AZKi 4th LiVE「REPEAT THiS LiFE WiTH U」レポート~AZKiが開拓者(なかま)と開拓した世界~
2019年12月29日に池袋harevutaiで行われたAZKi 4th LiVE「REPEAT THiS LiFE WiTH U」#AZ輪廻のライブのレポートを書いていこうと思う。
ライブのレポートに入る前にAZKiのことを簡単に紹介しておく。AZKiは2018年11月に活動を開始した音楽特化型VTuber。所属はVTuber事務所「ホロライブ」内の音楽レーベル「イノナカミュージック」だ。2019年2月には「upd8」にも加入している。2018年12月末より8ヶ月連続で12曲のオリジナル曲を発表し、2019年11月に初の全国流通1stフル・アルバム「without U」をリリースした。ファンの名称は開拓者で、マネージャーはカエルの姿をしたツラニミズだ。オリジナル楽曲は大きく分けて、ポップさと透明感のある楽曲シリーズ「AZKi WHiTE」(通称白あん)と、ロックで疾走感のある楽曲シリーズ「AZKi BLaCK」(通称黒あん)の2種類に分けられる。約1年の活動の間に数多くの楽曲を歌い上げた歌姫だ。そんな彼女の歌声を聴くために、大勢の開拓者がこの日池袋harevutaiへと足を運んだ。
4thライブの始まり方は、これまでのライブと同じだった。腹に響く重低音、ステージにはAZKiのシルエット。この演出を見ると「いよいよ始まるんだな」と自然と胸が高鳴った。
最初の曲は「コトノハ」。曲が始まった瞬間、会場を埋め尽くすLEDの赤、赤、赤。ロックな曲に負けじと突き上げられる開拓者の腕が、最高のライブのスタートを感じさせてくれた。続けて「虹を駆け抜けて」を披露し、ロックな曲で会場を温めていく。そしてさらに「ひかりのまち」でAZKiは畳みかけるように激しい歌と音を会場の開拓者に浴びせていく。開拓者もそれに応えるように腕を振り上げコールを叫んでいた。
3曲続けてロックな曲を披露した後はMCで小休止。「今日AZKiのライブが初めての人?」という質問には多くの腕が上がり、開拓者の輪の広がりを実感した。AZKiも今日のライブが1年の集大成!と意気込んでいた。
ここからはオシャレな曲が続く。TEMPLIMEが作詞作曲した「Reflection」が披露され、その「おしゃかわポップ」な音に酔いしれた。その次は「Starry Regrets」でしっとりと切ないバラードが続く。ダンスミュージック然とした「Midnight Song」が流れる頃には、最初のロックな曲で熱狂していたのが嘘のように会場全体がAZKiの歌に聴き入っていた。
2度目のMCでは発表されたばかりのホロライブ全員のアイドル衣装に触れた。白を基調にした衣装のメンバーが多い中、AZKiだけは黒と赤を基調にしている。同じホロライブ所属の「ときのそら」の白と青を基調とした衣装と並ぶと、とても映える色合いになるだろう。いつかこのアイドル衣装で二人で歌いたい、とAZKiも意気込みを述べた。AZKiと「ときのそら」の二人はSorAZというユニット名で親しまれており、私も二人のユニット活動をいつも楽しみにしている。
ここで新曲「猫ならばいける」を披露。AZKiのニャーニャーという可愛い声と、開拓者のニャーニャー!という野太い声のコントラストが印象的だった。その後に「ときのそら」の楽曲「フレーフレーLOVE」のAZKiによるカバーが披露されるとは、誰も予想できなかったろう。私も完全に予想外の選曲で、一瞬曲名が思い浮かばなかったほどだ。そして続けてAZKiソロの「ShinySmilyStory」では、開拓者のコールも完璧で、流石ライブの現場慣れしている開拓者だと感じた。
このとき同時配信していたREALITYで視聴者数が2000人を超えたこと、年の瀬にライブができて幸せなことが、AZKiから告げられた。
続いて披露された新曲の「Eternity Bright」はI've Soundを意識した、と生放送でツラニミズが語っていた。格好良く疾走感のある音はまさしくその通りで、往年のオタクには最高に刺さる音楽だった。
その後のMCで「VTuber業界は楽しいことも多いけど悲しいことや残念なこともある。AZKiという存在はなんなんだろう?AZKiは今のこのAZKiで他にはいない。このAZKiでなくなったときが、AZKiのいのちが終わるとき。だからこの一瞬を大切にしていきたい」と最近AZKiが思ったことが語られた。
そして今日最後の新曲「光」が披露された。歌詞が異国の讃美歌のようで、一種の神々しさすら感じた。そんな曲から「世界は巡り、やがて君のものになる」と「いのち」へ曲をつないでいく。VTuberの存在や「いのち」に関するMCを受けて、この曲順はにくい演出と言わざるを得ない。この2曲のような感情を込める曲はAZKiの真骨頂だと私は考えている。特に今回の「いのち」の歌詞「わかんないよ ねえ」のあたりの息の入れ方が今まで以上に上手くなっており、聴いていて感情をボロボロにされた。AZKiの声のウェットさが、一部から「濡れ女」と評されるのも頷ける。
MCでAZKiが開拓者の涙腺を心配しつつ、次の曲のコールの練習をした。曜日を聞かれる、あの曲だ。
「のんびりと、」と「リアルメランコリー」を続けて歌い、一気に会場の空気がAZKiの可愛い歌声で満たされる。「のんびりと、」の「今日は何曜日?」「日曜日!」「今日何しよっか?」「AZ輪廻!」「どこいこっか?」「harevutai!」のコールは事前にTwitterでライブの時にやろうとAZKiが言っていたコールで、会場のコールも見事に揃っていた。
MCでいよいよラストスパートが告げられる。「もっと盛り上がれますか!?まだ声出せますか!?」というAZKiの問いに、会場全体が大きな声で「はい!」と答えた。
ここからは怒涛の黒あんラッシュ。「自己アレルギー」の叩きつけるようなロック曲に大いに盛り上がりAZKiの「声上げていけよ叫べ!」の声に「オッオー!オッオー!YEAH!」とコールを返す。その後に続く「嘘嘘嘘嘘」は同じロックでも特殊だ。静かに愛憎を感じる曲調から途中で一気にロックな曲調に変わる。この転調を歌いこなすAZKiの歌唱力にただ感服した。そしてAZKiの今までのライブでもロックな曲の定番「Fake.Fake.Fake.」は、公式でコール動画が作られているだけあって、開拓者の揃ったコールで一体感を味わうことができた。
ロックな曲で盛り上がった後は水を飲んでMCで小休止。AZKiから#行こうぜAZ輪廻、#見ようぜAZ輪廻のタグで盛り上げてくれた開拓者への感謝が述べられた。
そしてAZKiの公式サイトオープンと、2020年3月22日(日)秋葉原エンタスにてAZKi対バン企画「LAST V STANDiNG vol.2」が開催され、対バン相手は「エルセとさめのぽき」ということが発表された。
ラスト2曲は「from A to Z」と「ちいさな心が決めたこと」。「from A to Z」は開拓者も一緒に歌う箇所があり、AZKiと開拓者の曲というイメージが私は強い。今回も会場で一緒に歌うことができて素直に嬉しいと思った。そしてラストの曲を「ちいさな心が決めたこと」にしたことは、「これからもここで生きていく」というAZKiの決意表明のように私は感じた。
最後の曲を歌い終わりAZKiが舞台袖へはけてから、すぐにアンコールのAZKiコールが始まった。
アンコール1曲目は「without U」。1stアルバムの表題曲で私が今回のライブで一番楽しみにしていた曲だ。歌詞のwithout U、Beside U、within U、という風にだんだんAZKiとの距離が縮まってくるところが好きだ。ライブでこの曲を生で聴いて、AZKiが心の中に入ってくるように感じた。
MCでAZKiからアンコールのお礼と、こうして歌えることが本当に嬉しいこと、こうして歌ったりみんなのコールを聞くとAZKiはバーチャルだけど、ここにいることを実感することが述べられた。私は今日ほどAZKiの実在性を感じたことはないと思う。今日このライブでAZKiはアンコールの間以外、ずっと開拓者の目の前に存在していた。会場は一度も暗転することなく、衣装の変更も瞬時に行い、AZKiはずっとそこに存在していたのだ。
次の曲へ行く前に会場全体で集合写真を撮った。ポーズは腕をクロスさせた開拓者ポーズだ。
そして今日このライブを見てくれている開拓者のみんなへの感謝を込めて「フロンティアローカス」が贈られた。私は曲に合わせて手を振りながら、これまでのAZKiの道のりに思いを馳せていた。2019年5月19日1stライブ・クソAZから始まり、7月27日の2ndライブ・AZ葬、9月22日の3rdライブ・レペゼンエンタス。歌った曲数もライブの回を重ねるごとに1stは11曲、2ndは15曲、3rdは20曲と増えていった。今や2時間のライブではオリジナル曲をすべて歌い切れなほどだ。この短期間でここまでの成長を見せたAZKiとAZKiチームには、私は賞賛以外の言葉が出ない。
そしてここで最後のお知らせ、AZKi OFFiCiAL FANBOX「FRONTLiNE」の開設が発表された。私がすぐその場で支援したのは言うまでもないだろう。
MCもいよいよ最後。AZKiから開拓者への手紙が読み上げられる。手紙には今まで一緒に歩んでくれた開拓者への感謝の気持ちに満ちていた。そして「これからも歌を歌いたい。音楽を作りたい。その音楽をたくさんの人に届けられるように一緒に開拓していってくれますか?」という問いに会場中から「はい!」という声が上がった。手紙最後の「たくさんたくさんAZKiを愛してくれてありがとう。私もみんなが大好きです。愛してます」という言葉に、私はとても嬉しく、少しむずがゆい気持ちになった。
ここからはサプライズでAZKiからなんとマネージャーのツラニミズへの手紙が読み上げられた。ここまで連れてきてくれた彼への感謝の気持ちと、これからもAZKiチームのリーダーとして引っ張っていってくださいという激励の内容だった。中でもAZKiの誕生日放送の日にツラニミズが「僕が一番目の開拓者であって最後まで開拓者であり続けます」という言葉を贈ったエピソードが強く印象に残った。彼の誠実な一面を表す良いエピソードだろう。
AZ輪廻を締めくくる最後の曲は「Creating world」。やはりAZKiといえばこの曲。今までのソロライブで毎回聴き、そのたびに印象が上書きされる曲だ。AZKiと開拓者とのシンガロングは、AZKiと開拓者の強い絆を感じさせてくれた。
全ての曲を歌い終わり、AZKiがステージから姿を消して、AZ輪廻は終了した。あらためてセットリストを振り返ると、歌のジャンルの幅がひたすらに広いと感じる。可愛い曲、格好良い曲、どんな歌でもAZKiは歌いこなす。まさしくVirtual Diva(歌姫)という肩書きが、AZKiにはふさわしいと私は感じた。
AZKiの歌唱力もさることながら、AZKiチームの底力もこのライブで感じることができた。これまでよりも大きな箱でトラブルなく公演を大成功で終えられたのは、ツラニミズの努力の賜物だろう。箱が大きくなっただっけでなく、VJをはじめとした演出面の強化も特筆すべきだ。衣装の切り替えが非常にスムーズで、背景や光の演出も凝っていて観客を魅力していたと思う。他にも物販や入場列の整理も混乱なく行われており、AZKiチームがこれまで培ってきた経験が、最高のライブを作り上げていると実感した。
AZKiが活動を始めてからAZ輪廻までの約1年と1ヶ月。8ヶ月連続12曲リリースに1stフル・アルバムの発売、ソロライブ4回、動画の投稿や生配信、イベントへの出演など、尋常ではない濃さの活動内容だった。それがどれほど大変だったかは想像するしかないが、私はAZKiが開拓していく世界にただただ圧倒され、魅了され、一緒に開拓していきたいと思った。
そして2020年には現在発表されているだけでも、1月にhololive 1st Fes.「ノンストップ・ストーリー」、3月にAZKi対バン企画「LAST V STANDiNG vol.2」、5月にAZKi 5th LiVE [three for the hood]が予定されている。どうやら2020年もAZKiチームは活動のペースを落とす気はないようだ。そちらがその気なら、こちらも全力で推すまでだ。
今回のライブAZ輪廻もAZKiと開拓者が作り上げた最高のライブだった。これからAZKiが開拓していく新しい世界も、決して平坦な道のりではないだろう。しかし開拓者(なかま)たちと一緒なら、きっと楽しい旅路になると、私は確信している。
<セットリスト>
1.Overture
2.コトノハ
3.虹を駆け抜けて
4.ひかりのまち
5.Reflection
6.Starry Regrets
7.Midnight Song
8.猫ならばいける
9.フレーフレーLOVE
10.Shiny Smily Story
11.Eternity Bright
12.光
13.世界は巡り、やがて君のものになる
14.いのち Acoustic ver
15.のんびりと、
16.リアルメランコリー
17.自己アレルギー
18.嘘嘘嘘嘘
19.Fake.Fake.Fake
20.from A to Z
21.ちいさな心が決めたこと
EN1.without U
EN2.フロンティアローカス
EN3.Creating world
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