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ホロライブのバーチャルライブの歴史を振り返ろう

カバー株式会社が運営するバーチャルYouTuber事務所「ホロライブプロダクション」はYouTubeでの配信を中心に活動しています。

今回はそんなホロライブの「バーチャルライブ」の歴史について視聴者視点で振り返っていきます。私は映像技術については素人なので、解説が的外れな可能性もありますがその点はご了承ください。

ここでいう「バーチャルライブ」の定義は「VTuberが3Dモデルを用いてYouTubeなどのオンラインサービス上で行うライブ配信」とします。そのためVTuberの生配信ではない動画コンテンツについてはあまり言及しません。ただしバーチャルライブと共通点が多いVTuberのリアルライブのことには触れます。

ときのそらから始まった3D配信

ときのそらはデビューした2017年9月7日からニコニコ動画やYouTubeで3D生配信をしており、ホロライブにとってもVTuberにとってもパイオニア的存在です。

生配信では主に企画をしたり、コメント欄のそらとも(ときのそらのファンネーム)と交流したり、歌を歌ったりもしていました。

最初の頃はときのそらと、その親友の友人Aの2人だけで手探りで配信をしており、背景が白かったりBGMがなかったりと本当にゼロからのスタートでした

そこから回を重ねるごとに背景やBGMが付き、モーションキャプチャーシステムも進化して表現の幅も広がっていきました。

ただときのそら本人のリアルライブやイベントで歌いたい(特にオリジナル曲は)という拘りもあり、YouTubeでの無料のバーチャルライブや歌枠は、コラボや記念日のとき以外は基本的に行われていません。

ホロライブメンバー3D配信の進化

その後、ホロライブはロボ子さんや1期生が加入し所帯を増やしていきます。

ロボ子さんはまだ3D配信ができるメンバーが少なかった頃「月曜のロボ子」という3D配信を毎週行っていました。ロボ子さんの生みの親でもあるkuromaru9氏の頻繁なモデルのアップデートなどもあり、3D配信のたびにロボ子さんは衣装やアクセサリが増えていくことになります。

それはロボ子さんの特技が「早着替え」になるほどでした。またシステム面でも強化があり、スーパーチャットをした視聴者のアイコンが背景に表示されるというYouTubeとの連携も可能になりました。

ときのそらの1周年記念配信では弾き語りリサイタルが披露され、リアルタイム演奏データからの指先の動きに反映するという「運指再現技術」が運用されました。

そこからデビュー当時はLive2Dで配信をしていたホロライブのメンバーも3D配信が可能になっていき、3D配信ならではの企画も増えていきました。個人的には、ときのそらが脇からおにぎりを大量に放出している配信と、大空スバルが両手からそばと丼を大量に放出している配信が、どちらも絵面がカオスで好きです。

そして2019年7月9日、複数人の3Dモデルによるリアルタイム配信に対応したというプレリリースが出されます。この時期あたりから複数人での3D配信が可能なり、コラボ配信など複数人できることも増えてきました。

AZKiのバーチャルライブの開催

ここまでホロライブの3D配信やモーションキャプチャーシステムの進化について語ってきましたが、ホロライブで活動初期からバーチャルライブを行い一番多くバーチャルライブを行っているのは、イノナカミュージックのAZKiです。

AZKiチームのライブに対する拘りは強く、実在性を高めるために最初のバーチャルライブから影の表示や床への反射に拘ったり、回を重ねるごとにVJが豪華になり、バーチャル空間のカメラや光源も増えて見ごたえも増していきました。

3D配信で歌うのとバーチャルライブで歌うの違いはどこか?と問われれば、私はVJの存在と答えます。

VJがVTuberの歌に合わせて映像や演出を効果的に表示させることで、その瞬間しか表現できない映像作品になっていると感じました。VJの人が、表示には遅延が発生するので遅延する時間を気合で合わせて映像を流していると語っており、完全に職人芸の域に達しています。

またAZKiとときのそらは「SorAZ(そらあず)」というユニットを組んでおり、過去に2度2人でバーチャルライブを行っています。ホロライブの歌姫2人の歌声とパフォーマンスは圧巻なのでぜひご覧ください。

SorAZの初回のバーチャルライブはAZKiのイヤモニから音が流れなくなるというトラブルがありましたが、2回目のSorAZのバーチャルライブでは二人で完璧に歌い切り見事リベンジを果たしています。
この初回ライブのトラブルで、咄嗟にときのそらがイヤモニの片方をAZKiの耳にあてながら歌っていたという話とか、関係性オタクの私は大好物です。

AZKiのリアルライブの開催

AZKiとライブを語る上でリアルライブについて触れないわけにはいきません。

VTuberのリアルライブとは?」と思う人もいるかもしれませんが、2019年は毎週のようにVTuberのリアルライブが行われていました。
究極的にはライブハウスの大きな液晶モニタでVTuberが歌っている様子を見ながらみんなで盛り上がるイベントなのですが、生身の歌手のライブに負けない熱気があります。

もちろんリアルライブで使われている技術とバーチャルライブで使われている技術には共通点も多く、リアルライブで培われたノウハウはバーチャルライブにも活きていると思います。

AZKiはデビューの2018年11月15日から2019年12月29日までの間に4回のソロライブを行っています。またVTuberの対バンイベントやフェスにも数多く参加しており、2019年のリアルイベントの多さから「AZKiチームは毎月イベントをしないと死ぬのでは?」とさえ言われていました。

多くのイベントで得た経験値はしっかりとした土台となり、2019年12月29日に行われたAZKi 4th LiVE「REPEAT THiS LiFE WiTH U」では、画面の切り替えや衣装代えなどでステージから消えることもなくAZKiは最初から最後までライブステージの上で歌い続けました。MCや歌っている最中に衣装が瞬時に切り替わるというVTuberならではの演出もあり、一瞬もステージから目を離せないライブでした。

こういったVTuberのリアルライブは機材トラブルがどうしても多いのですが、AZKiのリアルライブでは大きなトラブルを見たことがなく安定感があります。

また2019年8月1日に花譜(「KAMITSUBAKI STUDIO」所属)の1stワンマンライブ「不可解」の演出で「VTuberに重ねて歌詞をリアルタイムに表示する」という演出があったのですが、2019年9月22日に行われたAZKi 3rd LiVE「レペゼンエンタス」で同様の演出を行うなど、安定感だけでなく良いものをすぐに取り入れる柔軟さもあります。

AZラジMAXでバーチャルとリアルの融合

新しいバーチャルライブの可能性を示した事例として、2019年に行われたAZラジMAXの公開収録があげられます。

AZラジMAXでは彩音桃井はるこをゲストに迎え、VTuberと生身の歌手が同じバーチャル空間で一緒にラジオ収録をしたり歌っている姿を見せてくれました。

今まで生バンドや生身のダンサーとVTuberが一緒にライブを行ったことはありますが、あくまでVTuberは液晶モニタの中、生身の人間は液晶モニタの外という壁がありました。

その壁を無くすことができたのは画期的なことで、いつかVTuberと生身の人間が同じ場所に立ってライブをするという日が来るかもしれません。

ホロライブのリアルライブの開催

ホロライブのリアルライブも進化を続けており、2019年10月6日に開催された「ホロライブ オン ステージ -でいどり~む-」や「ときのそら 1st ソロライブ Dream!」、2020年1月24日に開催された「hololive 1st fes. ノンストップ・ストーリー」は大盛況でチケットを取るのが難しいレベルでした。

10月6日に開催された2つのライブでは、モーションキャプチャシステムVICONの導入やVTuberのリアルライブを早い時期から行っていたバルス株式会社の技術提供があったそうです。

このライブでは物理的なカメラとバーチャルなカメラの映像を混ぜる技術が使われました。バーチャルなカメラを使用することで物理的なカメラの台数を減らすことができれば、ライブハウスの観客席に使えるスペースを増やすことにもつながります。

そしてホロライブのリアルライブで最大規模なのは1月に行われたノンストップ・ストーリーです。総勢23名のホロライブのアイドル達が歌って踊る夢のような時間で、間違いなく最高のライブでした。

ノンストップ・ストーリー以前に開催されたVTuberのリアルライブのすべての要素にプラス1をした結果、あの規模と内容になったという話大好きです。

ホロライブのバーチャルライブの開催

こうした積み重ねてきたバーチャルライブのノウハウは、ホロライブ全体に共有されていきます。

2020年3月1日に星街すいせいのバーチャルライブが開催されました。このバーチャルライブで表現されたクオリティの高い3Dモデルやモーションキャプチャ、カメラや映像演出は2017年から積み重ねてきた努力の結晶だと思いました。

ここに至るまでの長い積み重ねは、映像技術の高さの一言では語り尽くせません。

まとめ

ホロライブのバーチャルライブの技術の進化はまだまだ止まらないでしょう。これからも目が離せません。

これらの技術を支えているのは名前が表に出にくい本当の意味での裏方のエンジニアさんたちです。今後バーチャルライブが増えていくのであれば、エンジニアや映像編集ができる人材の獲得競争は激しくなると予測されます。

VTuberが輝くステージに立つために必要な方々なので、アイドルや表に出ている人たちだけでなく裏方の人たちも業界全体で大切にしていって欲しいと思います。

これからも一生記憶に残り続けるような素敵なバーチャルライブを楽しみにしています。

補足(ホロライブ以外のバーチャルライブについて)

今回はホロライブを中心に語りましたが、ホロライブ以外にも先に述べたバルス株式会社所属のMZMや銀河アリスをはじめ、リアルライブとバーチャルライブどちらも精力的に行っている方々が大勢います。

VTuber四天王のキズナアイ、輝夜月、シロ、ミライアカリもライブをしていますし、にじさんじ、えのぐ、GEMS COMPANY、Re:AcT、朝ノ姉妹プロジェクト、富士葵、燦鳥ノム、響木アオ、まりなす(仮)、星乃めあなど、他にもライブをしているVをあげていけばキリがありません。

どのVTuberのライブも最先端の技術を駆使した素晴らしい映像コンテンツだと思うので、こんなすごいバーチャルライブがあるよ!という情報は軽率に共有してくれると助かります。

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