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AZKi 5th LIVE R.I.P AZHOODレポート~開拓者全滅からRe:Creating worldへ~

2019年12月29日に池袋harevutaiにて行われた4thワンマンライブ『REPEAT THiS LiFE WiTH U』から7ヶ月ぶりに、AZKiのワンマンライブ『AZKi 5th LIVE R.I.P AZHOOD』が2020年7月25日に配信限定イベントとして開催された。この公演は2020年5月16日に新宿BLAZEにて開催を予定していた『AZKi 5th LiVE [three for the hood]』の代替公演である。

一度は中止されたAZKiのワンマンライブ。本来5月にあるはずだった世界がなくなり、もうライブはできないのではないかとも思っていたのだが、こうしてオンライン上で開催されたことを嬉しく思う。きっと開催を心待ちにしていた開拓者(※AZKiのファンの愛称)も多かったはずだ。今回はアフターコロナの世界でAZKiチームが新たに開拓したライブの可能性AZKi 5th LIVE R.I.P AZHOOD』のレポートをお届けする。

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開演を告げる重低音のBGMが鳴り、AZKiのロゴと『AZKi 5th LIVE R.I.P AZHOOD』という文字が写しだされる。この時点で文字にはVJの演出が施されており、ただの配信イベントではないことを予感させた。

AZKiの「さあ、始めましょう」という声とともに始まった最初の曲は『ちいさな心が決めたこと』。AZKiが初めて作詞作曲に挑戦した曲だ。痛くても戸惑いながらもそれでもここで生きていくという決意を歌った曲だが、ライブやスタジオに集まることが自由にできない今に聴くと、そんな状況でも前を向こうとしているAZKiの強い想いを感じた。

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次の曲は『虹を駆け抜けて』。これまでのAZKiのワンマンライブでは雨が降ったり台風が接近していることが多く、今日も全国的に雨模様な地域が多かったようだ。そんな中、AZKiが立つステージ上には綺麗な青空が顔をのぞかせていた。青空に向かって手を伸ばし歌うAZKiの歌声には、今日このライブを見ている開拓者への想いが強く強く込められている気がした。

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続く『さよならヒーロー』は夢を諦めきれない大人の葛藤を感じさせる歌だが、今日は自粛期間中に何かできることがないか暗中模索していたAZKiの姿が思い出された。自粛期間にライブやスタジオ収録ができなくても、家から配信をしたり歌枠やゲーム実況に挑戦してみたりと、AZKiができる範囲で活動してくれた姿に、励まされた開拓者も多かったのではないだろうか。

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そしてここまで聞き終わった時点で、今回のライブは映像演出のレベルが、これまでのAZKiのすべてのライブや配信を超えていることを確信した。背後に6面LEDやライトを大量に使ったステージに、リアルタイムに重ねられるVJは、このままMVとして使用できるレベルだと思う。

一度目のMCでは挨拶と本公演の説明をした後、「画面を飛び越えるつもりで精いっぱい歌う」というAZKiの決意が語られた。

ここからは可愛い曲が続く。まずは『フェリシア』。この曲はもう可愛さの暴力と言ってもいいだろう。ポップなメロディとAZKiの可愛い歌声が合わさった、甘酸っぱい恋の歌を聴いているときの幸福感は最高だ。そして「日溜まりのような笑顔」という歌詞のタイミングでガチ恋距離によったカメラは最高に良い仕事をしたと思う。AZKiの最高の笑顔に胸を打ち抜かれてしまった。

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猫ならばいける』ではニコニコ動画のコメントが「にゃー!」で埋め尽くされた。VJも猫の肉球で画面を埋め尽くなど、曲に合わせた遊び心を感じさせた。猫らしい愛されたい欲望に忠実な面白い歌を、AZKi自身も楽しそうに歌っていた。AZKiとAZKiチームと開拓者のみんなでライブをやるからこんなに楽しいのだと思う。

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2度目の水分補給をしつつ、ここからは「踊れる曲が続く」とAZKiが語り、配信の空気がダンスフロアに変わるのを感じた。

Midnight Song』を歌うAZKiは可愛いでも格好良くでもなく、とてもお洒落に感じた。この洒落た空気のダンスミュージックに酔いしれながら、ずっと音に身を任せて体を揺らしていた。AZKiの曲の中でも特筆して雰囲気が良い1曲だろう。

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続く『Take me to Heaven』は、ただずっと歌に溺れていたという音楽が好きで仕方ないという人の歌で、この曲ほどAZKiやAZKiチームにふさわしい曲もないと思う。これまでのAZKiの活動の中心には常に音楽があり、そこから映像や文脈、Vsingerの仲間や開拓者との絆が作られてきた。この歌の歌詞にあるとおり、音がない世界ではAZKiは少しだって生きていけないと思う。

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そして『Reflection』は「おしゃかわポップ」と評される最高にノれる音と歌と、VJ演出の相乗効果が最高だった。アップテンポの曲調に合わせた、これでもかと思うほど量のVJ演出が展開され、リアルタイムのライブなのにMVを見ているかのような感覚だった。AZKi自身は歌いながら大きな振り付けをしていないのに、ここまで映える映像を作り出す技術力には感嘆するばかりだ。

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3度目の水分補給でTwitterのトレンドに開拓者全滅が入ったという報告が寄せられた。そしてこの後の曲の前振りとして「今日は何曜日ですか?」とAZKiから質問が投げかけられ、開拓者全員が次に歌う曲を察した。

当然次の曲は『のんびりと、』。「今日は何曜日?」という歌に対して「土曜日!」とコメントして、「今日何しよっか?」には「AZHOOD!」とコメントするオンライン上のコールアンドレスポンスは、事前にYouTubeで行われた5thライブ直前雑談配信でAZKiと開拓者の間で決められていた。他にも「ぱぱん、ぱん」と手拍子をコメントでするなど、AZKiと開拓者の暖かい交流を感じられる癒される曲だ。

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続く『リアルメランコリー』も「いえーい!」「ぶー!」というコメントが楽しい曲だ。可愛い曲調で歌っているAZKi自身も可愛いのだが、歌詞には「キャラ・属性 カテゴライズされていく」や「流行りと好きどっちも欲しい」といった、ネット社会での葛藤や悩みが込められている。その曲調と歌詞のギャップが楽しく、また歌詞の最後が「エールを送るよ、私のために」から「エールを送るよ、君と私のために」に変わるところに救いと尊さを感じる曲だ。

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次の『mirror』という曲は特別な曲だ。2020年3月22日に行われたAZKi対バン企画『LAST V STANDiNG vol.2』のために『さめのぽき』が作詞作曲した曲で、AZKiのソロバージョンだけでなく『エルセとさめのぽき』のエルセのソロバージョンも配信されている。別々の道を歩んでいた二人の歌姫が音楽を通じて出会ったことで生まれた奇跡みたいな曲なのだ。AZKiとエルセの出会いも、今日の歌も映像もただ美しいと感じた。背景の画像もエルセの「海」と、AZKiの「未開拓の地」を表現しており、この曲の文脈をしっかり理解している演出だと思った。

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ここで本公演が2020年5月16日に新宿BLAZEで行われるはずだったこと、もしかしたら前回の4thライブが最後のライブだったかもしれない、今日のライブが最後になるかもしれない、だから1つ1つのライブに全力でぶつかりたいと、AZKiの想いが語られた。そして「AZKiがここに生きていたんだということを証明したいと思います」と告げ、次の曲『いのち』が歌われた。

今回の『いのち』はこれまでのライブとは異なり、最初にラスサビをアカペラで歌い始めたため、不意打ち気味に涙腺を刺激された。ただでさえ普通に聴いても泣きそうになる曲で、こういうにくい演出をしてくるのは本当に良い意味でズルい。感情が溢れてしまい、しばらくの間コメントが打てなくなってしまったほどだ。

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そしてこの後に『青い夢』を持ってくるのは、確実に開拓者を全滅させてやろうというAZKiチームの意思を感じた。夢や愛だけじゃ生きていけないという葛藤を歌ったこの曲は、歌詞の「たったそれだけじゃ何も守りきれないよ」という部分の伸びのある歌い方と、「……守れないよ。」の溜めてから絞り出すような歌い方の表現の落差で、聴いていると感情を揺さぶられてしまう。AZKiの感情を乗せた歌い方が最大限活かされる曲だろう。

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エモい曲3連続のラストは『世界は巡り、やがて君のものになる』。『mirror』と同様に『さめのぽき』が作詞作曲した曲だ。AZKiになる前のAZKiから、今のAZKiへの祝福を歌ったこの曲は、今日は今まで当たり前にできていたライブができなくなった自分の背中を応援するような歌に聴こえた。

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エモい曲を歌い流れた涙を拭き水分補給をしたAZKiから、ここからは「盛り上がる曲」が続くと宣言され『Eternity Bright』と『Intersection』が披露された。

Eternity Bright』は最初から「I've Soundっぽく」とオーダーされていたこともあり、聴き慣れたトランスミュージックがよく耳になじんだ。ゲームやアニメの挿入歌に合いそうな歌を聴き、さっきまでエモい曲の連続で全滅していた心が元気を取り戻してきた。

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まだこんなものではないとAZKiは『Intersection』でさらに盛り上げてくる。AZKiは開拓者たちを「はい!はい!」というコールを煽りながら、その姿に格好いいVJが華を添える。ダンスナンバーと派手なVJの相性はよく、ドンドン気分がアガっていくのを感じた。

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黒い1st衣装に着替えての『ERROR』でまだまだ盛り上げていく。「一切合切捨てても不安な事は何もない」とロックに歌う様子からは、先ほどまで感情を込めて儚く葛藤を歌っていた姿は想像もできない。この表現の多様性もAZKiの魅力だろう。

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まだまだロックサウンドは止まらない。続く『I can't control myself』の格好いいダークな歌声と早いビートに合わせるような、画面にノイズを走らせるクールなVJにしびれた。コメントの数も増えており、完全に会場の盛り上がりが最高潮に達しているのを感じた。

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まだまだ盛り上がっていけますよね!!」というAZKiの絶叫から『ひかりのまち』が始まる。AZKiに煽られて、コメントにも「はい!はい!はい!はい!」や「ひかりのまちへ!」という文字が大量に流れていく。この曲は現場で聴くと最高に盛り上がる曲だが、今日画面越しで聴いてもAZKiの歌声は圧倒的な存在感を放っていた。

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そしてAZKiから7か月ぶりのソロライブでみんなに歌を届けられて嬉しいこと、今日ライブを見てくれてありがとう、と感謝の気持ちを述べられ、残り2曲の『フロンティアローカス』と『from A to Z』が披露された。

フロンティアローカス』は現場ではいつもみんなで左右にサイリウムを振るのが定番になっているのだが、今日はみんなでコメントで「ノシノシ」と打っていた。この曲は未来のAZKiから過去のAZKiへのメッセージソングで、歌唱中に2nd衣装から1st衣装に最高にエモい。この衣装チェンジは未来のAZKiが過去のAZKiを優しく見守っているような、この曲の歌詞が最高に映える演出だろう。

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アンコール前ラストの曲は『from A to Z』。AZKiの「一緒に歌ってくれたら嬉しいです」と言われパソコンの前で一緒に歌っていた開拓者は私も含めて大勢いたと思う。配信イベントでも、物理的に離れていても一体感を感じることができた。それはこの曲がAZKiと開拓者のみんなで育ててきた曲だから、そう感じた。

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そしてアンコールとして開拓者たちのAZKiコールの音声が流される。これはAZKi OFFiCiAL FANBOX「FRONTLiNE」のDiscordにて密かに募集されていた有志の音声で、AZKi本人にはサプライズとして伏せられていた。「開拓者全滅」にちなんで「亡者の声」とコメントされているのを見た時には笑いをこらえることができなかった。

アンコールの始まりは『Fake.Fake.Fake』『嘘嘘嘘嘘』『自己アレルギー』とカロリーの高い3曲が立て続けに披露された。

Fake.Fake.Fake』はAZKi Channelにて公式のコール動画が公開されており、コールが楽しく現場で特に盛り上がる曲だ。現場ではいつも開拓者同士で肩を組んでいたので、今日隣に誰もいないことが少し寂しく感じた。一日でも早く現場で盛り上がれる日が戻ってくるのを願ってやまない

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嘘嘘嘘嘘』は途中でロックに転調するのが格好良く、また画面を覆いつくさんばかりの鎖のVJの格好良さにはワクワクを抑えることができなかった。『嘘嘘嘘嘘』のブックレットやMVには断ち切られた鎖が描かれており、それをリスペクトした演出だろう。

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全滅していくぞー!」というAZKiの叫びから始まった『自己アレルギー』は、このライブで体力を全部使いきれと言わばかりだった。AZKiの歌声に合わせてニコニコ動画にコメントで弾幕を張りながら、スクリーンショットを撮り、SNSで実況するというのは、かなり体力がいることだったと思う。手先だけに限れば、リアルライブ以上に動かしていたはずだ。その疲労感も、自分もライブに参加しているという実感に繋がっていた。

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アンコールもあと2曲となり、AZKiからアンコールとAZKiコールのお礼が述べられる。特に開拓者たちのAZKiコールのサプライズは大成功で、笑わせることでAZKiの緊張を解すことができたようだ。

ラスト2曲は『without U』と『Creating world 2020ver.』。どちらもライブのラストにふさわしい曲だ。

without U』はいつもAZKiにとってのU(あなた)つまりファンである開拓者を求める感情が伝わってくる曲だ。「キミといるこの瞬間大切にするために」という歌詞が、先ほど「1つ1つのライブに全力でぶつかりたい」とAZKi自信が述べた気持ちとつながっている気がした。

最後の曲を歌う前に2つの重大発表、AZKi 2nd FULL ALBUM『Re:Creating world』の今年の冬の発売と、新衣装プロジェクト始動が公開された。どちらも続報が待ち遠しい。

そして今日本当に最後の曲『Creating world 2020ver.』。この曲を歌わなければAZKiのライブは終わらない、そう思える最初のオリジナル楽曲だ。2nd衣装から1st衣装への衣装チェンジのタイミングも完璧で、あまりのエモさに盛り上がる曲で復活していた開拓者たちがコメントでまた全滅していた。

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こうして配信限定イベント『AZKi 5th LIVE R.I.P AZHOOD』は大盛況のうちに幕を閉じた。今回のソロライブは1stから4thまでのソロライブと比べて、曲数も歌唱力も演出面も全て上回っていた。もちろんリアルイベントと配信限定イベントでは、まだ得られる体験は同じではない。だが回を重ねるごとに成長していくAZKiチームなら、リアルイベントと配信限定イベントのどちらでも、今後も新しい世界を見せてくれると期待せざるを得ない。

最後に今回のライブのハッシュタグ「開拓者全滅」とは何だったのだろう?もちろんAZKiの歌で全滅してしまうくらい開拓者のみんなを感動させたいという意味合いもあるだろう。しかし次のアルバムのタイトルが『Re:Creating world』ということを加味すると、再生のための破壊だったのではとも思う。『Re:Creating world』で世界をもう一度創造するための、全滅という名の破壊だ。きっと次のアルバムや新衣装でもAZKiは、今まで見たことがない世界を開拓して見せてくれるだろう。いち開拓者として、これからもAZKiと一緒に世界を開拓し続られることを心から願っている。

2020.7.26 文:だいすけ 写真:だいすけ

<セットリスト>
1.Overture
2.ちいさな心が決めたこと
3.虹を駆け抜けて
4.さよならヒーロー
5.フェリシア
6.猫ならばいける
7.Midnight Song
8.Take me to Heaven
9.Reflection
10.のんびりと、
11.リアルメランコリー
12.mirror
13.いのち Acoustic ver
14.青い夢
15.世界は巡り、やがて君のものになる
16.Eternity Bright
17.Intersection
18.ERROR
19.I can't control myself
20.ひかりのまち
21.フロンティアローカス
22.from A to Z
EN1.Fake.Fake.Fake
EN2.嘘嘘嘘嘘
EN3.自己アレルギー
EN4.without U
EN5.Creating world 2020ver.

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