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AZKi 3D IDOL LIVEに見るこれからのオンラインライブの可能性

2020年、皆さんはいくつオンラインライブを見ただろうか?

ソーシャルディスタンスが叫ばれる昨今、リアル会場での大規模なライブやイベント開催は難しくなっている。そんな中数を増やしているのがオンラインライブだ。特にVTuberは2019年以前もリアルライブをオンライン同時配信をしていたこともあり、オンラインライブへ主戦場の移行も早かったように思う。

格好いい/可愛いVTuberがバーチャルなステージの上で歌って踊る姿。それはファンにとっては最高の光景だろう。私も推しが歌って踊っている姿を見ているだけで、頬が緩んで人様には見せられない顔になってしまう。

だが、あえて言いたい。そろそろオンラインライブもワンパターンになってきていないか?と。VTuberが3D配信で数曲歌って終わり、というオンラインライブはそろそろ見飽きてはいないか?

バーチャルなステージでVTuberが3Dの体で歌い踊るには、高い技術力と裏方の皆さんの素晴らしい仕事があってこそ、というのは理解している。しかし視聴者のワガママなのは承知の上で、そろそろオンラインライブの新しい形を見てみたい。

そう考えていたとき、2020年8月29日に「【3D idol LIVE】#AZKi生放送 16【アイドルなAZKiを!みて!】」がYouTubeとbilibili動画にて同時配信された。そこで私は今までで一番新しいオンラインライブを見て、あまりの良さに身を震わせた。今回はその配信で感じたオンラインライブの可能性について説明していく。

「アイドル」をテーマにした衣装とセトリと構成

AZKi 3D IDOL LIVEセットリスト
1.キラメキライダー☆
2.のんびりと、
3.ハートビート
4.リアルメランコリー
5.私、アイドル宣言
6.only my railgun
7.トライアングラー
8.青い夢
9.ちいさな心が決めたこと
10.フェリシア
11.フロンティアローカス
12.from A to Z
13.Creating world 2020ver
14.Shiny Smily Story

AZKi 3D IDOL LIVE」と銘打っているとおり、AZKiはアイドル衣装を身にまといアイドルらしい可愛い曲を熱唱した。セットリストを見ると、AZKiのオリジナル曲の中でもポップさと透明感のある楽曲シリーズ「AZKi WHiTE」を中心に選曲されている。ロックで攻撃的な「AZKi BLaCK」は今回の「アイドル」というテーマにはそぐわないということだろう。自身のオリジナル曲だけで幅広い選曲ができるのも、これまで30曲以上のオリジナル曲を作ってきた成果だ。

オリジナル曲だけでなく、カバー曲では「私、アイドル宣言」や「only my railgun」「トライアングラー」と、「アイドル」というテーマに沿った定番曲が歌われた。特に「私、アイドル宣言」はアイドル衣装とも相まって無類の可愛さを発揮していた。振り付けの動作一つ一つがとても可愛く、個人的には「><」という表情で両手をバタバタする姿がお気に入りだ。

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このアイドル衣装は2020年1月24日の豊洲PITで行われたhololive 1st fes.で初披露され、次に2020年2月15日に名古屋で行われたアニゲーフェス2020で見てから約半年ぶりに見ることができた。普段の衣装に比べて見られる機会が少ない分、やはり特別感がある。AZKiの新衣装作成予定も発表されており、衣装の数が増えることで、より演出の幅が広がるだろう。

全14曲を歌うオンラインライブだったわけだが、60分強の時間の中にかなり詰め込んだ印象がある。その分曲の間のMCは時間が短く内容もあっさりしていた。歌をできるだけ歌うために「何をしないか」を追求した結果だろう。1時間で10曲以上歌うオンラインライブは少ない印象があるため、見終わった後の満足感は高かった。

VJやカメラ演出によるMVのような映像作品への昇華

このオンラインライブを見てまず目につくのがVJ(Wiki参照)による映像演出だろう。歌っているAZKiに重ねるように多様な映像が表示されていく。わかりやすく印象に残った演出は「リアルメランコリー」の「いいねGoodふぁぼの数字 増えていく」という歌詞に合わせて表示された数字や親指の表示だ。歌の意味と演出の意図が綺麗にかみ合っている。

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「リアルメランコリー」以外にも、周囲に光や文字を飛ばしたり、これまでのMVを重ねて表示したりする演出もあった。歌っているAZKiを中心に据え、様々な映像演出が表示されていくのを見るのは、新しいMVを見ているような感覚に近い。今回私はスクショもたくさん撮っていたが、AZKiの表情と演出が絶妙に合うタイミングがあり、最高に映えるスクショが何枚もあった。

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今回のオンラインライブでVJ演出を担当したのはclocknote.氏だ。そして2020年7月25日に行われたAZKi 5th LIVE 『R.I.P AZHOOD』の映像演出はchaosgroove氏が担当している。chaosgroove氏がライブで演出した「青い夢」の動画はAZKi Channelに投稿されているので、両氏が演出した「青い夢」の違いを見比べてみるのも面白いだろう。同じ歌でも演出家が変わればライブを見た時の印象は大きく変わるということがわかる。

AZKiチームが動画や配信に関わった人たちをYouTubeやTwitterで生産者表示しているのは、新しいコンテンツを開拓するときの手掛かりにもなるので、いち視聴者としてとても助かっている。

また映像演出だけでなく、ライブ中のカメラワークも巧みだった。ステージ全体が見渡せる引いた構図のカメラや、ガチ恋距離のカメラなど、演出と息の合ったカメラの切り替えタイミングは見事の一言に尽きる。今回のライブでスイッチングを担当された飯寄雄麻氏のツイートが大変興味深かったので引用する。

AZKiのライブを見ていて感じるのは、演出面における他のライブとの差別化だ。もちろん演出の好き嫌いは人によって別れるだろう。私も過度な演出を見ると辟易するときがあるし、VTuberの顔にはあまり映像が重ならないようにして欲しいとは思う。

だがこれまで数多くのライブを行ってきたAZKiの足跡を振り返った時、同じ曲でも毎回感想が異なるのは、歌と映像の成長を感じられるからだ。ライブのたびに試行錯誤して自己の最高を更新していく姿勢には頭が下がる。今回のオンラインライブは、AZKiライブ初見の人でも映像を見ていてシンプルに楽しい作品になっていたはずだ。

やはり歌が上手い

演出やテーマについて語ってきたが、AZKiは歌が上手いという話がまず根本にある。「歌が上手い」と一口で言っても、音程やテンポを外さないとか感情を乗せて歌えるとか色々要素はあるが、ライブの最初と最後の曲で歌声に疲れを感じさせないことが凄いと思った。いかに良い演出があったとしても、歌に力がなければ始まらない。

10数曲を振り付けありで歌うのは相当体力が必要だろう。オンラインライブで全曲生歌ではなく一部録画した映像を流したという話も聞いたことがある。それは演者の体力をはじめ色々なことを考慮した結果の判断だと思うので否定はしない。しかし生歌で観客とのコールアンドレスポンスやコミュニケーションが発生する楽しさは何物にも代えがたいものだ。

これまで耐久歌枠や5回のソロライブなどを通じて手に入れた長時間歌い続けられるタフさは、AZKiの強い武器だろう。新しいアルバムも制作中とのことで、さらに増えるオリジナル曲を引っ提げた次のソロライブのセットリストが何曲になるのか、今から非常に楽しみだ。

3D IDOL LIVEからのアイドルライブ出演告知

オンラインライブ中に告知があったが、2020年9月19日~22日に開催されるバーチャルアイドルONLINEライブフェス「Like Like a Live!」と2020年10月2日~4日に開催される「TOKYO IDOL FESTIVALオンライン2020」にAZKiが出演する。AZKiのライブを見て良いと思った人は、ぜひチケットを購入して欲しい。

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余談だが、アイドルライブに出演するのでアイドル衣装でライブをした、という流れではないらしい。(AZKiマネージャーのツラニミズ氏のTwitter参照)

まとめ

今回のオンラインライブでも、AZKiチームは歌、演出、構成すべてにおいてこれまでの自己最高を更新してくれた。私がAZKiのファンというひいき目もあるが、たくさん開催されているオンラインライブの中でも指折りのクオリティではないかと思う。

そして2020年9月26日にも何かがあることをAZKiが匂わせていた。2019年、AZKiは毎月複数回ライブやイベントをしていたことを考えると、L3やTIF以外にもまだまだ楽しいことがありそうだ。

きっとAZKiチームは次もその次もライブで新しい世界を開拓して見せてくれるだろう。少なくとも私はそう期待して彼女たちを応援している。

もしこれを読んだあなたが、普通のオンラインライブを見飽きたと感じたことがあるなら、AZKiのライブを見ることをオススメする。きっとそこには新しい世界が待っているはずだ。

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