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夜の公園で歌手と会う話 part3

前回の選択肢→3スキ→②:話しかける

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僕の目の前で音楽を試聴していたその女性は、高校時代クラスメイトだった高岡風花(たかおかふうか)だった。

高岡は高校の頃、学の彼女と親しかったのを何となく覚えている。

声をかけてみようと思ったが、僕は高校を出てから学以外の友人に会っていないどころか、連絡さえ取り合っていない。そんなたかが一端のクラスメイトがあまり会話も交わして来なかった女子に話しかけるというのは、なおさらためらわれるものである。

その時、彼女の肩から提げられていた白色のトートショルダーバッグから、一枚のビラがひらひらと床に落ちた。

どうやら、バッグの外側についている小ポケットから落ちてしまったらしい。

なんでメインポケットに入れておかないんだろう、という思考をよそに、僕はこの瞬間が彼女に話しかける絶好のタイミングである事に気づいた。

僕はすぐさま床に落ちたビラを拾い上げ、彼女の前に差し出した。

「あの、すみません」

声をかけると、高岡は試聴用に装着していたヘッドホンをゆっくりと外し、髪を左右に振ってからこちらを見た。まるで、女性のバイク乗りがバイクを降りた後、ヘルメットを外した時の仕草である。

「あ。拾ってくれたんですね!ありがとうございます!」

高岡は一枚の紙きれを受け取ると、とても有難そうな表情でお礼をしてくれた。

「いえいえ」

僕は、そんな当然のレスポンスしかできなかった。話しかければ当然向こうにすぐ気づいてもらえるとばかり考えていたので、「予想外」という名のショックにより、気の利いた言葉の一つすら出なかったのだ。

僕のメンタル上、これ以上話すのはハードルが高かった。ただでさえ久しぶりの人と話すのは、緊張して声が上擦ってしまうくらいなのに、向こうに認識すらされてないとなると、もう限界であった。

仕方のないことだと心の中でつぶやきながら、踵を返して歩き出そうとすると、これまた予想外の事態が発生した。

「あ、すみません。」

「?」

「人違いだったら申し訳ないんですけど、鈴木君ですか?」

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◎選択肢◎

①→「違います、人違いです」

②→「うん」

③→「そんなパパイヤみたいな人知りません」

④→無視する。

投票→4月27日16時まで


いつも読んで下さっている皆様、参加してくださっている皆様ありがとうございます(´;ω;`)

続きを書くのを怠けてしまうので、これからは文章を短めにする代わりに、更新頻度を高めにしていく所存です…







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