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続く「冴えない自分にラブソングを」では「せめて動かずいよう」の部分で驚くべきロングトーンを見せつけ、「IMAGE Source」では「まだまだ声出し足りないんじゃない!」と客席を煽り魂を振り絞るように格好よく歌い上げ、可愛いだけのアイドルではないと言わんばかりだった

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ここで水分補給をしながら息を整える。肩で息をする姿からは、彼女の全力が伝わってきた

ときのそらソロパート後半はアイドル全開の曲。まずは「コトバカゼ」からスタート。どこか切ない恋の歌をしっとりと歌いながら、はにかんだ表情やウインクでファンのハートをメロメロにしていた。

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次の「青空のシンフォニー」はときのそらが20歳の想いを込めて作詞作曲した曲だ。コール動画も公開されており「🌠シューティングスター🌠」「🍀プローミースユー🍀」「🌈レインボースカーイ🌈」とコメントの一体感も高かった。きっとこの曲は今後、ときのそらとそらともの思い出の曲として育っていくだろう。

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ときのそらソロパートラストは「ぐるぐる・ラブストーリー」。この日フルが初披露と嬉しいサプライズだ。恋する女の子のぐるぐるな気持ちを歌った楽しい歌で、振り付けとVJでもぐるぐるを表現しており、とてもコミカルな印象を受けた。しかしこの曲は難しいようで、作詞作曲の戸嶋友佑氏にライブで歌ったことを化け物と驚かれていた。

ときのそらは以前、ボカロ曲を原キーで歌いボカロPから「この曲は人間が歌うことを想定していない」と言われており、今回人間離れした歌唱力という評価に新たな1ページが加わったのだ。

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SorAZパート2

転換を挟み、二人は豊洲衣装と呼ばれるアイドル衣装にお色直し。この衣装で並ぶと白と黒、青と赤の色の対比がよりSorAZのユニットらしさを強めてくれる。

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そして始まる2回目のSorAZパート。ホロライブ全体曲の「夢見る空へ」から始まり

「行くよ!(╹◡╹▰)」
「行こう!(๑╹ᆺ╹)」
「「夢見る空へ(๑╹ᆺ╹)(╹◡╹▰)」」

という歌い分けと、二人で手を携える振り付けで、さっそく見せつけてくる。

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そして今宵限りのSorAZデュエットと題して、それぞれのオリジナル曲「のんびりと、」と「Wonderland」をSorAZで披露した。

「のんびりと、」には「今日は何曜日?」の質問に「〇曜日!」と曜日を答えるコールアンドレスポンスがあるのだが、AZKiが「今日は何曜日?」と、ときのそらに聞くと「サンデー!」と答えてしまう可愛いハプニングがあった(2020年9月26日は土曜日)。

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Wonderland」はときのそらのミニアルバム「My Loving」のリード曲なだけあって、キュートでポップなメロディが特徴的だ。アイドル衣装に身を包んだ二人が可愛さ全開で歌うのにふさわしい曲だろう。二人で歌いながらステージを走り回る姿が実に楽しそうだった。

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そしてついにこの日のために作られた「紅藍クロニクル」が披露される。AZKiが「感情バトル」と評した通り、二人の魂をバチバチにぶつけたような熱のこもった歌唱だった。ときのそらは以前、格好いい歌い方を苦手と言っていたが、それを全く感じさせない魂のこもった歌声で、AZKiと調和を奏でていた。

特にときのそらが「聞こえている?」と歌い、AZKiが「聞こえているよ!」と応えるところが熱い。そらともにとって「聞こえている?」は、ときのそらの最初の配信を連想させ、自身もそらともと名乗るAZKiがその声に応えるのは過剰なくらい文脈を感じる。

VJもこのライブ中で一番手の込んだ演出を見せており、歌も演出もここでライブを最高潮にしようという意図が明確に伝わってきた。INNK MUSICが主催するライブは、毎回セトリや演出の意図を参加者に伝わる工夫が凝らされていて文脈が理解しやすく、初見にも優しいライブだろう。

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最後の曲を歌う前に二人から今日の感想が述べられた。

AZKiが「そらちゃんがホロライブやVTuberという世界を盛り上げてきてくれて今ここに立っている。そらちゃんのあの日の『聞こえてますか?』があったから、今日ここに立てていることを、今日ライブが始まる前に思っていた」と感謝の言葉を贈る。

それに対してときのそらが「最初は独りぼっちで、まさか音楽ライブをいっぱいできるようになるとは思っていなかった。AZKiちゃんのような歌をいっぱい歌う人が近くにいて欲しいと思っていた。ホロライブに入ってきてくれてありがとう」と感謝を返した。

そしていつも応援してくれている、そらともと開拓者にSorAZから感謝の言葉が贈られ、最後の曲「Shiny Smily Story」が披露される。この日はいつもの「ホロライブ!」というコールも「そーらーず!」に変えてコールされていた。

歌い終わった後、カメラが引いていく直前にときのそらがAZKiの肩にそっと手と顔を置いたのを私は見逃さなかった。最後の最後までちょっとした尊い仕草があるから目が離せない。

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アンコール

コメント欄ではアンコールが鳴りやまず、途中からSorAZの「劇場版SorAZ!劇場版SorAZ!」という声が入り、コメントもそのコールに乗っかった。ほどなくしてSorAZが再びステージに上がる。

劇場版SorAZの第2弾の開催やオフイベントをやりたいという希望を語り、アンコールは「キラメキライダー☆」。VJとコメントが「キラメキライダー!」でシンクロし一体となっていた。「あと紅藍クロニクルを10回くらい歌える」とAZKiが豪語していた通り、最後まで二人の歌のパワーは衰えることはなく、視聴者を虜にしていた。

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まとめ

SPWNの刹那的クロニクルのページから引用する。

似ているけれどどこか違う境遇の二人が長い時間を経て強く交わり、
ともに笑い、ともに悩んだ日々の積み重ねが
この日、一つの刹那となり次のクロニクルへと向かっていく
そんな彼女たちの「今」の輝きを最大限に発揮するライブをお届けします

初見にも楽しみやすいように構成されたライブだったのは言うまでもないが、今回のライブはVTuber「ときのそら」と「AZKi」の二人の文脈を追っていると、より楽しめたと思う。SorAZの二人が歩んできた軌跡や、歌に込められた背景を知れば知るほど、この日の二人の歌が消えない記憶になったはずだ。

歌が好き」という同じ想いを胸に「いつか横浜アリーナでソロライブがしたい」「みんなの心に残り続ける音楽を作りたい」という別々の夢を持つ二人が、この日ユニットとして同じステージでライブができたことは二人にとっても、二人のファンとっても大きな意味を持つだろう。これからも二人はソロとしても活動していくが、いつかまた二人の道が交わるのを私は期待している。

今回のライブはソロライブではできない歌や演出のキラメキが詰まったユニットライブだった。視聴し終わった後の満足感は高く、だからこそSorAZのライブをいつかリアル会場で見たいという気持ち、感想をファン同士で語り合いたいという気持ちが強まった。

リアルライブがいつ開催できるようになるかは、まだわからない。しかし私はあまり悲観していない。この日確かな旋律を奏でた歌姫たちは、次のクロニクルに向かって歩み続けているのだから。

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SorAZ Special Live 刹那的クロニクルセットリスト
1.刹那ティックコード(SorAZ)
2.フレーフレーLOVE(SorAZ)
3.猫ならばいける(SorAZ)
4.Intersection(AZKi)
5.Fake.Fake.Fake(AZKi)
6.ひかりのまち(AZKi)
7.いのち(AZKi)
8.青い夢(AZKi)
9.from A to Z(AZKi)
10.Equation of Love(ときのそら)
11.冴えない自分にラブソングを(ときのそら)
12.IMAGE Source(ときのそら)
13.コトバカゼ(ときのそら)
14.青空のシンフォニー(ときのそら)
15.ぐるぐる・ラブストーリー(ときのそら)
16.夢見る空へ(SorAZ)
17.のんびりと、(SorAZ)
18.Wonderland (SorAZ)
19.紅藍クロニクル(SorAZ)
20.Shiny Smily Story(SorAZ)
21.キラメキライダー☆(SorAZ)

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