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もう一度一緒に世界を創り直す、AZKi 6th LiVE Re:Creating worldレポート

2020年12月7日、ZaNにてAZKi 6th LiVE Re:Creating worldがオンライン開催された。社会が大きく変わり2019年には当たり前のようにできていたことができなくなった2020年。この1年はリアルライブやイベントを数多くこなしてきたAZKiにとって大きな逆境だったと思う。そんな中でもガムシャラに1年を駆け抜けたVsinger AZKiの、2020年の集大成とも言えるライブのレポートをお届けする。

これまでAZKiのライブはYouTubeをはじめREALITY、ニコニコ動画、SPWNなど様々な配信プラットフォームで配信されてきた。今回はZaNでの配信はAZKiチームにとっても初めてのことだ。いち視聴者の使ってみた感想としては、画質も高く操作も直感的で使いやすかったと思う。何より今回のライブのために用意されたオリジナルギフトが面白かった。

「床」や「全滅」という過去のライブのキーワードのギフトには昔からの開拓者はニヤリとしたことだろう。ゆるキャラのAZKiのスタンプも可愛い。そして一番異彩を放つデジタルツラニ水(700円)の存在が、ライブの開幕前からコメントで物議と笑いを醸していた。

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そしていよいよライブの幕が上がった。AZKiのライブでは毎回かかるSE「Overture」と暗い背景の中に、いつもの2nd衣装AZKiのシルエットが浮かび上がる。かと思った瞬間、黒い1st衣装に衣装が変わり「自己アレルギー」「嘘嘘嘘嘘」「ERROR」という、強烈なロックナンバー3連続でこちらのテンションをぶち上げてくる。

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AZKiの歌には今回も映像作品かと思わせるVJが華を添える。歌詞を映像に重ねるだけでなく、映像外の枠まで効果的に使ってくる。リアルタイムに展開される歌と映像のパフォーマンスに、一瞬たりとも画面から目を離すことができなかった。

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衣装が2nd衣装に切り替わり、最初の水分補給を挟み「さよならヒーロー」「ローテート・リピーテッド」を続けて披露。どちらの曲も悩みや葛藤を抱えながら迷いながらも進んでいく強いメッセージ性があり、AZKiの歌声が問いかけてくるようだった。

「ローテート・リピーテッド」はAZKi 2ndアルバムに収録されている新曲だが、AZKi自信が作詞作曲をしている。これまでAZKiが作詞作曲した曲とは雰囲気が違い、どちらかというとダンスナンバーに近い音に体が乗ってしまうような曲だ。AZKiはこれまで多種多様な歌を歌いこなしてきたが、「ローテート・リピーテッド」を聴いた時は、歌唱力の幅だけでなく作詞作曲の幅も広がっていて驚かされた。

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ここでYouTubeでの冒頭無料配信が終了。AZKiが「10秒数えるからチケット買ってください」と言って全身で10から1までの数字を書きながらカウントダウンをする一幕があった。歌っている凛としたAZKiからは想像できないギャップがあり配信のコメント欄が「かわいい」で埋め尽くされていた。

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そこから2ndアルバム収録の新曲「petal dance」「止まない雨」を披露。「petal dance」はAZKiの優しい澄んだ歌声を彩るようにVJの花吹雪が舞う。その様子は2ndアルバムの「petal dance」の歌詞カードのアートワークそのものだった。

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「止まない雨」では枠外に雨が降り、照明も寒色に切り替わり、雨が降るしきる中歌うAZKiを演出する。泣けるバラード曲を悲痛な感情を込めて歌うAZKiの声と、格好いいギターソロで感情をかき乱される。

「petal dance」と「止まない雨」を続けて聴き、歌声の感情の振れ幅に感服するしかなかった。この感情爆裂な歌声がAZKiの真骨頂だと思う。

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続けて披露したのは「mirror」。2020年3月22日に秋葉原エンタスにて行われたAZKi対バン企画「LAST V STANDiNG vol.2」のために作られた曲だ。2020年はこのLVS2以降、AZKiのリアルライブは今日まで開催されていない。秋葉原エンタスで聴いたAZKiとエルセの「mirror」が、ずいぶんと遠い過去のように感じて泣けた。

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次の曲は「Take me to Heaven」「Midnight Song」「タイムカプセル」とダンスナンバー3曲が続く。「AZKi WHiTE」とも「AZKi BLaCK」とも違う「AZKi ReD」と呼ばれるダンサブルな曲も順調に増えてきている。デビュー当初は存在しなかったReDだが、AZKi ReDの楽曲がクラブにおけるVTuber楽曲の盛り上がりに一役買っているのは間違いないだろう。

新曲の「タイムカプセル」の落ち着いたダンスナンバーに聴き入りながら、「楽しかった」「嬉しかった」「悲しかった」「悔しかったこと」の4つの歌詞を違う感情を込めてサラリと歌ったAZKiに鳥肌が立った。AZKiの歌声は表情を持っているかのようだ。

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「もしもの話をしたいと思います」と前置きし、2020年AZKiチームが思い描いていたもしもの話が語られた。

5月に予定していた新宿BLAZEでのライブが終わり、アルバムの制作期間に入りながらも7月の生誕配信で11月の恵比寿リキッドルームのライブ開催の発表を行い、それ合わせでの全国流通アルバムをリリース、10月はリリースイベントに駆け回って11月のライブとアルバムリリースに向けて全力を尽くしていたはずでした。
対バンイベントとして2回開催したLVSについても7月あたりに3回目を行い、LVSの延長線上にあったSorAZライブは池袋harevutaiにて開催する予定でした。6thライブが終了したタイミングの発表は東名阪ツアーなんてことも思い描いていました。

この「もしもの世界」が実現していたら、どれだけ楽しかっただろうか?きっと私はこの「もしもの世界」への羨望を抱き続けるだろう。やりきれない思いが胸を満たしたが「AZKiチームは10年後もみんなが思い出してくれる楽曲とかライブの瞬間を届けるぞ、という目的を見つけました」という言葉にハッとさせられた。

もう一度AZKiと一緒に世界を創ってください。創ってくれますか?

この壊れてしまった世界の中で、やりたいことができない中でもAZKiチームは前を向いていた。もう一度みんなで世界を創るための6thライブ「Re:Creating world」。その意味を噛みしめながら、AZKiの歌に耳を傾ける。

「世界は巡り、やがて君のものになる」「青い夢」「いのち」の3曲連続で床にならない開拓者がいるだろうか?

自分たちが歩めなかったもしもの世界の話をした後に「世界は巡り、やがて君のものになる」で「これからどんな道を歩むとしても 怖がらなくていい」と歌うのは本当にズルい。こんな歌を聴かされたら応援するしかなくなってしまう。

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「いのち」からの「青い夢」は5thライブにて「開拓者全滅コンボ」と呼ばれたりしたが、「青い夢」「いのち」の順に歌ってもコメント欄は見事に床になり全滅していた。「青い夢」の「……守れないよ。」と、「いのち」の「わかんない わかんないよ ねえ」という悲痛さすら感じる歌声はライブで聴くたびに深く心をえぐってくる。

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しんみりとした空気が漂う中、「床になってもらった後は天井になってもらいたいと思います!」と宣言し、「音楽を止めるな2 公式テーマソング」の「FEEL ALIVE」を披露。歌で一気にライブの空気を変えてくる。「音楽を止めるな2」を通じて出会った楽曲を思いながら、「音楽を止めるな2」があそこまで多くのVTuberを巻き込む一大ムーブメントになったのは、この1年AZKiチームが音楽と向き合い続けた結果だと感じた。

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そして続いて披露されたのはなんと「Face of Fact」。「Face of Fact」は知る人ぞ知るI've SoundのKOTOKOの楽曲で、戯画から発売されている美少女ゲーム+ACTゲーム「BALDR FORCE」のOPである。「BALDR FORCE」は発売した2002年当初、私も寝食を忘れて遊んだ名作で「Face of Fact」が流れるOPムービーは親の顔より見た動画だ。このカバーを喜ばない古のオタクはいないだろう。

「Face of Fact」に続いた曲は「Eternity Bright」。「Eternity Bright」はI've Soundを意識して作られただけあって、セトリの順番として完璧と言える。「Face of Fact」と「Eternity Bright」は、このライブで一番のサプライズと言っても良いほどの高揚感を感じた。

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ここからは「可愛いAZKi」のターン。「フェリシア」「猫ならばいける」「発光体ソーラーサイクル」と可愛さの暴力が畳みかけてきた。

「フェリシア」のガチ恋な可愛いさ、「猫ならばいける」の猫のような気まま可愛さ、「発光体ソーラーサイクル」のアイドルな可愛さ。AZKiはオリジナル曲だけで本当に多くの表情を見せてくれる。

新曲の「発光体ソーラーサイクル」はMOSAIC.WAVの作詞作曲と聞いた時は、今年のAZKiチームの縁の力の強さを感じた。先のKOTOKOの楽曲のカバーもそうだが、音楽で人の縁を繋いでいくAZKiチームは本当に凄い。

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歌い終わった後「ライブは楽しいですね!」と素直な感想を口にするAZKi。AZKiはいつもライブをすると「ライブは楽しい」と言い、実際歌ってるときのAZKiはすごく生き生きとして楽しそうだ。その姿を見るのが、いつしか毎回楽しみになっていた自分に気づく。

そして次が最後の曲と告げ「運命の在処」を歌う。2ndアルバムの最初に収録されている「運命の在処」は、アニメのOPのような格好良さと壮大さを感じさせる。これが最後の曲どころか、ここから何かが始まるとさえ感じた。

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当然のようにコメント欄はアンコールで埋め尽くされる。途中からAZKiのセルフアンコールも合流する。そしてAZKiが再びステージに現れ「フロンティアローカス」「ちいさな心が決めたこと」「without U」が披露された。AZKi自身のことをテーマにしている3曲が連続して、いよいよライブの佳境に入ったという実感が湧いてくる。

「フロンティアローカス」での2nd衣装から1st衣装への切り替えや、配信画面が夜→朝焼け→朝へと変わっていくなど、演出も最後まで魅せてくれる。

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ここで2020年12月13日に行われる「もう一度AZKiと見るRe:Creating world」のお知らせが入る。AZKiに直接感想を伝えられる貴重な機会なので、このライブを見た人はぜひチケットを買って、AZKiにライブやアルバムの感想を伝えて欲しい。

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残り数曲となり披露されたのは「Creating world 2020ver」と「from A to Z」。流歌作曲のAZKiの始まりの曲と、そのアンサーソングだ。AZKiのライブではこの曲を聴かなければ、AZKiと開拓者で一緒に歌わなければ始まらないと思える大切な曲だ。「from A to Z」の途中でこれまでのMVの映像がサブリミナルに差し込まれる演出にも、これまでの足跡を思い出して胸が熱くなった。

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いよいよ本当にラストの曲の前に、AZKiから開拓者への感謝の言葉が述べられる。そして「AZKiは開拓者のみんながいれば何度でも世界を創り直せます」という言葉のなんと心強いことか。

そして最後に歌うのは「in this world」。「in this world」は2ndアルバムの表題曲として流歌が作詞作曲した曲だ。「Creating world 2020ver」「from A to Z」「in this world」の流歌3部作で2020年の集大成の6thライブを締めくくるのは、完全に「正解」なセトリとしか言いようがない。

「in this world」にある語りの部分では、AZKiの想いがダイレクトに伝わってくる気がした。「ここからもう一度 君と私で始めよう」という歌詞は、まさしく2ndアルバムと6thライブのテーマ、世界再創造を象徴するフレーズだろう。

「ありがとうございました!AZKiでした!」と最後の挨拶をしたときの、幸せそうな笑顔が印象的だった。

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ここで終わらないのがAZKiチーム。新衣装や音楽を止めるな3、BACK TO ENTASの発表など、怒涛の量の情報を浴びせてくる。2020年が終わっても2021年以降もまだまだ止まる気はないようだ。このスピード感がAZKiチームらしい。

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過去最大の27曲を歌いきったにも関わらず、終わってみれば本当にあっという間だった。それだけ濃密な時間だったという証だろう。

時に格好良く、時に可愛く、時にしんみりと、時にダンサブルにと、1度のライブの中で色々なAZKiの歌声を聴くことができた。さながら一本の映画を見終えたような満足感だった。

2021年もAZKiの世界はまだまだ広がっていくだろう。その世界をいち開拓者として、これからも一緒に創っていきたいと思う。

AZKi 6th LiVE Re:Creating worldセットリスト
0.Overture
1.自己アレルギー
2.嘘嘘嘘嘘
3.ERROR
4.さよならヒーロー
5.ローテート・リピーテッド
6.petal dance
7.止まない雨
8.mirror
9.Take me to Heaven
10.Midnight Song
11.タイムカプセル
12.世界は巡り、やがて君のものになる
13.青い夢
14.いのち
15.FEEL ALIVE
16.Face of Fact
17.Eternity Bright
18.フェリシア
19.猫ならばいける
20.発光体ソーラーサイクル
21.運命の在処
アンコール
22.フロンティアローカス
23.ちいさな心が決めたこと
24.without U
25.Creating world 2020ver
26.from A to Z
27.in this world

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