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AZKi 1st ALBUM「without U」レビュー

AZKi 1st ALBUM「without U」を1曲ずつ順番にレビューしていきます。

1.without U

この曲を聴いてまず、ツラニミズさんがたまに使う「ポジティブな共依存」がテーマなのでは?と思いました。「キミがいないときっと私は私でいられないんだ」と「キミのそばにいるよどんなに辛く思ったときでも」の歌詞から、AZKiとキミ(開拓者)の互いが互いを必要としていることを表現している気がしました。

そしてAZKiちゃんの「そんなことわからないよ わからないから歌うんだよ!」の歌声は悲痛さすら感じる強い歌声で、彼女の歌い続けるという決意表明のように感じます。

今のVTuber業界は今後どうなるか全くわからなくて「いつまでこうしていられるの?」ということすらわかりません。だからあなたが必要だ、というメッセージがダイレクトに伝わりました。

あと歌詞カードを見た時の「A→Z」や「K→i」とか言葉遊びも好きです。「AZKi」には「U」がないことと「without U」がかかっているところも、気づいた時は思わずニヤリとしました。

2.コトノハ

歌の開始数秒で「声がイケメン!誰!?これAZKiちゃん!?」って思いました。こんな声が出せることにまず驚きです。この声は腐女子が好きそうな「18歳ちょっと強気なバンドのボーカルやってる斜に構えた青年」が出す声ですよ?歌詞の「過去は忘れて明日へ行こうぜ」という言葉も、マブダチに肩組んで誘われてる感じがして、ちょっとトゥクンってなりました。

そして音としてドラムが本当にかっこいい曲です。絶対ライブで絶対盛り上がる曲です。「いえーい!」からの怒涛のドラムパートの盛り上がりが最高でした。

3.嘘嘘嘘嘘

曲の途中から歌い方が変わって、日本語の歌詞を英語っぽく歌っている部分が面白いと思いました。最初聴いた時は意味が聴き取れないのに、音としては凄く自然に聴くことができて、洋楽を聴いているような気持ちになりました。歌詞の意味が分からなくても聴くことができる、音楽ならではの表現だと思います。

歌詞を読んで思ったことは、曲名の通り嘘をテーマにした恋愛ソングなのかなと思いました。男の嘘を見透かしている女の愛憎を感じる歌詞を、AZKiちゃんの悲哀を感じさせる歌い方で表現していて、聴くとゾクゾクします。

4.自己アレルギー

とてもライブ映えする曲です。既存曲のFake.Fake.Fakeに負けないくらい盛り上がると思います。ひとりで聴いているときでも心の中で「おっおー!いえーい!」と叫びます。「バカになって超えていくんだ声上げていけよ叫べ」の歌と曲のカッコよさと勢いが、最高に高カロリーで好きです。

ライブ映えとは視点を変えて歌詞を読んでみると、自己アレルギーって言葉の意味にドキリとします。そんなの捨ててバカになれたら良いなと普段から思っているので、この曲を聴くと今はバカになって良いんだよ!って言われてるようで色々と解放されます。やっぱり早くライブで聴いてバカになりたい曲です。

5.虹を駆け抜けて

曲冒頭の綺麗なピアノの音が雨音のように感じました。そして雨上がりのような少し暗くて不安な、でもこれから晴れそうで、何かが始まりそうな期待感を感じる曲です。挫けそうなときとかに聴きたい曲ですね。じっくり何度も聴くと味が出てくるスルメ曲だと思います。

あと、アートワークのシャボン玉を作ってるAZKiちゃんが最高に可愛いです。このアルバムのアートワークも既存曲のように絵にして売ってください。

6.ちいさな心が決めたこと

AZKiちゃんが作詞作曲した曲で、最初聴いた時、素直な曲だなと思いました。AZKiちゃんらしい曲と詞で、迷いながらも前を向いて進もうとする気持ちが凄く伝わってきました。物語を「はなし」と「じんせい」と読む歌詞が最高です。

そして「泣きたくもなるよ諦めたくなるよ それでもここで生きていくと決めたんだ」という歌詞には、ファンとしては感謝しかありません。

最近VTuberで引退を考えたことがない人はいないのでは?というくらい、色々と大変だった話を聞きます。そんな環境でも、活動を続けてくれていることは本当にありがたいです。

7.世界は巡り、やがて君のものになる

さめのぽきさんらしい幻想的な曲です。聴いていると音がそっと胸に染み込んできて、ぽきさんが作る世界観に浸れる心地よい音楽です。

以前の生放送で、ぽきさんが語っていた「この歌はAZKiになる前のAZKiから今のAZKiへの祝福の歌」という話を踏まえて歌詞を読むと、歌詞の優しい内容が凄く心を暖かくしてくれます。

そしてこの「自分から自分への祝福の歌」を今のAZKiちゃんがどういう心境で歌ったのか想像すると、少し不思議な感覚になります。「自分になる前の自分への歌」という不思議な構造は、VTuberならではだと思いました。

しかも、上記のような前知識なしで読んでも、歌い手から聞き手への歌として意味が通るのがさらにすごいです。

歌詞の中で、AZKiちゃんがAZKiちゃんへ「これからどんな道を歩むとしても怖がらなくていい」と背中を押しているのが本当に好きです。AZKiの作る世界の物語がどんなハッピーエンド、ゴールを迎えるのか楽しみにしています。

8.Midnight Song

黒あんでも白あんでもないAZKiレッドの曲。聴いていると、友達と夜通し遊んで、始発で帰ってるときの楽しかったけど少し寂しい感じを思い出しました。ダンスミュージックと聞いていたので、もっと激しい音楽をイメージしていましたが予想とは真逆の曲でした。静かにダンスホールの片隅でグラスを傾けながら聴きたい曲です(酒飲めないけどw)。曲調もじっくり聞き入れる感じで、音が体にしみこんできて体が自然に揺れてしまう曲です。

余談ですが、この曲のMVは大阪の風景を使っているので、見覚えのある風景がめちゃくちゃ出てきてちょっと笑いました。

9.Reflection

ツラニミズさんがTEMPLIMEへ「童貞の男の子が拗らせた恋愛ソング」とオーダーした曲です。歌詞を読むと「常日頃考えること 誰も彼も理解してはくれないけど」や「どうしても想いは消えないや 僕は汚したくなってしまう」あたりは、確かに良い感じに拗らせてると思います。

そして「おしゃかわポップ」と評されるTEMPLIMEらしい音と、AZKiちゃんのウィスパーボイスが心地よく耳に響きます。AZKiちゃんの可愛いというよりも、妖艶な歌い方にドキリとしました。

10.のんびりと、

可愛さに振り切った曲です。歌い方も歌詞もメロディも可愛いです。少女のようなあどけない歌詞とAZKiちゃんの可愛い歌声のおかげで、聴いていると顔が自然と笑顔になります。休みの日の朝とかのんびりしたい時に聴きたい曲ですね。

歌詞の「お菓子があったら幸せだ きっと無敵だ」の部分が一番かわいくて愛おしいと思いました。お菓子があったら無敵という5歳児レベルの発想が最高に好きです。

11.フロンティアローカス

1回目聴いた時は、曲の最初のピアノが綺麗で印象に残りました。何度も聴いていると色んな音が複雑に重なってることに気づいて、でも雑多な感じがせずにきちんとポップな感じの可愛い曲になってるのが凄いと思いました。

歌詞の「ねえここは?って君が聞いても 不安の先は今は教えないよ」が好きです。過去の自分に何か言えるなら、やっぱり「あの時は○○した方が良いよ」って教えたくなるじゃないですか。「君の手足で確かめるんだ」って言えるのが良いなって素直に思います。まだ見ぬ未来を「不安の先」って表現するセンスも好きです。

そして「開拓者(なかま)」と歌ってくれたことが嬉しくて誇らしいと感じました。今まで一緒に歩ませてくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

このアルバムはwithout Uから始まってフロンティアローカスで終わります(Remixのぞく)。without UはAZKiちゃんの「今の自分の想い」を歌っていてフロンティアローカスは「未来の自分から過去の自分への想い」を歌ってる感じがして、曲順にもストーリーがあって粋だなって思いました。

12.リアルメランコリー (TEMPLIME Remix)

リアルメランコリーが完全にTEMPLIME風の曲になってて驚きました。別の曲と思うくらい違います。原曲と比較して可愛さよりも楽しさが増した感じで、原曲の良さを壊さずにTEMPLIMEらしい音楽にするのは凄いと思いました。

13.Starry Regrets(Batsu Remix)

VirtuaREAL.00のイベントでBatsuさんのDJを一度聴いたことあるのですが、このRemixを聴いた時に「あ、この感じの音を前に聴いたことがある」と思い出しました。私は音楽の知識は皆無なので上手く言語化はできませんが、Remixにも個性が強く出るものなのかと思いました。CDで聴くのも良いですが、またクラブで聴いてみたいと思う音でした。

まとめ

このアルバムを聞き終わった時、アニメ1クールを一気に見たような満足感がありました。これまでは毎月1曲くらいだったのが、今回はまとめて一気に新しい音楽を叩きつけられたような衝撃でした。

このアルバムに収録されている13曲は、既存曲13曲と比較してもそん色ないくらい、いや、これまで以上にAZKiちゃんの魅力を詰め込んだ曲だと思います。どの曲もそれぞれ違った魅力があり、必ずお気に入りの一曲が見つかるはずです。

さて、今回のアルバム発売に寄せてマネージャーのツラニミズさんが記事を書かれています。

この記事の中の

彼女の時折見せる弱気な気持ちに、自分自身最適な言葉を伝えられているか自信がない。(これは単純に自分の力不足ではある)

という部分を読んで、正直私は歯がゆい気持ちになりました。だってこんなに素晴らしい音楽を作る人たちには、弱気になったり自信をなくしたりして欲しくないから。でも常に弱気にならず自信満々なクリエイターなんて、たぶんいないというのも頭では理解してます。

だからせめて今日だけは声を大にして言いたい。

俺の推しのVsingerのAZKiとマネージャーのツラニミズはすげえんだぞ!
こんなに良いアルバムを作って、こんなにたくさんの人から祝福されてるんだぞ!
ライブも毎回すごく楽しくて参加した人たちみんな笑顔だよ!
これからも期待してるし、全力で応援してます!

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